「多少粗削りでも、思い切ってアグレッシブに」
「どちらかというと、行き過ぎなぐらいで、僕はいい」
一定のルールはある。ただ、たとえそこを逸脱しても、すべてダメなわけではない。
鹿島アントラーズの相馬直樹監督は、プレーにおける「判断基準」を重視する。代表ウイークで試合のない期間も「自分たちの判断基準のところ、そこを揃える」ことを再確認したという。
その判断基準はどれぐらい共有され、ピッチ上で正しく表現できているのか。相馬監督は「できている時と、できていない時がある」と現状を見ている。
「ときには、ちょっと行き過ぎてしまっているというか、相手に主導権がある時に、攻撃であれ守備であれ、自分たちがもう一度、主導権を取り返す、その時には少し我慢をする、という展開にならなければいけないけど、そういうときに仕掛けてしまうことも起きたりしている」
今、この状況でチームとしていかに一体感を持って振る舞えるか。取るべき行動はもちろん統一されていなければならないが、指揮官は杓子定規に制限をかけたりはしない。ルールよりも、もっと大事なものがある。
「その判断基準に向けて、前向きに取り組もうという意欲、チャレンジしようという意欲は、本当にありがたいことに、すごく高いものを感じています。揃えなければいけないけど、多少揃わなくても、ポジティブなエネルギーであればカバーできると思っている」
ひたむきに、アグレッシブに、ガムシャラに。無謀であってはならないが、貪欲な姿勢を大切にしている。
「見ている人からすれば、うまいこときれいにやろうとしているなっていうよりも、多少粗削りでも、思い切ってアグレッシブにやろうとしているほうが、楽しいと思うのではないかと僕自身は思っているので。僕自身、そのほうが好きってことですね、単純に。ポジティブなエネルギー、そこにはあまり歯止めをかけないように、でも破綻しないように、と思っています」
6月16日には天皇杯2回戦でJ3のY.S.C.C.横浜と対戦する。2つ下のカテゴリーの相手は、鹿島からの大金星を狙い、迫力を持って立ち向かってくるだろう。相馬監督もその点は警戒しつつ、「それを上回るぐらいのものをスタートからしっかり出せるように準備したい」と気を引き締める
YS横浜戦のあとも連戦は続く。今後に弾みをつける勝利を飾りたい。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストweb編集部)
◆「あまり歯止めをかけず、でも破綻しないように」見る者を楽しませる鹿島・相馬監督の絶妙な手綱さばき(サッカーダイジェスト)