日刊鹿島アントラーズニュース

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2014年3月3日月曜日

◆【J1:第1節 甲府 vs 鹿島】レポート:勝っても負けても次が大事。若手とベテランの融合で4得点無失点の鹿島。甲府はいい薬を貰った開幕戦(J's GOAL)


http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00168829.html



3月1日(土) 2014 J1リーグ戦 第1節
甲府 0 - 4 鹿島 (14:05/国立/13,809人)
得点者:11' ダヴィ(鹿島)、26' 遠藤康(鹿島)、47' 昌子源(鹿島)、90'+3 ダヴィ(鹿島)
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記者会見場に入ってきたトニーニョ セレーゾ監督の嬉しそうな顔が印象的だった。鹿島は守備が心配という話もあったけれど、第1節に関しては無失点、4得点。口角が上がっていないときでも、ぱっちりと開いた黒目がちの瞳が笑っていた。「(今年の鹿島は)若い選手が多くいることで安定しないと思う。負け込むことも連敗もあるでしょう。でも、悪い経験がないと何をどう良くすればいいのか分からない。言葉や映像で説明しても自分で感じないと分からないもの」と、経験豊富な監督らしいコメントもあったが、第1節で鹿島の若い選手が自信をつけ、勇気を持ってチャレンジする雰囲気はできただろう。この勢いだけで5試合、10試合と戦えるとは思わないが、毎年何かしらのタイトルがないと満足できないクラブにとって、いいスタートを切れるに越したことはない。

甲府もいいスタートを切れた。負け惜しみの濃度は指3本分くらいあるけれど、ロックではなくソーダ割り。J1で何年もタイトルを取れないと監督や社長・GMの人事問題が取り沙汰されるビッグクラブサロンのメンバーではなく、J1の椅子に何年連続(現在2年目)で座り続けることができるかという目標でクラブの発展・進化に挑戦中なので、開幕戦で得るのもがあれば勝敗以上の価値につなげることができる。大雪災害の影響で今シーズンは山梨県内で練習できたのは2日だけ。開幕前の大事な2週間のスケジュールが大きく狂ったことを言い訳にはしないけれど、一応書いておく…。でも、やっぱり0-4はショックはショック…。お蔭さまで、城福浩監督のボイラーもいい具合に温度が上がってきたはず。甲府の勝点はフォルランや柿谷曜一朗がいるC大阪と同じなので何の心配もない。勝っても負けても次が大事なだけ。

試合後、記者室に帰ってきて聞こえてきたペン記者の話。
「4点目って、スローインからのキックだった?」
「確か、直接じゃないですかね…」
「ダヴィが何やったの?」
「スローインのボールを小笠原(満男)が蹴ってダヴィがバックヘッド?」

要は、3-0で鹿島の勝利が確実なアディショナルタイム(90分+3)、気温は低く寒いし、他の会場の結果も気になるし、どんな切り口で原稿を書くのかあれこれ考える時間帯で、集中力が欠如していたということ。自分自身、聞かれてもあやふやにしか答えられなかったが、スマホだったので画面は小さかったがスカパー!オンデマンドで改めて確認すると、小笠原のFKにダヴィが頭で合わせて、GK岡大生の上を越えて決まっていた。甲府の守備も0-3というショックで集中力が欠け気味だったのか、ダヴィがノープレッシャーで上手くコントロールして決めた。甲府から鹿島に移籍した去年は、イマイチフィットできていない印象だったけれど、ダヴィが甲府でフィットしたのも2年目から。今の恋人は――付き合い始めたばかりだけど――クリスティアーノなので、ダヴィの印象が薄くなっていたが、改めて凄さを見せつけられた。今年は鹿島サポーターを満足させるのではないだろうか。

3失点目は後半に入って間もない時間(47分)で、試合前に鹿島からの義援金を渡してくれた小笠原のFKに昌子源が上手く頭で擦らせて後ろにコースを変えて決めたゴール。昌子にとってJ公式戦初ゴールで、彼のこれからのキャリアにとって大きな活力になるはず。4月6日のG大阪戦(昌子はG大阪ジュニアユース→米子北高)でも活躍できれば、もっと大きな自信を手に鹿島の将来を背負う選手への階段を上がることができるはず。甲府からすれば、0-3になったショックもあったが、「次の1点が大事やね」、「そうそう、次の1点で変わりますよ」と、ハーフタイムにトイレで並んだ隣の甲府担当記者と話していただけに、「そっちに入ったか…」と、立ち上がりの大事なところで失点する甘さが悔しかった。小笠原のFKが素晴らしいとしても、鹿島が非公開でセットプレーの練習をやってきたとしても、やられ過ぎ。このころには「試合勘が…」と、J2富山とのトレーニングマッチ(2月22日)が大雪で中止になったことを理由に考えるようになっていたけれど、鹿島は若手とベテランが上手く噛み合っていたし、個で勝負できるいい選手がいることを実感した。

26分に遠藤康に決められた2失点目もCKからの流れ。GK岡が混戦の中でミドルシュートを一度止めたものの跳ね返り、また打たれてDFがもう一度跳ね返しているが、最後に遠藤が詰めた。岡は自分がボールをキャッチできなかったことを悔やんだが、ペナルティエリア内の人口密度が高い状態の混戦を完全にコントロールすることはできない。11分の1失点目は、それまでの10分間はピッチの三分の一の真ん中でガチャガチャすることが多かったけれど、“甲府の守備の堅さを今年も発揮できそうだ”と思っていただけにあっさりとダヴィに決められた印象だった。これも、スカパー!オンデマンドで何度か見返すと、ダヴィの体の寄せ方が上手いのか、青山直晃は先に飛んだダヴィに押さえられて高いジャンプができなかった。遠藤のCKの質もよかったのだろう。今年はC大阪と広島に特に注目が集まっているけれど、鹿島も質が高い。ダヴィに合わせるには何かと難しいこともあるだろうが、2列目の土居聖真、豊川雄太の積極性はチームと個、両方の成長に繋がるはずだ。

選手入場のとき、甲府の選手がベンチコートを着ているのに対して、鹿島の選手は(直前まではベンチコートを着ていたと思うが)ユニフォームのまま。昌子に至っては半袖。それを記者席から見て、若干圧された気分になったが大事なのは一喜一憂しないでやり続けること。2014年のJリーグ開幕。甲府も鹿島もファン・サポーターと一丸になって戦い、難しいことを乗り越えよう。いい薬頂きました。時間を戻せるのなら、試合前に飲みたかった。

以上

2014.03.02 Reported by 松尾潤

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