日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年11月3日日曜日

◆【鹿島】「監督、やりましたよ!」浦和を下す一撃を生み出した伊藤翔の献身(サッカーダイジェスト)






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敵陣の“両脇”を突く動きを、何度でも繰り返して


[Jリーグ第30節]鹿島1-0浦和/11月1日/カシマ

 伊藤翔は、セルジーニョの決勝点が生まれるまでの流れを、ほぼ詳細に覚えていた。

「(右サイドから永木)亮太がセルジ(ーニョ)に出して、そこから逆サイドにいって、レオ(・シルバ)が上げて、亮太がもう一回(クロスを)上げて、セルジがぐしゃっとなって、(こぼれ球を拾った)俺が(土居)聖真に落として、聖真がシュートを打って、最後はセルジですね」

 土居の渾身のシュートは相手GKにストップされたが、そのこぼれ球に素早く反応したセルジーニョが豪快に右足で叩き込む。正確には、左サイドにいたL・シルバに渡る前に、セルジーニョからのパスを白崎凌兵が受け、そこで上手くコントロールできなかったが、白崎が必死につないだボールを町田浩樹がL・シルバに渡す、という過程があった。それでも、伊藤の記憶に間違いはない。

 なによりも、この72分のゴールシーンのきっかけのひとつとなったのが、伊藤の動き出しだ。伊藤の述懐の中で最初の起点となるのは永木だが、その永木を縦に走らせるパスを出したのが、伊藤だった。

 時間を数十秒、巻き戻してみる。自陣からチョン・スンヒョン→三竿健斗→永木とつないでいく。右サイドのタッチライン際でマイボールにした永木は、前方でサイドに走り出した伊藤に縦パスを供給。受けた伊藤はキープしてタメを作り、オーバーラップしてきた永木のスピードに合わせた丁寧なパスを送る。

「まず(相手の)背後に走るっていうのは心がけていたし、自分が背後に走れば、浦和のディフェンスラインを引き連れて、下げられると思っていた。そこは、繰り返しやって、自分がボールに触る回数はたぶん、そんなに多くならないと思っていたけど、それで周りの人たちが上手くシュートチャンスを作れたりとか、ボールが回っていけばいいので」

 敵陣の“両脇”は狙い目だった。「相手のDFが、(右サイドの遠藤)康とかセルジに引きつられていて、その裏は空いているなっていうのは分かっていた」。ハーフタイムにも、そのスペースをシンプルに使っていこうという指示があったという。「自分が走ったり、(2トップでコンビを組む)聖真が走ったり。それを繰り返すなかでゴールが生まれた。良い流れで奪えてよかった」と、伊藤も胸を撫で下ろす。

 高い位置からボールを奪おうと足を止めずに動き回った。伊藤の精力的なランニングがジワジワと浦和を苦しめていく。そして実際に、その走りがゴールにもつながった。

 攻撃のスイッチとなるパスを引き出す動き出し。「監督、やりましたよ! 指示通りにやりましたよ! っていうね(笑)」と伊藤はおどけてみせる。浦和を下す一撃で、ゴールもアシストもつかないが、伊藤の貢献度は計り知れない。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)




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