日刊鹿島アントラーズニュース

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2021年3月4日木曜日

◆FW鈴木優磨、ベルギーでゴール量産の理由 苦闘の末に開眼「パワー系では勝てない」(FOOTBALLZONE)






【鈴木優磨インタビュー】シント=トロイデン2年目は全試合に先発し14ゴール「相当な覚悟で臨んだ」


 ベルギー1部リーグ全試合に先発出場し、14ゴール3アシスト。シント=トロイデンのFW鈴木優磨の勢いが止まらない。日本代表FW大迫勇也(ブレーメン)や同FW鈴木武蔵(ベールスホット)らが所属先のクラブで目立った成績を残せていないなか、鈴木優磨はコンスタントに得点を重ね、今季のベルギーリーグを代表するストライカーの1人になりつつある。今回オンライン形式でのインタビュー取材を申し込み、今季のシント=トロイデンの戦いぶりと自身の好調の要因について話を聞いた。(取材・文=土佐堅志)


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「今年やれなかったら厳しいだろうなと思っていました。今年は相当な覚悟で臨んでいました」

 インタビュー冒頭で「現在のようなゴール数をシーズン前から目標として設定していたのか」と尋ねた際、鈴木はきっぱりとそう言い切った。初の海外挑戦となった昨季は、日本とベルギーの生活習慣やサッカーの違いに順応するまでに時間を要し、さらには新型コロナウイルスの感染拡大によって、自身の目標としていた二桁得点も達成できずにリーグ戦が途中で終わってしまうという不本意なシーズンとなったからだ。そのため今季に懸ける鈴木の思いは強く、昨季2位の強豪ヘントとのリーグ開幕戦(2-1)では前半2分に早くも今季初ゴールをマークし、不退転の決意を目に見える結果で示した。

 しかし、そのヘント戦以降、シント=トロイデンは第2節アンデルレヒト戦(1-3)から8試合連続未勝利と極度の不振に陥る。3-6で大敗した第9節ベールスホット戦後には、不満を募らせた地元のサポーター団体「Supportersverbond KSTVV」がクラブに書簡を送付して経営陣との面会を要求する事態となり、さらにチーム状態の悪化に影響を受けて得点を取れない試合が続いていた鈴木に対しても、「まだ冨安、鎌田の域には達していない」(ベルギー紙「Voetbal Belgie」)と批判の矛先が向けられ、チーム内でも結束に綻びが生じていた。

「やっぱり勝てなくなってくると、どうしてもこっちの選手は誰かのせいにしてしまうということはありました。『あいつが悪い』『こいつが悪い』みたいな感じになってしまって、チームとして難しくなっていました」

 昨年12月1日に行われた第11節ムスクロン戦(2-3)での敗北後、クラブはついにケビン・マスカット前監督を解任し、ピーター・マース監督の招聘を決断。チームの良さを全面的に活かそうとしていたマスカット前監督がチームを去ったことに対して鈴木も責任を感じていたというが、その一方で規律と約束事を重視するマース監督の就任によってチーム状況が大きく改善したのも確かだった。

 鈴木自身も監督交代によってFWとしての役割に変化が生じたが、本人はそれをポジティブに捉えている。




監督交代を機にやるべきことが整理「ゴールを取る方法を考えた」


「その前はやるべきことが多過ぎたんです。ボールを収めて攻撃をスタートさせないといけないし、点も取らないといけない。それで成長できた部分もあったんですけど、今はやるべきことが明確になったというのはあります」

 やるべきことが整理され、「ゴールを奪う」というストライカー本来の仕事に、より集中できる環境を得たことで、鈴木の得点のペースは一気に上がった。特に第17節ズルテ・ワレヘム戦(2-0)から第25節コルトレイク戦(2-0)までの6試合で7ゴールをマークするなど、昨年12月から年明け1月にかけては、相手にとって手がつけられない存在となっていた。

 ただし、ゴール量産の要因は監督交代だけではないようだ。「こうやれば戦えるというのが見えてきました」という鈴木は、昨季以降に施したプレースタイルの変化についても具体的に語ってくれた。

「日本にいた頃は、相手と五分五分の勝負を挑んでいくパワー系だったと思います。だけど、それをやっていたらこっちでは勝てないんですよ。相手も強いし、同じようなタイプだったら俺より良い選手もいっぱいいるし。ペナルティーエリア内のポジション取りであったり、駆け引きといった部分で勝負するしかないと改めて思いました。

 最初から前に走り込むよりは2列目ぐらいの位置にいて、カウンターになった時に前に出て行ったほうが意外と相手につかまれないとか、そういうゴールを取る方法をまずは考えました。基本はディフェンダーとガンっと当たるようなプレーをする選手だったんですけど、それは避けるようになりましたね。最近は特に」

 Jリーグ時代からの代名詞である「熱い気持ち」だけでなく、冷静に自分の立ち位置を分析することで、鈴木は日本人選手では初となる欧州主要リーグでのシーズン20ゴールも射程圏内に収めている。プロ選手としての転機になったという鹿島アントラーズでの2018年シーズン以来、2度目のブレイクスルーを今季の鈴木は迎えているのではないだろうか。




◆FW鈴木優磨、ベルギーでゴール量産の理由 苦闘の末に開眼「パワー系では勝てない」(FOOTBALLZONE)





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