日刊鹿島アントラーズニュース

Ads by Google

2023年9月24日日曜日

◆常本佳吾はベンチ入りも出番なし…セルベット、スラビア・プラハに2失点敗戦でEL黒星スタート(ゲキサカ)



常本佳吾


[9.21 ELグループG第1節 セルベット 0-2 スラビア・プラハ]

 UEFAヨーロッパリーグ(EL)は21日にグループリーグ第1節を行った。DF常本佳吾が所属するセルベット(スイス)はホームでスラビア・プラハ(チェコ)と対戦し、0-2で敗戦。常本はベンチ入りも出場はなかった。

 試合は立ち上がりからスラビア・プラハが攻勢に転じた。アウェーチームはFWミック・ファン・ブレンをターゲットにボールを前進。その脇に入ったMFコンラッド・ウォレムとMFデイビット・ドウデラが加勢し、果敢にゴールを目指した。

 すると前半32分、スラビア・プラハは右サイドから攻撃を仕掛けると、DFルカーシュ・マソプストの落としをMFペトル・シェフチークがゴール前にクロス。そのボールにC・ウォレムが競り合ってこぼれたところを、L・マソプストが押し込んで先制に成功した。

 1点ビハインドのまま前半を折り返したセルベットは後半開始から反撃に出る。最終ラインからパスで攻撃を組み立てると、FWアレクシス・アントゥネスを起点に相手ゴールへ。しかし、ラインが高くなったことでカウンターの対応に追われる時間帯も増え、同点弾が遠かった。

 セルベットは後半8分、左サイドをDFブラッドリー・マジクーがドリブルで切り込むと、ゴール前に入れたボールにFWクリス・ベディアが飛び込む。しかし、手前で相手のクリアに遭い、合わせることができなかった。同11分にはC・ベディアが右サイドからのカットインで左足を振るも、シュートはミートせず。そこからは一進一退の展開となった。

 すると、アウェーチームが点差を広げる。スラビア・プラハは前半14分、左サイドでコーナーキックを得ると、L・マソプストが蹴り込んだボールをニアサイドでMFクリストス・ザフェイリスが頭で触ってコースを変える。流れたところにDFイゴー・オグブ。ヘディングで流し込むように決めてゴールネットを揺らした。

 2点を追うセルベットは後半22分に3枚替え。MFジェレミー・ギルムノ、MFガエル・オンドゥア、FWエンツォ・クリベリを投入して一気に攻撃の手を強めた。それでも、2点を先取して試合を優位に進めるスラビア・プラハは動じない。2-0で逃げ切り、白星スタートを切った。









◆【プレビュー】首位を猛追する2位と3位の対決。鹿島アントラーズ対横浜F・マリノスの見どころ | 日程・放送・配信予定 | Jリーグ(DAZN)



柴崎岳


【国内サッカー プレビュー】明治安田J1は9月23日と24日に第28節が開催され、カシマスタジアムでは3位・鹿島アントラーズと2位の横浜F・マリノスの直接対決が行われる。


鹿島アントラーズ 対 横浜F・マリノス の見どころ


これ以上ない大一番だ。首位のヴィッセル神戸を追撃する3位の鹿島アントラーズが2位の横浜F・マリノスをホーム・カシマスタジアムに迎え撃っての戦いは、優勝争いを大きく左右するゲームとなる。勝てば優勝の可能性を残せる一方で、負ければその争いから一歩後退を余儀なくされるビッグマッチである。

世紀の大逆転優勝を狙う鹿島は、シーズン序盤は4連敗するなど一時15位まで順位が沈んだが、そこから驚異の巻き返しを果たす。第9節から5連勝を飾り借金を返し、その後も無敗を貫き前半戦を終えると、後半戦に入るとさらに勢いを加速させ、5勝3分2敗と大きく勝点を積み上げ、3位にまで浮上を果たした。

そんな上り調子のタイミングで満を持してスタートのピッチに立つ男がいる。この夏、7年半ぶりに鹿島に帰って来た柴崎岳だ。前節・セレッソ大阪戦でディエゴ・ピトゥカが退場し今節は出場停止のため、柴崎が先発することが濃厚である。

岩政大樹監督とは現役時代に一緒にプレーした経験があり、鈴木優磨や植田直通、昌子源といった旧知の選手たちもおり、チームにはすでに馴染んでいる様子。世界基準を知るボランチがピッチ中央に君臨し、勝利へと導くシナリオが目に浮かぶ。

