鹿島アントラーズ×TEN STRIKE SPIRIT OF ZICO 柄 レーヨ...
「“着地点”が各自でふわふわしていると上手くいかない」
5節の横浜戦では4ゴールを奪取して今季初勝利を挙げたが、続く直近の湘南戦は0-1の完封負け。チャンスは作りながらも決め切れず、連勝は飾れなかった。
7月24日のオンライン取材で得点面の課題について聞かれた伊藤翔は、「良い時は前に前にボールを運ぶ、前に出そうという意識があるけど、出せるのにやめちゃう、そこで取られて失点するのは嫌だしとか、悪い循環の中で戦っている」と応じた。
FWとして最前線でスタンバイする伊藤も「このタイミングで欲しいっていう時はもちろんある」と感じつつ、「見ていてあえて出さないのか、出せなかったのか、見ていないのか。いろいろあるだろうけど、見ていて出さないなら“思い切り”は必要だと思う」と私見を述べる。
さらに伊藤は「完成形っていうのが」というフレーズとともに、現状の攻撃面について次のように持論を展開する。
「こうなったらこのプレー、この一連のプレーが成功というふうに、共通理解ができていればいいけど、そこの“着地点”が各自でふわふわしていると上手くいかない。そこはもう少し、あてはめていってもいいだろうし、選手同士の話も必要だと思う」
チームとして、同じ着地点にいかに到達できるか。どれだけ完成形をイメージして連動しながらゴールを陥れられるか。伊藤自身、「3分の2までは、ある程度、この位置に立って、こうやっていこうというのはある」と手応えを語る。問題は、そこから先。「それは去年も鹿島の課題だったと思うけど」と考えている伊藤は、ラストパスの受け手として、ひとつの改善策を口にする。
「出し手はここ、もらい手はここ、って決めておいたほうが、DFより絶対に一歩早くなる。先に動き出せるから、チャンスができたり、ゴールにつながったりする。即興性で相手より半歩でも先手を取れるかどうかは、今はちょっと難しいところもあるので、それだったら“こういう時はここ”って決めてやってもいいかもしれない」
最終的に敵陣のバイタルエリアを攻略できなければ、安定しつつあるビルドアップも無用の長物になる。ゴールチャンスの頻度とともに、フィニッシュの確率をさらに高めるために、ラスト3分の1のパターン化は得点力不足を解消する一手になるかもしれない。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)