正GKはクォン・スンテを予想も、早川と沖が猛追
来るべき新シーズンに向けて、戦力補強やキャンプインなど、各クラブが着々と準備を進めている。いかなる陣容で新たな戦いに臨むか。本稿では、鹿島アントラーズのポジション別最新序列をお届けする。
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【GK】
現在38歳の大ベテラン、クォン・スンテがファーストチョイスと思われるが、その座を脅かすべく、猛追する2人のGKがいる。
1人は明治大から鹿島に加入し、プロ3年目となる早川友基だ。安定したキャッチングとシュートストップに優れ、足もとの技術も高い。昨季J1第30節の鳥栖戦でJデビューを飾って以降、5試合連続フル出場と進境著しい注目株だ。
そしてもう1人が2020年から2シーズンにわたり、正GKを務めていた沖悠哉。昨季こそベンチを温める機会が増えたものの、あらゆる面でバージョンアップし、スタメン奪取に意気込む。
今年、漢陽工業高(韓国)を卒業と同時に鹿島入りした18歳のパク・ウィジョンは、アンダーカテゴリーの韓国代表に常時、名を連ねる逸材。鹿島ではあくまでも4番手の位置づけながら、身長192センチと、将来を嘱望される大型GKだ。
【DF】
かつて鹿島のタイトル獲得に尽力した2人のCB、昌子源と植田直通が戻ってきた。ともに海外移籍を経験するなど、プロフットボーラーとして、また人として、さらに視野を広げての復帰。4バックの中央を担うのはこのコンビが“鉄板”だが、チーム始動早々に昌子が負傷離脱を余儀なくされた。開幕戦に間に合うか、微妙なところだ。
その穴を埋めるのは、プロ5年目の関川郁万が有力。現役時代にセンターバックだった岩政大樹監督の薫陶を受け、鹿島のセンターバックたる自覚と責任感がいっそう深まっている。
ただ、植田と関川は同じクラッシャータイプだけに、連係面を踏まえ、プレースタイルの異なるキム・ミンテの起用も十分に考えられるだろう。
両サイドバックの顔ぶれに変化はなく、右サイドは引き続き、常本佳吾と広瀬陸斗が競い合う。攻守にわたってプレー強度の高い前者が一歩リードといったところか。
左サイドはクラブ伝統の2番を背負う安西幸輝が不動の存在。他クラブで実戦経験を積み、昨季レンタルバックした小田逸稀、アカデミー出身で、プロ2年目の溝口修平がどこまで割って入れるか。
中盤から前は様々な形が想定される
【MF】
昨季途中から指揮官のバトンを受け継いだ岩政監督は、選手の個性や試合展開に応じて大胆なシステム変更もいとわない。フィールドメンバーが同じ10人であっても必要とあれば、立ち位置を変えて戦うのが岩政流だ。ゆえに、新加入組やレンタルバック組が多い中盤から前の構成は様々な形が想定される。
現段階ではアンカーを置く公算が高く、そのポジションに一躍、名乗りを上げたのが新加入の佐野海舟だ。ボール奪取力と展開力に長け、練習試合での好パフォーマンスによって周囲の信頼を勝ち得ている。とはいえ、鹿島加入2年目の中村亮太朗が2番手に甘んじるつもりなど毛頭ないだろう。
鹿島での実績からサイドハーフの左はディエゴ・ピトゥカ、右は樋口雄太、トップ下は荒木遼太郎がそれぞれ務めそうだが、スピード豊かな新戦力の藤井智也、プロ4年目を迎え、成長著しい松村優太、バイタリティにあふれる仲間隼斗、怪我による長期離脱から復活した名古新太郎など、甲乙つけがたい個性がひしめき合う。中盤のポジション争いは激戦必至だ。
【FW】
2トップは自ら得点するだけではなく、周囲を活かす器用さを兼ね備える大黒柱の鈴木優磨と、宿敵の川崎から相当な覚悟を持って移籍してきたパワーシューターである知念慶の組み合わせがやはり一番手になるだろう。
昨季のJ1では幸先よく滑り出しながら、チーム一の得点源だった上田綺世の海外移籍を境に、勝ちきれない試合が続いた。最終的にリーグ4位まで持ち直したものの、総得点は47。優勝した横浜のそれが70点で、2位・川崎は65点と、ずいぶん水をあけられた。“上田ロス”の払拭が明確な課題だけに、クラブ伝統の13番を託された知念にかかる期待は大きい。
昨季、上田に続き、チーム2番目の得点を記録したアルトゥール・カイキ、昨夏に加入した190センチの大型FWのエレケ、攻撃に違いをもたらす土居聖真、武者修行の末、7年ぶりに鹿島に戻ってきた垣田裕暉など、2トップの選手層は厚い。
そんななか、急速に評価を高めているのが大卒ルーキーの師岡柊生だ。スピードとテクニックを兼ね備え、献身的な守備も光る。序列を大きく覆し、開幕スタメンに抜擢される可能性も決して小さくない。
文●小室功(オフィス・プリマベーラ)
◆【鹿島|ポジション別最新序列】開幕スタメン抜擢の可能性もある大卒ルーキーFW。中盤のポジション争いは激戦必至(サッカーダイジェスト)