日刊鹿島アントラーズニュース

Ads by Google

2021年11月11日木曜日

◆鹿島アントラーズ、浦和レッズに完勝!(サッカー批評)






「ズレを狙うレッズ」を完璧に封じた「鹿島の強度」


■11月07日/J1第35節  鹿島アントラーズ 1-0 浦和レッズ(カシマ)

 ACL出場権を巡って3位争いに挑む両チームの対決は、鹿島に軍配が上がった。

 試合開始時点で、勝点59で並ぶ5位・鹿島と6位・浦和がカシマスタジアムで激突した試合は、序盤から鹿島ペースで進んだ。開始わずか16秒でFW土居聖真があわやというシュートを放ったシーンが、ワンサイドゲームの始まりだった。これを皮切りに、鹿島が次々とチャンスを作り出したのだ。

 同じ勝ち点同士の戦いとは思えないほど、鹿島がピッチを支配した。浦和はGK西川周作からビルドアップを試みた。その狙いはズレ。4-4―1-1で守る鹿島の列を超えるために、ズレを作ろうとした。

 しかし、鹿島は周到だった。ゴールキックの際には前進したポジショニングを取るものの、むやみには食いつかない。そこで浦和はなんとかボールを回して左右にズレを作ろうとするものの、この試合で鹿島は恐ろしいほどに素早いスライドを見せ、ボールを入れる隙を与えなかった。

 しかも、ボールを奪う瞬間には一斉にコースを切って絡み取り、縦に素早く展開。ホームチームの見せた異様な集中力がもたらすプレー強度で、浦和のゲームプランを無効化したのだ。

 その結果は、前半の数字にも表れた。鹿島が10本のシュートを放ったのに対し、浦和はゼロ。スコアこそ1-0だったものの、内容では大きな差が出た45分となった。


■強度低下は交代カードで補うプラン


 得点はコーナーキックからだった。鹿島にとって右コーナーキックの崩れから、土居聖真が押し込んだものだ。これがクラブ通算1700ゴール目となる節目の得点。チャンスを作りながらも決められなければ、セットプレーから奪うという、鹿島らしさが表れた記念ゴールだった。

 後半になっても、大きな流れは変わらない。鹿島は前半同様に強度で勝負し、体力的に落ちてきたときには交代カードで対応した。

「われわれが前半でだいぶ足を使った分、(後半は)押し込まれる展開になることは想定していた」

 相馬直樹監督がこう話したことから、前半のうちに浦和の出鼻をくじこうとしていたことが分かる。そして、「後ろに人を増やしていくか、前のチェイスの部分を含めて起点になること、攻撃の起点になることを含めて手を入れていこうという中で」(相馬監督)、エヴェラウドや荒木遼太郎をピッチに送り込んだ。さらに最終的には、犬飼智也を投入して3バック+ウイングバックの5枚をそろえる徹底ぶりだった。最初から最後まで強度を落とすことは考えていなかった。

 内容的に鹿島は完勝と言えるものだったが、一方で相馬監督は、試合後にある懸念材料を口にしたのだ。


鹿島・相馬直樹監督が「3-0にしなければ」と言い切ったワンサイドゲーム


 浦和に前半はシュートをまったく撃たせないほどの内容をピッチで繰り広げた鹿島は、最初の45分で10本のシュートを放った。そのうちの1本がFW土居聖真のゴールで、コーナーキックで生じた混戦から押し込んだものだった。これが鹿島というクラブにとって通算1700ゴール。セットプレーでしぶとくもぎ取った、鹿島らしいゴールだった。

 後半も浦和に主導権を渡すことなく、強度高めのプレーでピッチを支配。点差以上に内容で圧倒したウノ・ゼロ勝利を手にしたのだ。

 ところが、相馬直樹監督は試合後に課題を提起した。それが、自分たちのリズムの状態での決定力だ。鹿島は前半だけで10本のシュートを放ち、決定的なものも多かった。

「本当に良い立ち上がりで入っていけたと思っています。本来であれば、その時間帯にもっと点を取らなければいけなかった」 指揮官がこう話すように、開始わずか15秒での土居のシュート、さらに日本代表にも選出された上田綺世の裏抜けシュートなど、いくつもチャンスがあった。にもかかわらず、決めることができたのは1度だけだった。

「本来であれば、3-0くらいのスコアにしなければいけなかった」

 こう言い切ることに、傲慢さがみじんもないほど、鹿島はピッチをわが物とした。


■「支配されたという言葉では表現できないくらい、前半は押し込まれた」


 実際、浦和のDFアレクサンダー・ショルツは「支配されたという言葉では表現できないくらい、前半は押し込まれた」と話し、古巣対決となった西大伍も「最初に何回か引っかかってしまって、ちょっと怖がってしまったかな」と振り返った。

 この試合で鹿島が選択したのは、ラインをしっかり保って強度高くプレーすることだった。そして、浦和陣地でプレー時間を長くすることだった。この試合でマンオブザマッチに選ばれたDF安西幸輝は、ハーフタイム中に「しっかりブロックを敷いて戦おう」と話し合っていたことを明かしているし、「僕らの陣地でボールを動かされると面倒くさいので、僕がガンガン上がって(西)大伍君を出さないようにして、うまく押し込めた」と話していた。鹿島は描いていたゲームプランを見事に遂行したのだ。

 終盤、浦和はセンターバックの槙野智章を前線に投入し、身長182センチと強靭なフィジカルを生かして得点を狙ったが、鹿島はそれにも冷静に対応した。槙野投入の1分後にはDF犬飼智也を送り込み、ゴール前にセンターバック3枚を並べた。それまでとは違った攻め方に戸惑う部分もあったかもしれないが、、この日の鹿島にとって3分+アディショナルタイムを守り切ることは難しいことではなかった。


■勝たなければいけない2つの理由


 鹿島はACLをかけた勝ち点59同士の対決を制して、順位を4位に上げた。とはいえ、残り3戦で神戸との勝ち点差はまだ「5」もある。ここから逆転するのは決して容易ではない。

 次節は11月20日に開催される、ホームでの大分トリニータ戦だ。大分はこの節の結果によってJ2降格の可能性も秘めているだけに、難しい相手となる。さらに言えば、昨季のホーム大分戦では、鹿島は0-2で完封負けしたカードだ。神戸を追い抜くためにも、昨季のリベンジを果たすためにも、負けられない試合となる。

 来季の相馬アントラーズがアジアを舞台に戦うことができるのか、クラブ30周年を笑顔で終えるためのラストマッチ3試合は絶対に勝利を掴み取る。







Ads by Google

日刊鹿島

過去の記事