日刊鹿島アントラーズニュース

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2023年9月18日月曜日

◆伝説として語り継がれる2007年の再現なるか! 3位浮上の鹿島、指揮官は16年前の大一番を回想「ある試合を思い出していました」(サッカーダイジェスト)



岩政大樹


「優勝を決めるまで、ロッカーで叫ぶのはやめようと」


[J1第27節]鹿島1-0C大阪/9月16日/県立カシマサッカースタジアム

 珠玉の伝説として語り継がれる2007年の再現なるか。

 7年ぶりのJリーグタイトル奪還に向けて、一心不乱に戦い続ける鹿島がここにきて3位に浮上。首位・神戸との勝点差が6に縮まった。

 9月16日のJ1第27節は、ホームにC大阪を迎えての一戦だった。前半のうちに退場者が出て、数的不利となるが、13分にエース鈴木優磨が強奪した先制点を守り切り、貴重な勝利を手繰り寄せた。鹿島の岩政大樹監督は、試合後、こう振り返っている。

「僕自身も経験した、ある試合を思い出していました」

 指揮官の脳裏をかすめたのは、2007年11月24日のJ1第33節・浦和戦だ。当時の背景を少し説明しよう。残り5試合の段階で、3位・鹿島と首位・浦和との勝点差は10。逆転優勝の可能性は限りなくゼロに近いと思われたが、第33節の浦和との直接対決を前に、その差は4ポイントに縮まっていた。

 負けはもちろん、引き分けでも逆転優勝への道が閉ざされる大一番。追いかける側の鹿島は、必勝を期して臨む。前半終了近くに警告2枚による退場で、数的不利になりながらも66分に野沢拓也が起死回生のミドル弾を叩き込んだ。試合終了間際にもう一人退場者が出て、アディショナルタイムのおよそ3分間を9人で戦うはめになったが、チーム一丸となって乗りきった。そこには、CBのひとりとしてフル出場する現役時代の岩政監督がいた。

 勝点差1ポイントで追いかける2位の鹿島は、最終節の清水戦に3-0で勝ち、一方、首位の浦和は、横浜FCに0-1で敗れ、この瞬間、順位が入れ替わった。シーズン中、一度も首位に立つことがなかった鹿島が、ついに逆転優勝を成し遂げた瞬間でもあった。

 周囲の誰もが奇跡と驚嘆した。それが今季、再び起ころうとしている。

「ここからが本当の勝負。上位勢に殴り込みをかけたいです」

 岩政監督がこう意気込んだのは、第22節の札幌戦に3-0で勝ったあとだった。そして、次のように力強く続けた。

「横浜、神戸、浦和といった上位勢との直接対決が控えていますし、そのほとんどがホームゲーム。自分たち次第で、いろいろなことが変えられる状況にあると思います」

 16年前の2007年、今や押しも押されもしない大黒柱の鈴木やチームを勝たせる選手へと進化しつつある樋口雄太は11歳だった。クリーンシートの原動力として欠かせない両CBの植田直通は13歳で、関川郁万は7歳。鹿島の不動の守護神へと成長過程にある早川友基は8歳だった。

 リーグ終盤に9連勝し、上位勢に猛烈なプレシャーをかけ、タイトルをつかみ取った2007年の成功体験を知る指揮官は、彼らにこう吹き込んでいる。

「首位との勝点差は常に意識しています。その差を早く一桁にしようと話してきました。一桁になれば、何かが起こせると。(ホームゲームが続く)日程表を見せながら、こんなに楽しみなチャレンジはほかにないんじゃないかと伝えていますし、選手たちもそこに向って意欲的に取り組んでくれています」

 シーズン大詰めに向けて、俄然、勢いづくが、浮かれず、騒がず、足もとを見つめることも忘れていない。酸いも甘いもかみ分ける岩政監督が手綱を締める。

「優勝を決めるまで、ロッカーで叫ぶのはやめようと話しています。最後にタイトルを獲らなければ結局、何も残らないのがこの世界。最終節を終えるまで、優勝を意識しながら戦っていけるようにしたいです」

 一戦必勝を胸に挑む鹿島。次なる対戦は9月24日、ホームで2位・横浜との直接対決だ。乗り越えなければならない高い壁を迎え撃つ。

取材・文●小室功(オフィス・プリマベーラ)




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