いま鹿島に関わる誰もが共通して認識している課題がある。大事な試合、しかもホームの試合になると必ず先制点を奪われ、苦しい試合展開を強いられる、ということだ。アウェイでの戦績は10勝7敗と全体にならすとそこまでではないが、8月以降に限ると10勝3敗と大きく勝点を稼ぐことにつながった。しかし、ホームでは6勝4分4敗とアドバンテージになっておらず、8月以降も5勝3分3敗とアウェイほどの好転が見られていない。特にこの3試合は名古屋、川崎F、柏にいずれも先制を許し、1分2敗と勝点を落としてきた。ザーゴ監督は「ホームなのに自分たちが本来できることをできなかった、やらなかったことが非常に悔しい。シーズン当初だけでなく、去年からなかなかホームでいい成績が残せない」と首を捻った。
なんとかしなければならない、という思いはピッチに立つ選手が一番感じていることだろう。「もっと考えなきゃいけない部分かなと個人的にはすごい思ってる」というのは今のチームでは古参の一人になった土居聖真だ。「全部前半の早い時間に失点してるんで、そこは直さないといけないというか、何か原因があるんじゃないかとは感じているんで、メンタルを含めて、じゃあずっと80分まで0−0だったらどうだったかとか個人的に思います」と課題にあげた。
土居にとってカシマスタジアムでプレーする重みは、体の奥底にまで染み付いている。ジュニアユースの時から数多の選手の背中を見続け、いま現在は自分がその立場になっているだけに、責任感は人一倍強い。この2週間、チームは新型コロナウイルスの脅威に直面した。そこで感じたのはプロとしての矜持だった。
「サッカー選手である以上、試合ができたことは改めて幸せに感じました。今回の件を次に繋げられるように。そして、感謝の気持ちだったり、今の状況というところに恩返しできるように、ピッチ上で僕らは頑張るしかできない。次の試合もそうですけど、最後までしっかり見てる人に感じてもらえるようなサッカーができればな、と思っています」
対戦相手は前回はピッチに立てなかった浦和レッズ。
「ちょっと楽しみな部分もあります」
背番号8が攻撃を牽引する。
文:田中滋(鹿島担当)
明治安田生命J1リーグ 第30節
11月29日(日)15:00KO カシマ
鹿島アントラーズ vs 浦和レッズ
◆【鹿島 vs 浦和】サッカー選手としての恩返し・土居聖真(J’s GOAL)