日刊鹿島アントラーズニュース
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2017年10月1日日曜日
◆2017明治安田生命J1リーグ 第28節(オフィシャル)
明治安田J1 第28節
鹿島、アウェイで敗戦。鳥栖に完封負け。
鹿島が不甲斐ない敗戦を喫した。9月を締めくくるアウェイゲーム、J1第28節でサガン鳥栖と激突すると、均衡を破れないまま終盤へ。スコアレスで迎えた80分に先制を許すと、最後まで反撃できずに0-1と完封負けを喫した。連勝は5で止まり、勝ち点は61のままとなった。
聖地がアントラーズレッドの歓喜で沸騰した、1週間前の夜。G大阪ゴールに殺到しながらネットを揺らせずにいた鹿島は、後半アディショナルタイムの決勝弾で勝ち点3を掴んでみせた。永木が祈りを込めて蹴り込んだ右CKから、植田のヘディングシュート。「これが鹿島のセンターバックだ」。誰もがクラブの歴史を想起し、その物語を継承した背番号5の躍動を喜んだ。2-1。大岩監督が「今季一番の試合」と振り返る、情熱に満ちた勝利だった。
つかの間の充電期間を経て、チームは25日に練習を再開した。7月末の負傷から離脱が続いていたペドロ ジュニオールも、練習に本格合流。戦力の充実は競争意識のさらなる激化を意味する。「全員の状態が良いことが望ましい」と語る指揮官は、プレー精度向上を期してボールポゼッションのトレーニングを繰り返した。大雨の影響で練習メニューの変更を余儀なくされた日もあったが、曽ケ端が「初めてのことではない」と語った通り、選手たちに動揺はない。「残り全ての試合が決勝戦」――。レオ シルバがメッセージを刻んでから、もうすぐ1ヵ月。チームの思いは一つだ。
試合前日のセットプレー練習、そして実戦形式のトレーニングは緊張感に満ちたものだった。前節が劇的な勝利だったこともあり、改めて集中力を高める必要性を胸に秘めていた指揮官は「ロッカーでは次に向けて、満男や他の選手から意識を変える意見が出ていた。自分は何も言う必要はなかった」と明かし、選手たちへの信頼を強調していた。必勝を期して、チームは鳥栖へと発った。
アウェイゲームに臨む指揮官は、1週間前から先発メンバー1名を変更。出場停止処分が解けた三竿健斗をボランチの一角に復帰させた。その他は前節と同じメンバーで、GKに曽ケ端、最終ラインは右から西、植田、昌子、山本が並ぶ。ボランチは健斗とともにレオ シルバがコンビを組み、2列目にはレアンドロと中村。そして前線は、土居と金崎のペアがゴールを狙う。そしてベンチには、GKのクォン スンテと伊東、永木、小笠原、安部、鈴木。さらに、7月末の負傷から待望の復帰を果たしたペドロ ジュニオールもメンバーに名を連ねた。
鳥栖は穏やかな秋晴れに恵まれた。久しぶりのデーゲーム、遠方開催の一戦。勝利だけを見据えてともに歩みを進める背番号12が、ベストアメニティスタジアムに続々と足を運ぶ。ビジタースタンドを埋め尽くしていくアントラーズレッド。ウォーミングアップへ向かう選手たちへチームコールが降り注がれる。そして帰還を遂げたペドロには、喜びと信頼を乗せた大きな拍手が贈られた。今日も総力戦で、3ポイントを掴みに行く。
15時3分、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。鹿島は開始直後から敵陣でのプレーを続け、1分足らずで中村がクロスを上げるなど、鳥栖ゴールを目指して攻勢をかけた。だが、前線で起点を作ることができず、中盤でルーズボールの奪い合いとなる場面が増えていく。激しいボディコンタクトの応酬となり、一進一退の展開が続いた。金崎と土居の2トップがサイドのスペースへ流れてパスを引き出し、突破口を掴もうと苦心したものの、ブロックを組んで守備を固める鳥栖を攻略できずに時計の針が進んでいった。
15分過ぎから、鹿島は鳥栖にチャンスを作られ始めてしまう。中盤でのボールロストからペナルティーエリアに入られる場面や、サイドのスペースを突かれてクロスを上げられるプレーが増えていった。それでも何とか耐えしのぐと、24分にはレアンドロのスルーパスから土居がペナルティーエリア内でボールを収める。背番号8は鋭い反転から右足を振り抜いたが、シュートは相手DFにブロックされてしまった。
決定機を作りだせないまま、30分を経過した。鹿島は31分、自陣でのビルドアップでミス。ボールを失い、ペナルティーエリア内からフリーでシュートを打たれてしまった。肝を冷やしたが、クロスバーに当たって枠の上へ。事無きを得て、スコアレスのまま試合は進行した。
鹿島は39分、レオの右CKからファーサイドの金崎が右足シュートを放ったが、枠を逸れてサイドネットへ。結局、前半はスコアレスで終了。中盤での不用意なパスミスも散見され、リズムを掴めないままハーフタイムを迎えることとなった。
ゴールと勝利を目指す後半、ビジタースタンドは大きなチームコールで選手たちを迎え入れた。その声に呼応するように、鹿島は立ち上がりから攻勢をかける。51分、右サイドのスペースを突いた金崎が起点となり、土居が鋭い突破で深い位置まで進出。金崎がパスを受けてペナルティーエリア右側から切り込んだが、シュートを打つには至らなかった。
前半同様、後半も拮抗した展開となった。中盤でルーズボールを奪い合う展開で、主導権を握ることができない。指揮官は流れを変えるべく、62分に安部を投入。躍動を続ける背番号30をミドルゾーンに配し、打開を図った。安部は5分後の67分、左CKのこぼれ球に反応して右足を一閃。強烈なボレーを放ったが、得点には結びつかなかった。
