日刊鹿島アントラーズニュース

Ads by Google

2021年6月18日金曜日

◆当落線上のCB町田浩樹「非常に高い壁だけど挑んでいく」(日刊ゲンダイ)







 中田浩二(鹿島CRO)、内田篤人(JFAロールモデルコーチ)、植田直通(ニーム)……。過去の五輪には毎回のように常勝軍団・鹿島のDFがいた。  

 23歳の町田浩樹は、その系譜を次ぐ存在だ。

 アカデミー生え抜きの左利きCBは目下、東京五輪メンバー入りの当落選上にいるが、「今はコンスタントに鹿島で試合に出て結果もついてきた。自信を持ってやれているので、代表に残りたい気持ちは非常に強い」と切なる胸の内を吐露した。

 190センチの長身は、セットプレー時に威力を発揮する。その存在価値を森保一、横内昭展両指揮官はどう判断するのだろうか。

 1997年8月生まれの町田は茨城県つくば市生まれ、中学時代から鹿島つくばジュニアユース入りし、ユースを経て2016年にトップ昇格を果たした。

育成時代から中田浩二や小笠原満男(鹿島アカデミーアドバイザー)ら偉大なレジェンドが身近にいて、ラインの上げ下げやボールの奪い方やパスコースの切り方など実践的指導を受ける機会に恵まれた。

 が、プロ3年目までは植田、昌子源(G大阪)というA代表CBの高い壁に阻まれ、ほとんど出場機会を得られなかった。


■「自分が鹿島を支えなければ」


 その状況が変化したのが2019年だ。2018年夏に植田がベルギーへ赴いたのに続き、2019年1月に昌子もフランスへ移籍。町田がCB陣の一角に食い込み始めたのだ。

 そしてザーゴ監督が就任した2020年以降は、より存在感が高まった。同年には内田篤人の引退もあり、下部組織育ちの町田は「これからは自分が鹿島を支えなければいけない」という思いを強めたはずだ。

 急激な成長を森保・横内両監督も見逃さず、今年3月のU-24アルゼンチン2連戦に町田を招集。北九州での2戦目に先発した彼はJ1経験で得た安定感と落ち着きを前面に押し出し、3-0の無失点勝利に貢献。左足からの正確なフィードで攻撃チャンスも演出した。

 これはオーバーエージの吉田麻也(サンプドリア)やA第代表主力の冨安健洋(ボローニャ)にもできない高度な芸当。日本サッカー界が長年待ち望んだ左利きDFの東京五輪参戦がぼんやりと見えてきた。

 ところが、鹿島では直後に自身を重用してくれたザーゴ監督が解任される事態に。相馬直樹コーチが後を引き継いだが、町田の危機感は強まった。

「チーム状態が良くない中で球際、走るところ、コンパクトに戦うところをしっかりやろうと。ある意味『鹿島の原点』に戻るしかない」と自覚を強めた大型CBは、新体制初戦だった4月17日の徳島戦でCKから打点の高いヘッドをお見舞い。1-0の勝利の原動力となり、チームを窮地から救う大仕事をしてみせた。

 その勝負強さは秋田豊(盛岡監督)、岩政大樹(上武大監督)、昌子といった先輩CBたちに通じる。彼は常勝軍団の看板選手に相応しい存在に飛躍するきっかけをつかんだのだ。

 それだけに今回は何とか東京五輪の18人に滑り込んでほしいもの。6月シリーズは3日のA代表との〈兄弟対決〉にフル出場。12日のジャマイカ戦(豊田)も前半45分間プレー。CBの序列では吉田、冨安の下で瀬古歩夢(C大阪)と残り1枠を争う構図と見られる。

 しかし、ボランチ兼任の板倉滉(フローニンゲン)、左SB兼任の中山雄太(ズウォレ)、CBと右SBとCBをこなせる酒井宏樹(浦和)もいるため、町田と瀬古が揃って外れる可能性もゼロではない。

 選考結果が判明するのは22日。仮に悔しい結果に終わったとしても、彼には先がある。

「麻也君とトミを少しでも揺るがすようなプレーができれば、五輪だけじゃなく、その先も見えてくる。非常に高い壁だけど挑んでいきたい」と町田は毅然と前を向いていた。

 そのひたむきさと向上心は、いつか必ず報われるときが来る。そう信じて、今はとにかく鹿島での日々を大事にしてほしい。




◆当落線上のCB町田浩樹「非常に高い壁だけど挑んでいく」(日刊ゲンダイ)





Ads by Google

日刊鹿島

過去の記事