日刊鹿島アントラーズニュース
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2017年11月27日月曜日
◆2017明治安田生命J1リーグ 第33節(オフィシャル)
明治安田J1 第33節
鹿島、ホーム最終戦はスコアレスドロー。最終節に連覇を懸ける。
2017年のホーム最終戦、J1第33節。鹿島が柏をカシマスタジアムに迎え撃つと、再三に渡るセットプレーのチャンスをはじめ、幾度となくゴールを脅かして攻勢をかけ続けたものの、最後の一線を割れず。スコアレスドローに終わり、ホームで優勝の瞬間を迎えることはできなかった。
鹿島は3週間前、満員の聖地で計り知れない価値を持つ3ポイントを獲得した。会心の“ウノゼロ”で浦和を撃破。集中力を高く保って相手の攻撃を封じ込み、80分にレアンドロが値千金の一撃を突き刺す。西からのクロスをゴールへ届けると、背番号11は歓喜の疾走を見せた。1-0。サイドの攻防で身体を張り続けた山本は「強い気持ちを持ってプレーした」と胸を張り、「相手云々ではなく、残り2試合に勝つことだと思う。良い準備をしていきたい」と次なる戦いを見据えていた。
インターバルは3週間。変則日程だが、チームは日々のトレーニングに集中して切磋琢磨を重ねていった。3日間のチームオフを経て、8日に練習を再開。離脱していたメンバーもピッチへと帰還し、13日には水戸と、19日にはソニー仙台と練習試合を実施した。変わらぬルーティンで対外試合への準備を進め、大一番へと照準を合わせていく。復帰を果たしたペドロ ジュニオールが切れ味鋭い突破と豪快なシュートで存在感を示すなど、激しいポジション争いはシーズン終盤も高水準のまま続いていく。三竿健斗は「いつもよりも試合に近いテンションで練習をやれていた」と、充実のトレーニングに手応えを掴んでいた。
試合前日のクラブハウスは、スタジアムさながらの熱気に包まれた。横断幕やビッグフラッグでの鼓舞がボルテージを高めていく。背番号12へ挨拶に向かった大岩監督は「『サポーターの皆さんが非常に良い雰囲気を作ってくれたので、思い切ってやろう、試合に向けていつも通りの準備をしよう』という話をした」と、ミーティングで選手たちに伝えた言葉を明かしている。
重要な意味を持つ一戦、指揮官は浦和戦と同じ先発メンバーを指名した。GKは曽ケ端、最終ラインは西と植田、昌子、山本が並ぶ。ボランチは健斗とレオ シルバ、2列目は遠藤とレアンドロのコンビ。そして前線は金崎と土居が2トップを組み、虎視眈々とゴールを狙う。ベンチにはGKのクォン スンテと伊東、永木、中村、小笠原、ペドロ ジュニオール、鈴木という面々が座る。
厳しい冷え込みに見舞われた鹿嶋だが、カシマスタジアムは朝から熱気に包まれていた。大挙して押し掛けた背番号12が、大一番を前にした高揚感と緊張感とともに聖地へと足を踏み入れる。サポーターズシートはもちろん、メインスタンドやバックスタンド、そして2階席も勝利への情熱で埋め尽くされていく。最高の雰囲気に覆われる中、ウォーミングアップに臨む選手たちに勝利への渇望が降り注がれていった。誇りに満ちたチームコール、そして全方位を舞うタオルマフラー。アントラーズファミリー全員の思いが、聖地の空に響き渡っていた。
13時5分、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。鹿島は立ち上がりから気迫をみなぎらせてハイプレスを敢行。柏のビルドアップを封じるべく、金崎や土居が献身的にボールを追った。開始早々から激しいボディコンタクトが繰り返される中、5分には金崎が強引にペナルティーエリア右側から突破。力強いドリブルからシュートを放ち、ゴールへの意欲を示してみせた。直後にも土居が相手GKにプレスをかけてチャンスを作り出すなど、2トップがアグレッシブな姿勢を体現して推進力となった。
攻勢をかける鹿島は18分、山本がグラウンダーのボールをペナルティーエリア手前へ。待っていた遠藤が左足ダイレクトで狙ったが、枠を捉えることはできなかった。20分経過後はセカンドボールをことごとく拾って敵陣でのプレータイムを増やし、両サイドを広く使った攻撃で柏を押し込んでいった。前半最大のチャンスは29分、レアンドロがペナルティーエリア左手前からループ気味のコントロールシュートで枠を捉えたものの、相手GKに弾き出されてしまった。
鹿島はなおも攻め続け、35分には遠藤が右サイドからカットイン。得意の位置から左足を振り抜き、強烈な一撃で枠を捉えたものの、相手GKの正面を突いた。時折訪れるカウンターのピンチも、西と山本の両サイドバックが粘り強い応対で突破を阻止し、植田と昌子も的確かつ力強いカバーリングを繰り返した。レアンドロと遠藤も献身的なプレスバックを見せ、攻撃の芽を摘んだ。前半は0-0。緊迫感が漂う中、スコアレスでハーフタイムを迎えた。
後半も立ち上がりから激しい攻防が繰り広げられることとなった。中盤でルーズボールの奪い合いが連発し、レオや健斗が身体を張った守備を見せてミドルゾーンを支配する。55分以降は敵陣深くでセットプレーを得る機会が増え、ゴール前に殺到して得点を目指していった。58分にはこぼれ球を拾った西がゴールライン際へ浮き球を送り、遠藤が強烈な左足ボレー。しかし、枠を捉えた一撃は相手GKに阻まれてしまった。59分にはレオの右CKから昌子がヘディングシュート。待望の瞬間が訪れたかに見えたものの、無情にもクロスバーに弾かれて得点とはならなかった。
