24年パリ五輪予選が始まる23年シーズンに向け、パリ世代が決意を新たにした。今季J2東京Vから鹿島に復帰したFW染野唯月は、「試合に出て自分が点を取って勝つ。1試合1試合、活躍の場をつくっていきたい」と巻き返しへ静かに闘志を燃やしている。
半年ぶりに鹿島のエンブレムを背負う。「決断は簡単ではなかった」。覚悟の復帰だ。宮崎キャンプはコンディション不良で出遅れたが、22日から合流。まずは24日に迎えるJ2岡山との練習試合を見据え、「ガンガン結果でアピールしないといけない。半分失ってしまったので取り返す強い気持ちでいる」と力強い。練習でも持ち味のシュートで果敢にゴールを狙い、広い視野や技術を生かしたプレーも見せている。
プロ3年目の昨年5月にJ1初ゴールを奪ったものの、壁にぶち当たり、もがいた。7月に出場機会を求めて東京Vへ期限付き移籍。「どこに行ってもFWに求められることは同じ」と、とにかく練習一つ、1試合の中で貪欲な姿勢を示し続けた。終盤戦で3戦連続ゴールを挙げるなど、16試合4得点。「点を取ることで自信が得られた。鹿島にはサッカーに対する意識の高い選手もたくさんいる。もう一度鹿島でいろんなことを吸収しながらピッチに立ちたい」と思いを語った。
世代別代表活動からも遠ざかっていたが、スペイン、ポルトガルと親善試合を行った昨年11月の欧州遠征で追加招集。しかしそこでも出場はポルトガル戦の後半43分からのみと、厳しい現実を突きつけられた。「正直出られなかった、何もできなかった感覚が大きい。やっぱり行って試合に出られないのはめちゃめちゃ悔しい。『何でだ』って思うところも個人的にすごくあって。でもチームで結果を残すことがすべてだと改めて思った」と味わった悔しさは並大抵でない。
ピッチに立つ重要性を痛感した染野には、「いろんなポジションをできるようにしたい」気持ちも芽生えた。センターFWとして結果を残すことに加え、「サイドだったり、いろんなポジションでできたほうが大樹さん(岩政監督)も使いやすいと思うし、それは大樹さんもみんなに言っている。どのポジションでもレベルの高いものを出せるように」と意欲的。生き残るすべとして、幅を広げていく意識も高まりつつある。
復帰してつける背番号は、サークル・ブリュージュに昨夏移籍した日本代表FW上田綺世も背負った18番。染野の他に鳥栖からFW垣田裕暉らが復帰するなど、激しい競争が待つ。何度も「結果がすべて」と言葉を繰り返した。チームの点取り屋として、タイトル獲得の原動力となる。(小口 瑞乃)
◆東京Vから覚悟の鹿島復帰FW染野唯月「結果がすべて」パリ五輪世代23年の誓い<2>(報知)