日刊鹿島アントラーズニュース

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2015年12月23日水曜日

◆“金狼”鈴木氏が語った本音…ストイックすぎる自分に苦笑(サンスポ)


http://www.sanspo.com/soccer/news/20151222/jle15122211300001-n1.html

現役を引退した元日本代表の鈴木隆行氏 

 【No Ball,No Life】

 サッカー元日本代表FW鈴木隆行氏(39)が今年限りで現役を引退した。1995年シーズンに茨城・日立工高から鹿島へ入団。21年の現役生活で延べ11度の移籍を経験した孤高のFWだった。

 「そんなにしていたんだね。数えたこともなかった。それだけ引っ越しが大変だった、ってことだよ」

 7日の引退会見を終えた鈴木氏は笑った。現役時代は、いつでもどこでも前を向いていたという。過去を振り返ったことはない。自分の選択に後悔したこともないという。だからこそ、「やり残しはまったくない。走りきった気持ちが強い」と、すがすがしい表情で語った。

 鈴木氏とは鹿島時代から付き合いがあるが、引退会見で忘れられない言葉を口にした。現役時代について、「21年間は苦しかった」と振り返ったのだ。2002年日韓W杯のベルギー戦でゴールを決めるなど、輝く時期があっただけに意外だった。だが、常に何かを追い求める鈴木氏にとっては活躍した喜びよりも、所属クラブで出場機会に恵まれない苦しさ、試合に出ても結果を求められる重圧など、乗り越えるべき壁と向き合っていた経験の方が“濃密”だった。

 「プロに入る前から苦しい環境にいることを望む性格だったと思う。これでいいや、と満足することは絶対にだめだと考えていたから」

 常に飢えていた。W杯ベルギー戦のゴールですら、「うれしかったのは一瞬。まだ同点だったし。むしろ、大会期間中も(重圧で)苦しくて、早く終わってほしいと思っていたくらい」。W杯での得点という“偉業”もかすんでいた。

 今年、鈴木氏は日本代表の仲間で、同氏と同じくベルギー戦でゴールを決めたMF稲本(現J2札幌)と当時のことを話す機会があり、苦しかった心境を伝えたという。「イナ(稲本)は『マジっすか? 俺は活躍して目立って海外のビッグクラブに行くことばかり考えていましたよ』と驚いていた。確かにシンジ(小野伸二、現札幌)なんかもそうだったね。苦しいなんて思っていたのは俺だけだったかもしれない」。ストイックすぎる自分に苦笑した。

 思わず私は尋ねてみた。あの頃は髪を派手な色に染め、“銀狼”や“金狼”と呼ばれていた。それはW杯で目立ち、海外移籍への足がかりにするためではなかったのか、と。すると鈴木氏は「別に。かっこいいと思っていただけ」。ひょうひょうとした返答に、肩すかしを食らった心境になった。

 今後は指導者を目指すという。自身は泥臭く、球際で激しく、闘争心を全面に出すタイプだった。どんな選手を育てたいのか。「自分のようなタイプにプラスして華麗にプレーできる。そういう選手が海外で活躍できるんじゃないですか。(泥臭さと華麗さの)両方がないと海外で活躍することはできない。そういうことを教えることはできます」。

 まずは来年中にプロの監督に必要な日本サッカー協会のS級ライセンス取得を目指すという。私は将来、“金狼塾”から飛び出したストライカーが、世界の舞台で活躍する日を心待ちにしている。

湯浅大(ゆあさ・だい)
1997年入社。サッカーをはじめ、芸能、野球を担当。現在は再びサッカーの現場を中心に取材活動中。サッカーでは鹿島の年間3冠、日韓W杯、野球では西武の日本一、日本のWBC連覇、レッドソックスのワールドシリーズ制覇など担当チームが快進撃したのがプチ自慢の42歳

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