[カラー版] 瀬戸内海島旅入門 [ 斎藤 潤 ]
日本代表が招待参加する南米選手権が14日(日本時間15日)に開幕する。日本は東京五輪世代を中心としたチームを編成。スポーツ報知では9日のエルサルバドル戦でA代表デビューしたMF久保建英と同様に“飛び級”選出された若手5選手を紹介する。第1回はU―20代表の主将で、鹿島で背番号10を背負うドリブラー・安部裕葵(ひろき、20)
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鹿島で2年間同僚だった日本代表DF昌子源は、安部を「20歳のベテラン」と表現する。鋭いドリブルと多彩なテクニックは、20歳とは思えない落ち着きと冷静な判断力がベースにある。DF内田篤人も「日本にいるべき器じゃない」と才能を高く評価する。
■「どこで見つけたんですか?」
鹿島の椎本邦一スカウト担当部長は、あらゆるJ関係者に同じ質問をぶつけられるという。「いったい、どこで彼を見つけたんですか?」。偶然に偶然が重なり、全国的に無名だった安部は鹿島に“発見”された。
■脳裏に焼き付く「安部という選手」
2016年の全国高校総体。広島開催だったため、安部の瀬戸内高(広島)は特別枠の「広島第二代表」として出場した。大会を視察した椎本氏の狙いは、超高校級FWと騒がれていた別の選手。しかし、大会後に断りの連絡が入った。椎本氏の脳裏には、“本命”の試合合間に見た安部が焼き付いていた。無名だったFW興梠慎三、DF昌子源らを発掘した椎本氏の眼力は、安部の将来性に魅力を感じた。「選手に失礼だから、代わりに同じポジションの選手を取ることはしない。でも安部という選手が印象に残っていた。迷った」
■プロか大学進学か
そんな舞台裏などつゆ知らず、安部も迷っていた。夢はプロだが、現実的な選択肢ではなかった。学校側からは大学進学を勧められた。両者の協議で出た結論は「万が一、鹿島からオファーがあったら行ってもいい」。安部を説得したい学校側は、最もオファーが来る可能性が低いクラブとして「鹿島」の名を出したという。
■「頭が真っ白に」
後日、本当に鹿島からオファーが来た。「冗談かと思いました。頭が真っ白になった」。1年目から公式戦17試合に出場。2年目もACL、クラブW杯で得点するなど同38試合5ゴール。今季からは10番を背負う。主将として挑むはずだったU―20W杯の招集を見送られ、南米選手権の切符が与えられた。「選ばれただけで終わりたくない」。周囲の期待を上回るスピードで成長を続け、たどり着いたA代表。20歳は臆することなく、南米の強豪に立ち向かう。(岡島 智哉)
◆安部 裕葵(あべ・ひろき)1999年1月28日、東京・北区生まれ。20歳。城北アスカFCで本格的にサッカーを始め、MF本田圭佑がプロデュースする「ソルティーロFC」を経て瀬戸内高(広島)へ。2017年に鹿島入りし、同年4月1日の大宮戦でデビュー。今季は13試合出場1得点。18年Jリーグベストヤングプレーヤー賞。171センチ、65キロ。右利き。
◆【ボクも久保級ドラえもん】無名高校生が鹿島スカウトの目に止まり、10番を背負うまで…南米選手権日本代表・安部裕葵(報知)