日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年2月23日土曜日

◆鹿島が直面した「変化の必要性」。 大岩監督、内田が語る切実な理由。(Number)



内田篤人 Atsuto.Uchida


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「Football Dream―かわる」

 鹿島アントラーズは2019年のスローガンをそう掲げた。

 クラブ創設から25年余り、創設にも関わったジーコのスピリッツのもと、伝統を継承し続け、数多くのタイトルを手にしてきた。昨シーズンは初めてACL優勝を飾り、そのコレクションを新たにしているが、2シーズン連続で国内タイトルから遠ざかっている現実に対する危機感は小さくない。

 くわえて昨季終了以降、小笠原満男が引退、西大伍、昌子源が移籍し、戦力的にも世代交代の過渡期を迎えている。

「今までの共存共栄から、競争の時代へとJリーグも変わり始めた」と鈴木満強化部長は昨シーズンは何度も口にし、それがジーコのテクニカル・ディレクター招聘へと繋がった。原点を重要視しながら、クラブの変化を促したいという意識の表れでもあった。

昨年は前半戦で負け越し。

 2017年、シーズン途中から大岩剛監督が就任して首位を走ったが、最後の2試合を連続で引き分けて優勝を逃した。最終節の磐田戦後、「攻撃のバリエーションを増やさなければならない」と指揮官は語ったが、2019年2月9日のプレシーズンマッチ水戸戦の後も同様のコメントを残している。2018年シーズンに60試合を戦ったチームが抱える課題の大きさを感じた。

 2018年シーズンは、前半戦の15節までを5勝3分6敗(1試合未消化)の11位と負け越しで終えた。

「終了間際に失点したり、勝ちきれない試合が多かった。鹿島は1試合、2試合負けただけでとんでもないことになるクラブ。それは現役時代から経験し、意識している。前半戦は特に大きな危機感を抱えていた」と大岩監督が振り返る。

 チームに新しいスタイルを持ち込み、調整を施そうという意欲のもとでスタートしたシーズンだったが、過密日程が原因でそれをチームに落とし込む時間もなかった。くわえて離脱者が相次いだことも大きい。結果が出ない状況では、「目の前の1試合」に注力することになる。未来の勝利のために、今日の敗戦を許す余裕はない。

勝利から逆算するようなスタイル。

 それでも、特別指定の名古新太郎を含む在籍33選手のうちGKの川俣慎一郎以外の32選手を起用し、ACL優勝、リーグ戦3位、ルヴァンカップと天皇杯、クラブW杯ベスト4と戦い切れたのは、「チームへの献身」を身上とする鹿島の底力であり、指揮官も自身のチームの強みと認める一体感の表れだった。

 4-4-2のシステムで戦い続ける鹿島は、高い技術や戦術眼といったポテンシャルを持つ選手で常に形成されてきた。勝利から逆算するような、効率的なスタイルが鹿島の持ち味だ。

 サイドバックを活かした攻撃、センターバックが輝くセットプレー、少ない手数でボールを運び、ゴールを仕留める展開力。相手のスキを見逃さない狡猾なボランチの存在感も絶大だ。

「自分がゴールを決めてやる」という欲すらもエゴと考えるジーコのスピリッツが、全員守備に好影響を与えているのは言うまでもないだろう。

 三冠のトニーニョ・セレーゾ、3連覇のオズワルド・オリヴェイラといった名将たちが率いた時代も、ピッチ上での試合を動かしたのは選手自身だった。指揮官は指示を最低限にとどめることで選手の自主性を伸ばし、試合中に改善、修正できるチーム力を養った。

「何を伝え、何を伝えないのか?」ということが鹿島を率いる指揮官には求められる。そこは大岩監督も強く意識していた。

選手の感覚を信頼する伝統。

 昨季何度も目にしたシーンがある。ベンチに立ちピッチへアドバイスを送る曽ケ端準や小笠原の姿から、監督と選手との信頼感の強さが伝わってきた。

「ピッチに立った者にしか感じられないことがある」という選手の感覚への信頼も強い。そんな文字通りの選手ファーストが鹿島の強さの秘密であり、そういう文化が優秀な選手を育ててきた。

 昨季ワールドカップ以降の後半戦に活躍した鈴木優磨、三竿健斗、安部裕葵、安西幸輝、犬飼智也といった選手の成長を見れば、その効果を感じざるをえない。彼らの進化がチームに勢いをもたらし、ACL優勝へと繋がった。

大岩監督は、クラブの「空気」を大切にする。

 しかし選手の自主性を重視するというのは、非常に難しいことでもある。クラブの伝統の継承について語った大岩監督の言葉からも窺える。

「日常が大事で、日常の積み重ねが今のアントラーズを作っているわけだし、自分たちの成長にとっても日々の日常がいかに重要かと言うのを感じてほしい。これは言葉で伝えたからと言ってできるものではない。

