日刊鹿島アントラーズニュース

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2023年1月17日火曜日

◆今季の鹿島アントラーズはガラリと変わる? 優勝目指すチームの変化と期待高まる新戦力【コラム】(フットボールチャンネル)






タイトル奪還を目指す鹿島アントラーズが2023シーズンに向けて始動し、15日には新体制発表会を開催した。昌子源らが復帰し、岩政大樹監督としても真価が問われる今シーズン、鹿島は変化を打ち出して優勝を目指す。そして、新戦力の加入は、鹿島にどういった色を加え、どういった結果をもたらすのだろうか。(取材・文:元川悦子)


「優勝を目指す」鹿島アントラーズ


 昨年8月にクラブOBの岩政大樹監督が就任したものの、それ以降のリーグは2勝6分2敗と結果を残せず、鹿島アントラーズはJ1・4位という結果でAFCチャンピオンズリーグ出場を逃した。YBCルヴァンカップと天皇杯も取れず、6季連続国内タイトルなしに終わっている。

 彼らにとって常勝軍団復活はまさに悲願。2023年は「結束してタイトル奪還を目指す」という強化方針の下、鹿島で優勝経験のある昌子源、植田直通を復帰させた。さらに国内で実績を残してきた知念慶、藤井智也、佐野海舟らを補強。レンタルに出していた垣田裕暉、染野唯月、須藤直輝も戻し、さらに新卒の師岡柊生、津久井佳佑、パク・ヴィジョンも獲得、下田栄祐が昇格し、より分厚い選手層で大目標に挑むことになる。

 そんな鹿島が15日、新体制発表会を実施。Jリーグ発足30周年にふさわしく、初めてソシオ会員を集めてお披露目を行った。

 熱気あふれる雰囲気の中、まず岩政監督が登壇。「今年は競争と成長を持って優勝を目指す」と宣言。これまで1人の中心選手が担っていたキャプテンを4人制にすることを明らかにし、今季は土居聖真、昌子、鈴木優磨、クォン・スンテが担うことになったという。

「キャプテン1人だと正直、いろんなことを抱え込んでしまうところがあった。切磋琢磨しながら問題解決できるのはいいこと」と土居も前向きにコメントしていた。


「勝つというのはそんなに甘いもんじゃない」


 確かに、近年のキャプテンだった三竿健斗や土居はチーム第一志向が強すぎて自身のパフォーマンスにブレーキがかかる部分があった。それを防ぐ意味でも分業制にするのは悪くない選択。チーム統率役を担う面々がイキイキと躍動あるプレーを率先して示せるようになれば理想的だ。

 今季の34人の陣容を見ると、昨季優勝を争った横浜F・マリノスや川崎フロンターレと比較しても見劣りしないと言っていいだろう。

 特に大きいのは、昌子と植田の復帰。岩政監督は始動日だった6日のオンライン取材で「伝統的に鹿島には常勝軍団を体現する先輩がいて、自分と照らし合わせて追いつけ追い越せで努力する環境があった。『新しい鹿島を作る』と僕は言っているが、鹿島を知らずしてそれはできない。タイトル獲得経験のある昌子と植田にはその指標になってほしい」と語っていたが、2人はかつて小笠原満男らから学んだものを継承していく大仕事が託されるのだ。

「仲良しこよしでやっていても勝てない。鹿島がここ何年かタイトルが取れていないのは、もしかしたらどっかで甘えがあったり、言い合いがなかったのかもしれない。勝つというのはそんなに甘いもんじゃない。他のJリーグの相手じゃなくて、紅白戦の相手が一番強い時の鹿島が一番強い。そういう雰囲気を作りたい」と昌子も語気を強めたが、ピリピリとした緊張感と競争意識を取り戻すのが、タイトル奪還への第一歩と言えるのではないか。

 新体制発表会に先駆けて同日午前中に行われた南葛SCとの今年初の練習試合でも、そういった雰囲気の一端が垣間見えた。


垣間見えた新たなバリエーション


 始動間もない実戦ということもあり、20分×3本という短いゲーム形式だった。負傷離脱中の昌子や津久井、体調不良の染野らは欠場したが、1本目から新戦力の師岡が2ゴールをゲット。3本目にはレンタル復帰組の垣田も2点を叩き出すなど、新たなサバイバルのスタートという印象を色濃く残している。

 王者奪還に向けて絶対に克服しなければいけない課題は、昨季J1通算47得点という横浜、川崎に比べて見劣りした得点力をアップさせることだ。しかも、昨季はシーズン途中にセルクル・ブルージュに移籍した上田綺世が10点と彼への依存度が高かった。アルトゥール・カイキが9点、鈴木優磨が7点と健闘はしたものの、彼らを含めてさらなるゴール量産が必要なのは事実。そこは最重要テーマの1つと考えていい。

 南葛戦の鹿島は4-2-1-3(4-2-3-1)に近い布陣で戦っていたため、今季の前線は1トップとセカンドトップ(トップ下)という組み合わせが有力。それぞれの候補者を見ると、前者は知念、エレケ、垣田、染野、後者は鈴木優磨、荒木遼太郎、名古新太郎、土居あたりが陣取りそうだ。今回は知念・荒木、エレケ・鈴木、垣田・名古、あるいは垣田・土居の組み合わせで戦っていたが、ここから連係強化が進み、新たなバリエーションが生まれていけば、より多様な戦い方ができそうだ。

 特に垣田は注目株。練習試合の3本目に奪ったゴールの1点目は華麗なミドルシュートで、もう1点は相手DFのクリアボールが当たって入るという泥臭い形。いろんなパターンから得点を奪えるのは大きなストロングポイントだ。「自分はFWなんで点を取らなきゃいけないという目標はある。一昨年の徳島で8点、去年の鳥栖で6点を取っているので、今年は2ケタゴールを目指したい」と本人も意気込みを新たにした。


新たな常勝軍団を作り上げるには…


 身長187cmの垣田は高さを生かしたプレーもできるし、スピードを生かしながら献身的な守備やハードワークもできる。本人も「大きい選手が苦手な走ることや足元の技術を出すことができる。それはJ2からJ1で一歩一歩自分の足でゆっくり登った成果。やっと鹿島に挑戦するところまで辿り着けたので、一生懸命やりたい」と強調した。ギラギラ感の強い男の加入は前線を活性化させそうだ。

 一方、新戦力の中で期待値の高い師岡はサイドが主戦場になる見通し。この日の1本目でも仲間隼人と左右を入れ替えながらプレーし、ゴール前での鋭さを示していた。その一挙手一投足には南葛の元日本代表・今野泰幸らも驚きを口にしたほど。かつて関川郁万とFC多摩でプレーしていたこともあり、チーム適応もスムーズに進んでいる様子だ。

「東京国際大学もそうだけど、今までの僕は強いチームを倒す側にいた。でも今回は初めて強いチームに入った。ここで自分が活躍できるかどうかが問われる。ここで最大限アピールできれば、上に行ける」と野心を露にしていた。

 こういった新たな顔ぶれがチームを活性化させ、常勝軍団らしい厳しさと意識の高さを全員がピッチ内外で表現できるようになれば、今季の鹿島はガラリと変わるかもしれない。昌子の長期離脱は痛いが、その分、人間的に成熟した植田がしっかりとリードしてくれるだろう。そういった部分を含め、ここからの動向が大いに楽しみだ。

 2023年は鹿島から目が離せない。

(取材・文:元川悦子)

【了】




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