日刊鹿島アントラーズニュース

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2016年7月20日水曜日

◇[総体]J6クラブからオファー受ける京都橘FW岩崎悠人、“控え目”な目標「初戦突破」果たして上へ(ゲキサカ)


http://web.gekisaka.jp/news/detail/?194282-194282-fl



 6つのJクラブから正式オファーを受け、今年の高校サッカー界における目玉選手となっているのが京都橘高のFW岩崎悠人(3年)だ。最大の特長は「どのスポーツをやっていてもプロになれたと思う」と米澤一成監督が評する程の身体能力の高さと、前線で何度も繰り返す動き直しの多さ。また、伸びしろの多さも魅力の一つで、今年に入ってからはオファーを受けた全チームの練習に参加することで、自身の足りない力に気付き、自らのモノにしてきた。課題だったトラップの質が向上し、FKの精度にも磨きがかかっており、プレーの幅はこれまで以上であることは間違いない。

 また、目標であったプロ入りを確実とし、U-19日本代表で常連メンバーの仲間入りをしたこともプレー面に好影響を与えている。これまではアピールすることで頭がいっぱいとなり、焦りから持ち味を失うことも少なくなかったが、「今までは『結果を残さなきゃ』とか、『ミスしたらアカン』と思ったりプレッシャーを感じていたけど、ノビノビとプレーできるようになってきた」と話すように、心の余裕がハツラツとしたプレーにも繋がっている。総体京都府予選でも成長が見られ、徹底マークを物ともせず5試合で12得点をマーク。名実ともにナンバー1プレーヤーとして挑む全国総体も、“彼の大会”になる可能性は十分だ。

 代表チームでの活動にJクラブへの練習参加。多忙な日々を自らの力に変えてきた岩崎だったが、昨夏に一度だけ弱さを垣間見せたことがあった。昨年10月に行われた「AFC U-19選手権バーレーン2016予選」の前は、遠征に出掛ける頻度が増加。当時は代表チームに定着したばかりで“アピールしなければ”という気負いも強く、本人には自覚がなかったが、「これまでどれだけ忙しくても弱音を吐かなかったのに、あの時だけ珍しく、『しんどい』って口にした」(米澤監督)。指揮官の気遣いにより、自宅から1時間以上かけて通学する負担を無くす為、期間限定で学校近くにある部が用意した寮に入ることになった。

 負担を減らすことが目的ではあったが、近所の弁当屋さんが用意してくれる食事が美味しかったため、これまで以上に食が進み、結果的にフィジカル強化を後押しすることになった。また、「お弁当屋のおっちゃんとおばちゃんと色んな話ができたのも良かった」と振り返るように食事をきっかけとした交流も彼の張り詰めた気持ちを和らげる効果もあった。寮での生活を機に生まれた二人との出会いで印象に残っているというのが、おっちゃんが得意とする占いの話。運気を占ってもらった所、1、2年生の頃が最悪で、今年から運気が上がっていくという結果が出たという。入学してすぐに不動の先発の座を掴むと、2年目は代表に定着。傍からは順調な高校生活を送っているように見えるが、本人はこれまでを「順調に見えるかもしれないけど、ずっと負けてきたからしんどかった。代表ではアジア予選を突破できたけど、橘では選手権でベスト8に入ったくらいで、結果はまだ残せていない」と振り返る。

 中でも、良い思い出がないのは全国総体だ。昨年は京都府予選で久御山高に敗れ、出場できず。一昨年は出場こそしたが、初戦で前橋育英高に0-4で完敗している。岩崎自身も孤軍奮闘したものの、持ち味を発揮したとは言えず。「訳が分からないまま一瞬で大会が終わっていた。どうやって失点したかも覚えていないし、どんな攻撃をしたかも覚えていない。今にして思うと、何してたんやろ?って思うくらい。まったくスピード感についていけなくて、悔しいとすら思わなかった。これが差なんだなって思うしかなかった」。

 この時だけでなく、昨年度の選手権で対戦した尚志高戦も含め、岩崎の経歴には全国大会での初戦敗退が続いている。勝利こそしたが、一昨年度の選手権初戦でぶつかった第一学院高との試合も前半は見せ場を作れなかったため、初戦の難しさは誰よりも分かっている。だからこそ、目標は控え目に見えるかもしれない「初戦突破」。初戦さえクリアできれば、一気に駆け上がる自信はあるからこそ、27日に行われる岡山学芸館高との一戦に照準を定めている。

(取材・文 森田将義)

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