J3で8位に沈むギラヴァンツ北九州に頼れる司令塔が帰ってきた。右膝前十字靱帯(じんたい)損傷で長期離脱していた元日本代表MFの本山雅志(38)が、1日のホーム相模原戦で約11カ月ぶりに復帰。チームも3-0の勝利で祝った。
チームは残り7試合でJ2昇格圏内の2位沼津との勝ち点差は10。絶望的な状況に追い込まれているのは事実だが、本山は「ひっくり返すことはある。最後まで責任を持って戦う」と宣言。奇跡の大逆転昇格を信じ、最後まで戦い続ける。
本山は昨年11月の練習中に負傷し、実戦復帰間近だった8月には右膝半月板を損傷。どちらも手術を強いられた。「長かった」と焦る気持ちを抑えながら、体幹を中心に筋力を強化。同時に調子が上向かないチームの課題も分析してきた。
「パスミスで試合を崩している。ただ、自分が試合に出ないと説得力がない。状態は万全ではないけど、つなぎ役やゴールにつながるパスを出せれば」。残り試合はジョーカー役を買って出る。
10年前の大逆転優勝の経験もある。J1鹿島で全試合出場した2007年、首位浦和と勝ち点差10の4位から残り9試合を全勝。最終節で奇跡の優勝を果たした。北九州でもその再現を狙う。
「自分たちのサッカーをぶれずにすることが大事。どうすれば勝てるかが見えてくれば」。15日はホームで5位鹿児島ユナイテッドと対戦。昇格争いの生き残りを懸けた九州ダービーを制し、奇跡の物語を始める。 (末継智章)
北九州の本山J2昇格へ奇跡起こす