<全国高校サッカー選手権:山梨学院1-0昌平>◇準々決勝◇5日◇フクアリ
8強で涙をのんだ昌平(埼玉)から鹿島アントラーズ入りする主将のMF須藤直輝(3年)は、1つの言葉を胸に、ここまでやってきた。高1から背番号10を託され、周囲の期待を背負ってきた。「たくさん批判をくらい、つらい思いをした」と話すが、中学で3年間担任だった鯨井(旧姓坂本)有沙先生の「自分を否定してくれる人を大切にしなさい」という言葉が支えになった。「そういう人に限って核心を突いている。プラスにとらえて成長につなげるほうがいい」。恩師の教えを胸に、3年間重圧の中を走り抜けた。
鯨井先生との出会いで、サッカー選手と同時に「生徒に寄り添う先生になる」という夢もできた。鹿島からオファーを受けた後も、進学して教員免許を取得するか悩んだが、内田篤人氏が引退セレモニーで残したメッセージに背中を押された。
「プロサッカー選手を目指す子どもたち、サッカー小僧のみなさん。鹿島は少し田舎ですが、サッカーに集中できる環境、レベルの高さ、そして今在籍している選手たちが君たちの大きな壁となり、ライバルとなり、偉大な先輩として迎え入れてくれるはずです」
レジェンドの言葉が「自分に言っているかのようで響いた」と、チャレンジを決めた。日本一の夢は、Jリーグの舞台へと持ち越された。【杉山理紗】
◆昌平・須藤主将の胸に残る恩師とレジェンドの言葉(ニッカン)