日刊鹿島アントラーズニュース

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2022年6月1日水曜日

◆【鹿島】加速した“縦に速いスタイル”がぶつかった壁。求められる戦い方の多様化(サッカーダイジェスト)






敵将は「インテンシティが下がることも予想していました」


[J1第16節]FC東京3ー1鹿島/5月29日/味の素スタジアム

 前節の鳥栖戦に続き、後半立ち上がりまでに3失点を喫したFC東京戦では、上田綺世の今季10ゴール目が決まったものの、鹿島は1ー3で敗れた。

 レネ・ヴァイラー監督が掲げた「縦に速いサッカー」で今季ここまで上田の10得点をはじめ、鈴木優磨が6ゴール、アルトゥール・カイキが4ゴールと、前線の3選手で20得点を挙げている。チームの総得点は、今節で首位に立った横浜(30得点)に次いでリーグ2位の27得点だ。

 シンプルにゴールを目指すスタイルは、前述の選手たちの個人能力の高さも相まって、対戦相手に分析されても“分かっていても止められない”強みを持つ一方で、FC東京戦では自分たちの強度が落ちると単調になってしまうという弱さも露呈した。

 前半の立ち上がりから相手陣内に攻め込み、15分にはブエノのパスに上田が反応し、こぼれ球を拾ったA・カイキが際どいシュートを放つなど、鳥栖戦以上に先制点の気配を漂わせていた。球際の攻防で一進一退の状況で推移するなかでも、FC東京に決定機を与えていなかった。

 しかし、飲水タイム後の25分頃から相手にチャンスを作られると、33分に左SBの小川諒也からの楔のパスを受けた渡邊凌磨に、ディエゴ・オリヴェイラとのワンツーからシュートを許し、先制点を献上してしまう。

 失点直後に反撃ムードを作り上げ、樋口雄太、A・カイキらがシュートを放つが、ネットを揺らせずにいると、42分にアダイウトンの突破から最後は渡邊にゴールを決められ、リードを広げられてしまう。

 先制点を狙い、リスク覚悟で攻め込んだが、ゴールを奪えず、逆にピンチを招くのはよくあることと言えるが、敵将の言葉を借りれば相手にとっても想定済みの内容でもあった。

「アントラーズさんがクオリティの高い選手を揃えていること、最初からインテンシティの高い守備をしてくることは予想していました」。さらには「今日は暑いことが予想されましたし、過密スケジュールでの試合でしたので、前半も後半も20分ほどで鹿島のインテンシティが下がることも予想していました」(FC東京・アルベル監督)

 縦に速く、強度の高い鹿島のスタイルは、夏場の連戦では体力の持続で不利に働く一面もあるだろう。鈴木の復帰でチームに勝利へのこだわりと“アツさ”が生まれ、今のスタイルを加速させた一方で、今後はゲームコントロールや、守られた相手を崩す工夫など、戦い方の多様化が必要になりそうだ。

 ヴァイラー監督も日頃から「現代サッカーで分析されるのは当たり前」と語っているだけに、今後どのような策を講じていくのか。

 FC東京戦後に指揮官は、こう語った。

「2週間リーグ戦が中断することは、我々にとって良い時間。苦しい試合が続いていたので、立て直しの時間にしたい。順位も良いところにいると感じている。この期間は、改善しなければいけない部分を改善していく良い時間となる」

 天皇杯とルヴァンカップのプレーオフステージ2試合を挟んで迎える、6月18日の第17節・京都戦に注目だ。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)




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