 練習へのアプローチであったり、普段の言動、立ち振る舞いだったりを(ベテラン選手が)示すことがまず第一。あとはそれを見て若い選手が何を感じるか? どう感じて、何を自分たちのものにしていくのか。そういう相互関係があって、初めて伝統というのが伝わっていく。どちらかが一方的というよりも、そういう日常の空気を醸し出す側、吸い込む側があって初めて継承できることだから」

 先輩が後輩に対して、過剰に言葉でアドバイスすることもない。そういうなかで、言葉では伝えられないものをいかに感じ取れるのかが選手には試されている。指揮官が言葉で伝える仕事をし過ぎないのは、ロッカールームに生み出される空気を壊さない配慮の結果なのかもしれない。

誰が抜けても次が台頭するように。

 そんなふうに鹿島の伝統は紡がれてきたが、選手の入れ替わりが激しくなった今、自然熟成とはまた別に成熟度を高める工夫が求められている。

「このクラブ自体は、植田(直通)、昌子(源)だけでなく、大迫(勇也)、(柴崎)岳といった中心選手が抜けていくなかで新しい選手が出てくるクラブなので。しっかりサイクルとして受け止めなくちゃいけない。

 今いる若い選手もいずれ、外に出ていくということもあると思う。それでもまた次が出てくるような準備というか、いつ誰が出て行っても、次がやれるよっていうことの準備をしたい」と大岩監督は語っている。

内田篤人が「戦術」を重視する理由。

 とはいえ若手育成だけが彼の仕事ではない。同時に結果、タイトル獲得も鹿島を率いる人間には課せられる。今季新キャプテンに就任した内田篤人は、現状について語った。

「活躍すればどんどん海外へ出ていける。それは現代サッカーの、日本の流れなんだとは思います。でも、チームの核を作り切れずに(選手が)移籍し、また新たにチームを作らなくちゃいけない難しさがある。

 それでも鹿島は、選手が出ていってもタイトルを獲ってきたチームだから。今いる若い選手も高いポテンシャルを持っている。だから、ちゃんと型にはまって戦える流れができてくればいい。その流れに乗っかるまでは、自分たちの地力が必要になってくるから、サッカーを知っている選手が多くないと難しい。

 以前はサッカーを知っている選手がいた。戦術がどうこうというよりかは、その人たちが(中心になって)サッカーをやっていたから難しくはなかった。でも、今は違う。若くてポテンシャルはあるけれど、サッカーを知っている選手が少ない。だからそこらへんは型にはまって乗れるまでは難しい。

 去年も自力が無いと言っていたけど、それでもACLは獲れた。そう考えると、鹿島にはいい選手が入ってきて、彼らが育っていると思う。そのポテンシャルを発揮するためにも結果や流れが必要」

 内田の言葉からは、今の鹿島が「戦術」という型をこれまで以上に重要視していることが伝わってくる。選手の自主性だけでなく、それを促す約束事を増やし、ピッチ上で起こることを整理する指揮官の力が試される。

大岩監督「今年はチームが変わる1年目」

 それは鹿島にとって大きな変化となるかもしれないが、過密日程とは昨季同様に向き合っていかなければならない。大岩監督は現状を冷静に見つめている。

「苦しいときにどういう立ち振る舞いをするのか。苦しいときに何をするか、何ができるか、というのは選手にも必要だし監督も同じ。それは引き出しがなければできないんだけど、去年1年間で、タフさと決断力が求められ、いろんな引き出しを得られたなと感じている。

 苦しいときもそうだったし、勢いが出てきたときに、選手はこうなんだなっていう経験がつめたのは大きい。去年は開幕から仕事をする1年目だった。今年はチームが変わる1年目。同じ開幕でも違いはある。昨年、経験を積んだという意味でのゆとりはあるけれど、また違う緊張感が今季にはある」

いい選手が集まるのは鹿島が強いから。

 いい選手が集まるのも、鹿島が強いからだ。タイトルという勲章が選手を惹きつけてきた部分は間違いなくある。しかし、今までと同じ方法では勝てない。それは鹿島内部の問題だけでなく、戦術がより精緻化するサッカー自体の変化に因るところもあるだろう。

 いかに強固なものであっても「自分たちのサッカー」だけでは勝てない時代だ。もちろん選手個々の能力が勝利を導くこともあるが、他を圧倒するほどの個は、残念ながら今の鹿島の手元にはない。

 20代半ばから前半の若い選手を主軸に変貌を遂げようと狙うためにも、大岩アントラーズの武器である「一体感」を示すためにも、開幕ダッシュは今季を占ううえで、重要になってくる。


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