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明治安田生命J1第1ステージ最終節 鹿島2―0福岡 (6月25日 鹿島)
リーグ屈指の守備力で混戦を制した。首位の鹿島は前半27分にDF山本脩斗(31)が先制点を決めると、同37分にはMF土居聖真(24)が2点目を決めて逃げ切り。福岡を2―0で下して12勝3分け2敗で勝ち点39とし、優勝を決めた。総失点10はリーグ最少失点。石井正忠監督(49)は史上2人目の選手、監督としてのステージ優勝を飾った。チームは09年に年間王者に輝いて以来、リーグタイトルから遠ざかっていたが、終盤の破竹の6連勝で7年ぶりのタイトルを手にした。
ホイッスルの瞬間、今季初めて3万人を超えた観衆は総立ちとなり、ベンチでは石井監督がスタッフと抱き合った。史上2人目の選手、監督としてのステージ優勝。選手時代の93年7月7日には、浦和戦で決勝ゴールを決めてJリーグ元年に第1ステージ制覇に導いた。そして、この日はポロシャツ姿での歓喜。「僕は(自身の快挙に)そんなに価値がないと思っている。クラブに対して少しの貢献にはなったが、そこは意識せずに、とにかく勝ち点3を取ることしか考えていなかった」と、謙虚に振り返った。
09年に年間優勝してからチームは6年間リーグタイトルから遠ざかった。12年には11位と低迷。クラブは世代交代を図るべく、トニーニョ・セレーゾ氏ら若手の育成に定評のある監督を招へいした。13、14年は優勝を目指しながらも、育成期間に充てた。そこで、頭角を現したのがこの日、得点を奪った土居。方向性は間違っていなかった。
昨季途中に就任した石井監督は、守備を再構築した。相手チームの分析ではセンターバックの利き足やクセまで細かな部分も選手に覚えさせた。FWがパスコースを限定させて高い位置でボールを奪い取り、攻撃に素早く転じるスタイルを徹底した。今季は17試合でわずか10失点。J1が18クラブとなった05年以降では3連覇を達成した09年以来、チーム最少タイ記録でステージ優勝を果たした。
チームを立て直したのは主将の小笠原だった。連覇を狙ったナビスコ杯では5月18日の湘南戦に敗れ、1次リーグ敗退が決定。同21日の名古屋戦を前にした円陣では「それぞれエゴを捨てて、この試合に懸けよう」と静かに呼び掛けた。「自分の言葉ではなく若い頃からずっとかけられている言葉」という。頭の中に浮かんだのは若い時の自分。チーム事情で交代を命じられた時には握手せず引き揚げたこともあった。だが、先輩に諭され気付いた。優先されるのは勝利。それが常勝軍団に脈々と受け継がれる“鹿島イズム”だ。名古屋戦の逆転勝ちを境にチームは負け知らず。終盤の破竹の6連勝で首位を走る川崎Fをかわし、ついに頂点に立った。
終盤にはこの試合限りでの退団が決定しているDF青木とFWジネイが途中出場。全員が思い描いたシナリオ通り、最良の形で栄冠に輝いた。