ホームでは現在4連勝中。かつての常勝軍団が、再び強い姿を取り戻すための1勝をここでつかむ。

リーグ連覇に挑む横浜FMは、今季も順調に勝点を重ね優勝争いを展開。残り7試合で首位とは勝点1差と射程圏内の位置にいることは十分に評価できる。ここから本格化していく優勝争いのプレッシャーを知る選手が多くいるのも確かなアドバンテージである。

しかし、リーグ戦残り10試合となったタイミングから少しずつ勢いが影を潜め、第25節・横浜FC戦(1●4)、第26節・柏レイソル戦(0●2)と残留を争っているチームにまさかの連敗を食らうなど、現在は3戦勝ちなし中。その間に首位の座も明け渡してしまった。

さらに、19日に戦ったAFCアジアチャンピオンズリーググループステージ第1節をホームで韓国の仁川に4失点で敗戦。リーグ戦から大きく選手を入れ替え、外国籍選手を中心に多くの主力を休ませた影響は少なからずあっただろうが、ダメージの残る結果となった。

まさにいまはチームとして踏ん張りどころであり正念場。敵地に乗り込んで戦う大一番は、今季のチームを左右する90分になると言ってもいいかもしれない。2004年以来、クラブ史上二度目のリーグ連覇に向け、トリコロールがすべてを注ぐ。




◆【プレビュー】首位を猛追する2位と3位の対決。鹿島アントラーズ対横浜F・マリノスの見どころ | 日程・放送・配信予定 | Jリーグ(DAZN)



◆【鹿島】柴崎岳が横浜FM戦で復帰後初先発か。岩政監督「当然、可能性ある」(サカノワ)



柴崎岳


試合前日の記者会見。勝点5差での2・3位対決、指揮官が語った勝利への「ポイント」とは?


[J1 28節] 鹿島 – 横浜FM/2023年9月24日15:00/カシマサッカースタジアム

 J1リーグ鹿島アントラーズの岩政大樹監督が9月23日、オンラインによる取材に応じて、翌日の横浜F・マリノスとの大一番に向けて決意を示した。

 勝点46で3位に浮上した鹿島は、2位の横浜FMと勝点5差(首位ヴィッセル神戸とは勝点6差)。ここで勝てば、優勝争いにしっかり食い込み、一方、敗れてしまうと気運が下がってしまうというスリリングな運命の一戦となる。

『大一番』への意気込みを問われた岩政監督は、次のように冷静かつ熱く語った。

「毎週、大一番を迎えているので(気持ちは)変わりません。このクラブであれば、シーズン終盤にその覚悟はしています。逆に言えば、そうした(優勝争いの)状況で迎えられることを幸せに思います。それは選手も同じかもしれません。あとは、ぶつけるだけです」

 また、この横浜FM戦ではボランチのレギュラーを担ってきたブラジル人MFディエゴ・ピトゥカが出場停止になる。果たして、今夏加入した柴崎岳の復帰後初先発はあるのか? 

 指揮官はその問いに答えた。

「明日のメンバー表を提出するまで、いろいろ考えたいと思います。そんなにボランチの頭数は多くないので、そのなかから選んでいく形になり、当然、可能性はあるのではないでしょうか」

 そして横浜FMの印象について。岩政監督は次のように、勝利へのポイントを挙げた。

「ポステコグルー監督(現 トッテナム・ホットスパー)が作られた形が今季一巡目に対戦した時ぐらいまでは踏襲されていると感じてきました。そこから少しずつスタイルが変わってきている印象を受けます。その変わってきたところと変わってきていないことを確認しながら準備してきました。選手たちも把握しながら試合ができれば。そこが一つポイントになると思います。とはいえ非常に強いチャンピオンチーム。打ち破るのはホームでも難しいと思っています」

 多くのファン・サポーターが来場する見込みで、指揮官はこう呼びかけた。

「今年だけでなく、いろんな苦しい状況が続いてきたこのクラブの中で、少しずつ雰囲気が変わり、選手たちが一つずつ乗り越え始め、サポーターの皆さんとの一体感あるスタジアムの雰囲気も徐々に取り戻してきています。『取り戻す』という言い方は正しくなく、新しいものを獲りに行けそうな空気になってきている、そうして迎えられる大一番だと思っています。

 たくさんのサポーターの皆さんに駆け付けていただいて、声を枯らしてともに闘ってくださることを心強く思っています。ここでなんとか形にして、明日だけでなく、シーズン終盤まで駆け抜けたい。ともに今の想いのまま突き抜けられるように、歩いてもらいたいです」

 ここを突き抜けることができるか。岩政監督は選手たちがカシマスタジアムで最高の雰囲気のなか、進化を続ける今季最高のパフォーマンスを見せる姿を楽しみにしていた。全てを勝利で結実させたい。




