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明治安田生命J1第2S第1節 浦和2―1福岡 (7月2日 レベスタ)
明治安田生命J1第2ステージ(S)が開幕し、浦和は敵地で福岡に2―1の逆転勝利を収めた。リオデジャネイロ五輪に出場する日本代表にオーバーエージ(OA)枠で選ばれたFW興梠慎三(29)が1―1の後半19分に勝ち越しゴール。五輪でのメダル獲得、そして第2S制覇を目指すストライカーが、第1S終盤に失速したチームを白星発進に導いた。
役者が違った。1―1の後半19分、柏木のグラウンダーでのFKをペナルティーエリア右で受けた興梠は、DFを背負いながら右足2タッチで反転。振り向きざまに左足を振り抜き、勝ち越し点を決めた。前半22分に槙野が一発退場。浦和史上初となる1人少ない状況での逆転勝利に導いた。
「リオ五輪まで残りわずかしか試合に出られない。浦和にいる限り、チームに貢献したい。このようにできて良かった」
白星発進のため、執念を見せた。試合前に激しい腹痛に見舞われ、発熱の感覚もあった。腹痛を止める薬を飲んだが、体にだるさが残った。「何かを残さないといけないと思っていた」。攻勢に出た第1S最下位の福岡を沈める値千金の一撃。その4分後に青木と代わり、お役御免となった。五輪舞台について「自分が活躍しようとはちっとも思っていない。若い世代の選手の持ち味を100%出せるサポートがしたい」とFWらしからぬ意気込みを語る。最大の持ち味は巧みなポストプレーだが、勝負どころを逃さない得点力もある。
恩師の言葉がなければ、リオ五輪への参戦はなかった。OAの打診を受け、鵬翔(宮崎)時代の恩師・松崎博美監督に「どうしようか迷っている」と電話をかけた。自分を理解してくれる一番の恩師に電話越しに怒られ、目が覚めた。鹿島時代の2年目にメッシーナ(イタリア)からの獲得の打診を断り「何で行かないんだ。成長にとって凄く良い経験だぞ」と言われたことを思い出した。その松崎監督に「そういうチャンスは断るな。宮崎を盛り上げるためにも(五輪に)出てほしい」と説き伏せられた。一度は断りを入れた夢舞台。恩師が背中を押してくれたからこその決断だ。「自分がOAで批判もあるけど、それを覆したい」。興梠は腹をくくった。
リオ参戦内定後の2試合で3得点。「ゴールが一番モチベーションが上がる。なるべく得点を取りたい」。この試合はJ1通算300試合の節目にもなった。初の世界舞台を30歳で迎えるJ屈指のストライカーが、いよいよギアを上げてきた。
≪浦和10人で逆転勝ちは初≫浦和が前半22分にDF槙野のレッドカード退場で与えたPKにより先制を許すも、那須、興梠のゴールで福岡に2―1で逆転勝ち。浦和が相手より1人少ない中で逆転勝ちしたのは、J1リーグ通算770試合目で意外なことに初めてだ。今季の逆転勝利は第1ステージ13節(6月22日)FC東京戦(0―2→○3―2)に次いで2試合目。昨季は優勝した第1ステージでの4試合など逆転勝利が6試合もあっただけに第2ステージ開幕戦から弾みのつきそうな劇的勝利となった。