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サッカーJ1鹿島アントラーズに所属する日本代表MFの安部裕葵が、スペイン1部リーグの強豪FCバルセロナから正式な獲得要請を受けていると、3日付の朝日新聞が報じている。
弱冠20歳の安部はプロ3年目ながら、今シーズンからエースナンバーの背番号10を背負う期待のホープ。鋭いドリブル突破と多彩なテクニックが持ち味で、6月14日から開催中の南米選手権を戦う代表メンバーにも初選出。同月17日に行われたチリ戦で、初出場を果たした。報道によると、バルサは今夏の獲得を目指しており、設定されている違約金以上の金額を鹿島に支払う意向だという。移籍が実現した場合、安部はまず3部リーグに属するバルサのBチームに加わることになる。
「欧州リーグが終了して間もないこの時期は、さまざま移籍情報が飛び交い、現地のスポーツメディアは連日のようにそれを報じます。しかし、そのほとんどは選手の代理人が移籍交渉を有利に進めるためにメディアへリークしたインチキな情報。日本のメディアも現地発の移籍報道を引用して報じたりしますが、信用してはいけません。ただ、今回の報道に限っては、朝日が鹿島の関係筋から得たネタのようなので、信憑性が高いと思いますよ」(サッカーライター)
もし移籍が実現すれば、先頃同じくスペイン1部のレアル・マドリードに移籍した18歳の久保建英に続く快挙。バルサとレアルといえばスペインリーグの両巨頭で、世界でも一、二を争うメガクラブ。そんなクラブに、日本人の若手選手が相次いで移籍を果たすとは、何とも夢のある話だ。しかし、幼少時代からバルサの下部組織に所属して、スペインでも天才の名を欲しいままにしてきた久保に比べて、安部の国際的な知名度はほぼないと言っていい。
「本当に安部の実力をわかった上で獲得のオファーを出したのかと、バルサのスタンスに懐疑的な声も聞かれます。もちろん、安部の素質に疑いはありません。しかし、同程度の若手はヨーロッパや南米にも多くいるだろうし、もっと言えばアジアの選手を獲得するよりリスクも少ないはず。そこまでして日本人にこだわる必要はないだろうとは、確かに思いますね。その裏には、久保のレアル移籍が関係しているのではないかと、ネット上で囁かれています」(同)
久保は10歳からバルサの下部組織でプレーしていたのだが、クラブが18歳未満の外国人選手獲得・登録違反を犯したため公式戦に出場できなくなり、14歳で退団を余儀なくされた。帰国後はFC東京に加入したが、18歳になったらバルサに復帰するというのが規定路線だった。だが、蓋を開けてみれば、レアルへの移籍。1億円を超える年俸、入団2年目からのトップチーム昇格の確約など、久保側が求めた条件をレアルが飲んで、バルサが拒否したことが、大どんでん返しの理由だった。
「バルサとしては、下部組織で育成した金の卵を宿敵にかっさらわれた格好で、屈辱だったはず。久保を獲り逃したことで、サポーターからの突き上げもあったでしょう。そうした面子の問題もあり、意固地になって日本人選手を獲得しようとしているのではないでしょうか。そして、もう1つ考えられるのは、スポンサーである楽天との絡みです」(同)
バルサと楽天は、単なるスポンサー以上の関係にある。同社の三木谷浩史会長兼社長がオーナーを務めるヴィッセル神戸に、バルサのレジェンド的プレーヤーでもあるアンドレス・イニエスタが移籍したのも、両者の親密な関係があったからこそ。
「その三木谷氏がバルサに、日本人選手を獲得して欲しいと、強く要望したのかもしれません。スポンサーである楽天の経営者としては、日本人の安部がバルサに在籍してくれれば、宣伝効果も絶大ですからね。また、神戸のオーナーとしても、バルサが日本人選手を獲得することはメリットにつながります。なぜなら、仮に安部が入団したとしても、世界的な選手ばかりが揃うバルサのようなチームに、20歳の若手が割って入るのはまず不可能。となると、他のチームにレンタルに出して、研鑽を積ませることになります。そのとき、レンタル先が神戸になるかもしれず、三木谷氏としては有望な日本人若手選手を獲得できるわけです。実は久保がバルサ入りを拒否したのは、この可能性を憂慮したからだとも言われています」(同)
海外挑戦に前向きだという安部だけに、バルサにどのような思惑があろうとも、サッカーファンとしては移籍を実現させて欲しいものだ。
◆バルサ、鹿島の安部裕葵に正式オファーの裏に何が?(日刊サイゾー)