<J1参入プレーオフ:大宮0-1東京V>◇1回戦◇25日◇NACK5
大宮アルディージャの石井正忠監督(51)は、ホームで、しかも引き分けでも2回戦に進める絶対優位の状況の中、東京ヴェルディに敗れ、試合については采配の失敗を認めた。その上で「J2で戦っていく上で、最初の何試合かはJ2の戦い方に戸惑ったのは正直なところ。うまく波に乗ることが出来ず、いってしまったことが最大のミス」とシーズン全体で見たチームのマネジメントも失敗だったと反省し、謝罪した。
石井監督は会見の冒頭で「まずは、多くのファン、サポーターの皆さんが一緒に戦ってくれたんですけど、結果を出せずに本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。リーグ戦の順位からチャンスがめぐってきた状況でのプレーオフ1回戦。勝ち抜いて次に進みたかった。いい雰囲気に負けないパフォーマンスを選手に出させることができなかったのは私の責任。非常に悔しく、残念な思いが残る」と謝罪した。
この日は、試合開始早々から東京Vにボールを回され、後手に回った。石井監督は「特に守備の点で、東京Vのボールの動かし方の対応に少し時間がかかった。ボールを持たれる時間が多く、どうしてもアグレッシブさを出せなかった部分」と試合を支配されたことを認めた。
また、17日のファジアーノ岡山戦で出場停止だったMFマテウスが復帰した一方、同戦で警告を受けたMF嶋田慎太郎が累積警告で出場停止となった。それを受け、東京V戦では、本来左右のアタッカーを務めることが多いマテウスを2トップの一角に置き、代わりに本来FWの富山貴光を右サイドで起用したが、推進力の高いドリブルで前線に突き進むマテウスがいない中盤から、前線にボールを運ぶ選手がおらず、前半は攻撃の機会すら作れなかった。
その中、前半30分と同45分に、富山が最前線に出て、マテウスが中盤に下がる形に流れの中でなった場面があった。石井監督は、富山のサイド起用の意図を聞かれ「守備のところで、もっと最初、サイドハーフのところに入って対応できると思ったが、うまくはまらなくて、違う試合でやった両サイドを戻し、富の2トップに戻した。最初の意図とは違ったゲーム内容になり、変えた。その部分含め、私自身の責任が大きいと思います」と采配ミスを認めた。
後半からは、富山がトップに出る形となったが、変更の意図については「こちらが変えて欲しいと言ったし、選手も違う布陣のやりやすさがあり、実際に選手たちのピッチのやりやすさを考えた」と説明した。
石井監督は17年5月にアジア・チャンピオンズリーグ敗退などを受けてJ1鹿島アントラーズの監督を解任され、同11月5日に残り3試合で降格圏の17位に沈む大宮が、伊藤彰監督を解任したことを受け、その後任に就任。J1残留に導くことは出来なかったが、1年での復帰を期し今季も監督を務めた。質疑応答で「今季が終了し、目標を達成できなかったが?」と聞かれると「J2を戦っていく上で、最初の何試合かはJ2の戦い方に戸惑ったのは正直なところ。途中で理想とする形から修整することで、本来、狙っていた自分たちの戦う形を求めていけなくなった。そこで、何かうまくいかないゲームが続いてしまった」と、J2での戦い方に戸惑い、迷走したことを自ら認めた。
試合後は、ゴール裏のサポーターから激しいブーイングを浴びた。石井監督は「最初のJ2の戦い方…スタートダッシュがうまくいかなかったのが最後まで響いてしまったかな。J2で戦う難しさを感じながら戦った1年だと理解しています」と、自らの戸惑いによるスタートダッシュの遅れが、1年でのJ1復帰という目標を達成できなかった最大の敗因だと語った。【村上幸将】
◆大宮石井監督「最初の意図とは違った」采配ミス謝罪(ニッカン)