鹿島の攻撃は続く。66分にはレアンドロがペナルティーエリア内の密集でボールキープ。巧みなフェイントと鋭い切り返しで複数の相手DFを手玉に取り、最後は左足シュートで狙ったものの、またも相手GKのセーブに遭ってしまう。
スコアレスのまま、残り15分を切った。次第にスペースが空き始め、オープンな展開へと推移していく。大岩監督は77分にペドロを送り出し、復帰を果たした背番号7にゴールへの思いを託した。直後のプレーで西のクロスに反応したレアンドロのヘディングシュートは、惜しくも枠の左へ。80分以降は最終ラインの背後を取られる場面も増えたが、植田と昌子が鋭いカバーリングを繰り返して攻撃の芽を摘んでいった。
指揮官は84分に伊東を投入し、西を2列目に配置転換。右サイドからのパス交換とオーバーラップに突破口を求めた。87分には細かいパス回しから西が倒され、ペナルティーエリア右手前でFKを獲得。レオが直接狙うと、壁に入った相手DFの手に当たったようにも見えたが、笛は鳴らなかった。
3万6000超のサポーターとともに、必死にゴールを目指した鹿島。しかし、待望の瞬間が訪れることはなかった。0-0。スコアレスドローに終わり、勝ち点1を積み上げるにとどまった。自力でのJ1連覇を確定させるためには、あと2ポイントが必要だ。今節での勝利が目的達成の条件だったが、満員の聖地で実現することはできなかった。
最終節は1週間後、アウェイでの磐田戦だ。ホーム最終戦セレモニーで昌子が聖地に響かせた「絶対に勝ちます」という言葉を、チーム全員で実現しなければならない。鹿嶋の空に響き渡ったチームコールと大きな鼓舞。ともに戦う背番号12の思いを、勝利という結果で示してみせなければならない。勝利、すなわち連覇へと到達するために。今季最後の90分へ、総力戦で歩みを進めていく。
【この試合のトピックス】
・観客数36,080名を記録。カシマ開催のリーグ戦で歴代8位の数字だった。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・前線から非常にいい守備ができているので、後半も続けること。
・サイドでボールを持ったとき、もっと攻撃のテンポをあげていこう。
・後半も立ち上がりから積極的に戦おう!
柏レイソル:下平 隆宏
・相手のプレスはもっと厳しくなる。冷静にしっかりボールを動かせ。
・チャンスを絶対に逃すな!
[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
非常にいいゲームをしたが、最後の最後で決めきれず、残念な結果になってしまった。しっかり切り替えて次の試合の準備をしたい。
Q. 攻めていたが点が取れなかった。次の試合に向けての改善点は?
A. 映像を見て確認したいと思っている。もう少しサイドからの攻撃を増やすことによって、バリエーションを増やすことができたのではないかと考えている。
Q. 交代枠を1つ残したが、どんなイメージで点を取りたいと考えていたか?
A. 攻撃、守備のバランスをみて、カードを残した。伊東を入れることで幅を使った攻撃を狙い、中央でペドロのスピード、レアンドロとのコンビネーションからのゴールを期待していた。
Q. 選手から勝てば優勝というプレッシャーが感じられたか?
A. 選手にプレッシャーはかかっていなかったと感じている。
柏レイソル:下平 隆宏
アントラーズのホームで満員のなかだったが、柏サポーターに大声援を送ってもらい力になった。ACL出場を目指す上では勝ち点3を取りたかったが、この雰囲気のスタジアムで、何とか勝ち取った勝ち点1だった。前半はペースを握れた時間帯もあった。後半は防戦一方になってしまったが、最後まであきらめず、体を張ってくれた。アントラーズが勝てば優勝というなかで、最善を尽くしてくれたと思う。
選手コメント
[試合後]
【昌子 源】
数多くのセットプレーがあって、サポーターの声援も聞こえていた。柏の守備が良かったという面はあると思う。優勝できると信じている。誰一人として疑っていない。最後まで貫いて戦う。
【西 大伍】
勝たなければいけない試合では、このような展開になることが多い。チャンスを決め切りたいと思っていた。次で勝つだけ。
【山本 脩斗】
チームとして、ホーム最終戦を勝って終えたかった。前から行くことができていたし、前半よりは後半の方が自分たちのペースだった。次でしっかりと勝たないといけない。勝つことだけを考えて臨みたい。
【伊東 幸敏】
プレッシャーを感じるような選手はいなかったと思う。前半から堅い内容だった。互いに勝ちたいという気持ちが出ていた試合。次は絶対に勝つ。
【土居 聖真】
サポーターの皆さんの声はもちろん聞こえていた。あと1試合が残っているので、しっかりと勝てるように準備をしていきたい。
【曽ケ端 準】
結果を求めて臨んだけど、勝ち点3を取れなかったので残念。前線の2人がすごく頑張って(相手のパスコースを)限定してくれたので、守備陣としては安定していた。危ない場面はなく、良い形での守備ができたと思う。まだ自分たちが首位。次に向けてやるべきことをやって、良い準備をして磐田戦に臨みたい。
【三竿 健斗】
前線の選手を信じて、失点しないことを考えてプレーしていた。前線から(パスコースを)制限してくれていたので、やりやすかった。球際でも戦っていて、みんなで守れていた。次に向けて、良い準備をして臨みたい。
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