
日刊鹿島アントラーズニュース
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2024年1月18日木曜日
◆合言葉は「ブラボー」。ポポヴィッチ新監督が鹿島にもたらす新風。要求はシンプルで、矢印は常にゴールに向けられている(サッカーダイジェスト)

1回のセッションで80ブラボー
「ブラーボー!」
鹿島アントラーズの練習後、ミックスゾーンで他選手を取材している時に、こちら側にそう呼びかけてきたのは鈴木優磨だ。つまりは“ポポさん”ことランコ・ポポヴィッチ新監督の声を真似ているのだが、本当にそっくりで、一瞬そこにポポヴィッチ監督がいるのではないかと疑ってしまったほどだ。
嬉しそうな表情で声真似をする鈴木を見るだけでも、いかに雰囲気が良いか伝わってくる。「ブラボー」と言えば、カタール・ワールドカップの時に長友佑都が全国区で流行らせたイメージはあるが、元々は北海道コンサドーレ札幌の“ミシャ”ことミハイロ・ペトロヴィッチ監督が広島時代によく使っており、その影響からか、ミシャと縁のある横内昭展監督(ジュビロ磐田)も代表コーチ時代からよく使う。
そのミシャとは犬猿の仲とも伝えられるポポヴィッチ監督が、同じく「ブラボー」を使っているのは興味深いが、ポポヴィッチ監督ほど練習中に「ブラボー」を連発する監督もいないのではないか。
筆者が取材した直近の2日間でも、1回のセッションで80ブラボーぐらい耳にした。そして良いプレーが繋がった時は「ブラボー・コンボ」が発動し、最後は「カンペキ!」で締めくくるのだ。
安西幸輝にポポヴィッチ監督から「ブラボー」が出る基準を聞いたところ「分かんないです」と満面の笑みで答えてくれた。
そして、さすがは“安西先生”ということで、適任者を探してみる。いた。仲間隼斗だ。柏レイソルの下部組織で育ち、ロアッソ熊本、カマタマーレ讃岐、ファジアーノ岡山、そして柏から鹿島に行き着いた叩き上げのアタッカーは「みんな薄々は感じてると思います」と語る。
「ポポさんのイメージするテンポだったり、ダイナミックさだったりが何人かで繋がった時に、そういった声は出てるので。そういうのが好きなのかなとか、そういうのがやっぱりポポさんのイメージなのかなと、みんな汲んでいるところはあると思う」
ポポヴィッチ監督の声かけや、町田時代も一緒だった塚田貴志通訳の言葉を聞いても、要求は本当にシンプルだ。もちろんチームの指導も間もないということもあるかもしれないが、複雑な要求は何もしない。
その代わり、チームによってはシーズン中でもなかなか見ないようなスピード感とテンポでボールも人も動くのだ。
攻撃の矢印は常にゴールに向けられているが、決して縦一本にこだわるのではなく、しっかりとボランチやセンターバックも使って、左右中央と幅広く攻撃方向が共有されていく。
スーパーチームに化ける可能性も
基本はワンタッチ、多くてもツータッチをハーフコートで展開するというのは簡単ではない。もちろんミスも出るが、積極的にやり切ったミスに関して、ポポヴィッチ監督はネガティブなことを何も言わない。その代わり、テンポを落としたり、その場で停滞させると、すぐに強い要求の声が飛んでくるのだ。
おそらくシーズンが迫っていけば、90分の尺や試合の流れを考えて、意図的にテンポを落とすようなことも入れていく必要があるだろう。しかし、現段階ではいかに方向性を植え付けるかが大事で、その矢印に選手たちもあえて乗っかっている印象だ。
そのなかで、サイドバックが中盤を追い越すアクションなども非常に目立っていた。経験豊富な仲間にそうした意図を聞いてみる。
「鹿島の選手というのはどの監督になっても、その監督に合わせる姿勢をすごく見せる。だけど、ずっとそれではいけないので、その調整というか、少し戻すところをみんなで合わせていかないと。90分間、死に物狂いでやるのはできないし、というところで、戻す作業もこれから大事になっていくと思う。だけど今はみんながどんどんやっていけばいい」
試合というのは生き物であり、勝つためにはどこかでゲームコントロールが必要になってくる。ただ、そこに関しては柴崎岳というスペシャリストもおり、何も心配はいらないだろう。
仲間も「いるだけでというか、ゲームが落ち着くというか。本当に全体が見えてる選手」と前置きしながら、彼一人に任せてしまわず、イメージを共有しながらチーム力を高めていきたいと語る。
正直に言ってしまうと、オフシーズンの鹿島の動きは、上位を争うライバルより地味だった。もちろん移籍のマーケットは閉じていないので、開幕までに“ラストピース”はあるかもしれないが、フィールドの補強は左利きセンターバックのヨシプ・チャルシッチとサイドアタッカーのギリェルメ・パレジという外国人の二人と、“ネクスト・アツト”の期待を背負う大卒ルーキーの濃野公人しかいない。
しかし、元々いる選手たちのポテンシャルは高い。藤井智也や松村優太など、フルシーズン主力として稼働していなかったタレントたちが、ポポヴィッチ監督のもとでさらに覚醒すれば、スーパーチームに化ける可能性も秘めている。
再び安西に聞いてみると、いつも笑顔のサイドバックは「今に見てろって思ってます」と目をギラつかせた。
取材・文●河治良幸
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