[J1第24節]鹿島1-0広島/10月24日/カシマ
1点リードで迎えた84分、ザーゴ監督は最後の交代カードを切る。スコアラーのエヴェラウドを下げて、DFの関川郁万を投入。関川は、犬飼智也と町田浩樹の2CBの間に入る。最後は5バック気味にして、逃げ切りを図る構えだ。
人数をかけた最終ラインが、1点を追いかける相手の猛反撃を粘り強く撥ね返す――そうしたよくあるシチュエーションは、そこまで多くはなかった。
むしろ、できるだけ敵陣でプレーしようとする。ゆっくりとボールを動かしては、コーナー付近に運んでキープ。相手に奪われても、素早いトランジションで高い位置から懸命なディフェンスを見せる。
DFの頭数を増やして万全の態勢を整える。その一方で、なるべく自分たちでボールを保持しながら、時計の針を進めようとする。
ボランチの三竿健斗が振り返る。
「1-0で、僕たちがもし逆の立場で負けている時、背後にボールを落とされてキープされるっていうのが一番嫌なので。それをやろうっていうのは、別に声をかけなくても、中にいる人たちでやれたことですし、そのなかでチャンスがあれば2点目を取って、試合を終わらせることを狙っていました」
チーム全体のその振る舞いは実にスムーズで、抜かりがない。試合巧者の鹿島らしい勝ちっぷり。堂に入ったゲームの締め方で、開幕戦では苦杯を喫した広島にきっちりと借りを返した。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
◆【鹿島】5バック気味にはしたが――堂に入ったゲームの締め方で1点差勝負をモノにする(サッカーダイジェスト)