名誉挽回のチャンスに燃えている。DF登録8人中5人が0キャップというメンバー構成の中、日本代表のDFリーダーとして期待されるのが、DF陣では最多7キャップのDF昌子源(鹿島)だ。
練習ではランニングを先頭で走る姿も見られたが、「チームでも先頭を走っているし、“やらなあかん”という気持ちの表れではない」と、普段どおりであることを強調。ゲームキャプテンを任される可能性もあるが、「全然意識していない。チームでもキャプテンマークは巻いていないし、(小林)悠くん、(谷口)彰悟くん、(倉田)秋くんはクラブで巻いている。だれがというより、みんながキャプテンシーを持ってやっているのが今の国内組。チームとしていい雰囲気だと思う」と自然体を貫いた。
E-1選手権が開催される味の素スタジアムは15年3月31日に代表デビューを飾ったウズベキスタン戦(5-1)の会場であると同時に、2度目のスタメンとなった今年6月7日のシリア戦(1-1)の舞台でもある。そのシリア戦では初めてDF吉田麻也とコンビを組んだが、CKから自分のマークだった選手に先制点を決められた。
「間違いなくシリア戦があったから今がある」。悔しさを糧にその後のW杯アジア最終予選では6月13日のイラク戦(1-1)、8月31日のオーストラリア戦(2-0)、9月5日のサウジアラビア戦(0-1)といずれもフル出場。最終予選最終盤のレギュラーを務め、日本のW杯出場に貢献した。
シリア戦後も「失点に絡んだことがないセンターバックは絶対にいない。大きな舞台になればなるほど、失点したときの重さがある。痛い思いをして強くなっていく」と話していたが、この日もあらためて「DFはやられて成長する。自分は褒められて伸びるというより、怒られて伸びるタイプ」と、シリア戦の経験を成長につなげてきた自負がある。
今の状況も当時と似ている。10月10日のハイチ戦(3-3)で3失点し、11月の欧州遠征ではDF槙野智章(浦和)に先発の座を譲った。ブラジル、ベルギーという強豪相手に槙野は対人の強さを発揮。ブラジル戦ではCKからゴールも決めるなど存在感を示した。再び“ポジションを守る”立場から“ポジションを奪う”立場に戻った昌子。欧州遠征での槙野のプレーについても「参考になる部分は多かった」と大いに刺激を受けた。
「前に強いし、スライディングタックルも多い。それもほとんど成功している。“俺に来い”感が強いし、結果、ブラジル戦では(CKから得点につながるボールが)来た。そこは見習いたいし、ファイターのイメージがあるけど、すごい駆け引きもしている」
ピッチの外からライバルのプレーを注視したことで、あらためて学ぶこともあった。今度は自分の番。「チームが勝てば、自然と(試合に)出たメンバーはいいアピールになるし、勝たないと始まらない」。個人のアピールではなく、最優先はチームの勝利。「チームが勝つことを考えたら、自然といいプレーになる。チームが負けたら評価もクソもない。3つ勝って優勝することが大事」と、3連勝で2大会ぶり2度目の優勝を成し遂げる決意だ。
(取材・文 西山紘平)
麻也、槙野不在のDF陣を引っ張る昌子源「チームが負けたら評価もクソもない」