決定機を作り出せなくとも、必死にゴールを目指す鹿島。69分にはレアンドロが直接FKで狙ったが、シュートは枠の上へ。72分にも細かいパス交換からスルーを交えてペナルティーエリア正面まで突破したが、レアンドロのシュートは枠の右へと逸れていってしまった。
75分以降はオープンな展開となり、鳥栖にサイドのスペースを突かれる場面も増えていった。ボールが走らないピッチの上で、消耗戦の様相を帯びていったアウェイゲーム。均衡を破ったのは鳥栖だった。80分、左サイドからのクロスに福田。ヘディングシュートを決められ、鹿島がビハインドを負った。
反撃に転じたい鹿島は、失点の2分前に投入されたペドロと金崎が前線でボールを呼び込んだものの、人数をかけて守備を固める鳥栖を攻略することができない。後半アディショナルタイムには自陣でのボールロストからあわや2失点目かという大ピンチを迎えたが、曽ケ端がビッグセーブ。しかし、守護神の奮起に応える反撃のスコアを刻むことはできなかった。
0-1。大岩監督就任後初となる無得点で、鹿島が完封負けを喫した。次なる戦いは2週間後、10月14日に行われるJ1第29節。カシマスタジアムに広島を迎え撃つ一戦だ。この悔しさを胸に刻み、不甲斐なさと向き合い、その全てを中断期間のトレーニングにぶつけなければならない。ホームで再出発を遂げるため、チーム一丸で準備を進めていかなければならない。
【この試合のトピックス】
・ペドロ ジュニオールが7月8日のJ1第18節FC東京戦以来の試合メンバー入り。分からピッチに立ち、実戦復帰を果たした。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・頭をリセットし、前半のことを忘れること。上手くいかない時、何が必用かもう一回、整理しよう。
・守備の時、相手の中盤のマークをはっきりさせること。
・攻撃のスイッチの入れどころをもっと考えよう。後半は自分たちでギアを上げていこう。
サガン鳥栖:マッシモ フィッカデンティ
・良い流れなので継続すること。
・相手のカウンター攻撃には注意すること。
・セットプレーでは、しっかり集中すること。
[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
前半から、鳥栖の素晴らしいサッカーに翻弄されてしまった。そのまま前半が終わった。後半は非常に良い形で入って試合を支配できたが、一瞬の隙を突かれて失点してしまった。その後はなかなか反撃できず、悔しい敗戦になった。
Q.なかなか流れを掴めない中で、どのように修正しようと考えていたのか?
A.前半は自分たちのパスミスやポジショニングミスから相手の攻撃を受ける形が多かった。「もう少し、スイッチを入れるところやスピードアップをするところ、シンプルにボールを動かすところをはっきりしよう」と言う話をした。前半は鳥栖が飛ばしてきたので、後半は自分たちがボールを持てるだろうと。その通りの展開になったので、後半はゴールが欲しかった。修正はできたが、最後の精度のところがもう少しという試合だった。
Q.右サイドの攻防で後手を踏んでしまったと思うが?
A.相手の1トップ2シャドーに対する守備に迷いがあったようなので、ハーフタイムに修正した。西の特長は攻撃で時間を作れることだが、後手を踏んでしまった。時間は遅くなったが、伊東を入れて打開をしようと思っていた。右サイドでイニシアチブを握ることができなかった。
Q.就任されてから無得点に終わった試合は初めてだが、相手の守備が上回ったのか、狙った攻撃ができなかったのか?
A.鳥栖の守備がしっかりとしているということは前節を見ても感じていた。そこを何とか、コンビネーションで崩したかったが、ボールの走らないピッチでミスや迷いが出た。トレーニングに落とし込んで、自信を持ってプレーできるようにしっかりと準備をしていきたい。
サガン鳥栖:マッシモ フィッカデンティ
テクニックや戦術だけでなく、勝つチームが持つメンタリティーをアントラーズは全て備えていると思う。そんな強いチームと対戦するということを強く頭に入れていた。最高の準備をしないと試合にならないと思っていた。前半からあれだけのチャンスを作ることができた。もっと決めないといけないという課題は残ったが、良い形で前半を終えることができた。後半は少し、守備の陣形を後ろ寄りにして、スペースを作って攻撃を仕掛けられればと思っていた。チャンスの数は減ったかもしれないが、明確なチャンスを作る試合運びをすることができたと思う。バランスを崩さないチームを相手に耐えきることができた。選手たちをほめたい。鳥栖に来てからのベストゲームの一つ。
選手コメント
[試合後]
【山本 脩斗】
ピッチが少し緩い感覚はあったけど、条件は同じ。相手にやりたいサッカーをやられてしまった。前半は押されてしまって、後半は流れを変えようとしたけど、リズムを掴めずに失点してしまった。
【安部 裕葵】
もっと周りの選手を助けたり、もっと走ってプレッシャーをかけたり、そういうプレーができなかった。反省している。攻撃陣はゴールを取らないといけない。
【昌子 源】
中の枚数は余っていたけど、ボールが出た時の判断を誤った。全てのプレーが後手になってしまってもったいない失点だった。相手の守備の集中力が高くて、なかなか良い形を作れなかった。自分たちから仕掛けようと話していたけど、ミスが多くて、流れを相手に渡してしまった。
【中村 充孝】
相手の2シャドーに対しての守備を、もう少しコミュニケーションを取ってやっていければ良かった。全体的に修正しなければいけない。自分たちのミスからピンチを迎えていたので、修正しなければいけない。自分たちがやるべきことを突き詰めていかないといけない。
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