◆【鹿島】柴崎岳が横浜FM戦で復帰後初先発か。岩政監督「当然、可能性ある」(サカノワ)





2023年9月23日土曜日

◆リーグ1位のアシスト数・樋口雄太は無心でボールを蹴っている「練習してない時のほうが逆にいい」(Sportiva)



樋口雄太


◆樋口雄太・前編>>PKを2度外した天皇杯で「気持ちも吹っ切れた」


 責任は、時に過度なプレッシャーになり、自分自身を押しつぶしてしまうこともある。しかし、鹿島アントラーズでプレーする樋口雄太の場合は逆だ。

 責任や障害、乗り越えなければならない壁は、自分を奮い立たせるスイッチになっている。

「自分はやらなきゃいけないと思った時のほうが、結果を出せるタイプなのかもしれません。ちょうど、(広瀬)陸斗くんとも同じようなことを話していて、振り返ってみると、自分も精神的に追い込まれたときのほうが次の試合で結果を残しているんです」

 すべてのタイトル獲得を目指す鹿島において、7月12日に行なわれた天皇杯3回戦で、ヴァンフォーレ甲府に敗れた責任は重くのし掛かった。1-1で延長戦を終え、13人目まで突入したPK戦で、2度もPKを失敗した事実はなおさらで、樋口の心にじわじわと悔しさを浸食させていった。

 だが、本来であれば避けたいはずの話題に、樋口は自ら切り込み、こう言った。

「時間が経つにつれて、徐々にその責任を感じていって。次はチームを助けられる、チームに勝利をもたらせられる選手にならなければいけないと心に誓いました。その決意が、続くFC東京戦(第21節)の2アシストにつながったと思っています」

 思い出したのは、サガン鳥栖でプロになった頃のことだった。

「大学を卒業して、育成年代の多くを過ごした鳥栖で念願だったプロになれた時は、何でもできると思っていました。でも、挫折を味わい、ミスをすることが怖くなってしまった時期がありました」

 プロ1年目の2019年、樋口はリーグ開幕戦にメンバー入りすると、第2節のヴィッセル神戸戦で途中出場し、デビューを飾った。並行して行なわれていたYBCルヴァンカップでは先発出場する機会にも恵まれた。


【出場機会を失っていた樋口に転機が訪れた2020年】


「神戸戦でデビューした時は、このまま試合に出続けられるかもしれないと思いましたけど、やっぱり、そううまくはいかなかった。

 覚えているのが、ホームで戦ったルヴァンカップの柏戦。相手にはオルンガがいて、ボランチで先発したのですが、自分のところが穴になっていると、はっきりとわかるくらいに狙われました。自分が相手にはがされまくって、毎回シュートまで到達されてしまった。

 試合中も『やばい、やばい......』と思って焦っていたから、余計にいいプレーなんてできるわけがないですよね。スコアは0−0でしたけど、あまりにコテンパンにやられすぎて、一時期、サッカーが楽しくなくなったくらいでした」

 成長した今なら、その時の自分がどうだったかを省みることができる。

「最初は何も考えずにプレーできていたのが、少しずつ求められることも増えてきて、考えるようにもなって......初めてプロとしてプレーすることの怖さや責任を感じました。

 当時の自分は、ボールを持ってもイチかバチかのプレーが多く、おまけにミスを恐れてプレーも消極的。今、考えればわかりますけど、そんな選手、試合で起用したくはないですよね」

 その後、出場機会を失っていた樋口に転機が訪れたのは、プロ2年目の2020年だった。

「チームが勝ち星から遠ざかっていた時期だったこともあって、金明輝監督(当時)に呼ばれると『次のFC東京戦で起用するから、相手のエースであるレアンドロを好きにやらせないように徹底的にマークしてほしい』と言われました。結果は3-2でしたけど、与えられた役割を全うし、攻守でチームがやろうとしていたことを体現できた。

 そこから、試合でもチャンスをもらえるようになって。それまでは自分もおぼろげに『移籍しようかな』なんて考えていましたし、金監督にも『期限付き移籍させたほうがお前のためになるのではないかと迷っていた』と、冗談を言われたくらいでしたからね」


【アシスト数の増加はゴール前にいる選手たちのおかげ】


 樋口自身は、FC東京戦がラストチャンスだと思っていた。自分にはあとがない、追い込まれた状況が、彼を奮起させたのである。

「FC東京戦で、自分自身を変えてやろうと思って臨んだ結果、うまくいって。1年目は自分のやりたいことだけをやろうとしすぎて、空回りして失敗した経験があったので、2年目は少しずつ試合に出られるようになって、チームとしてやるべきことに目を向けられるようになりました。

 試合の入りや立ち上がりをよくしようとか、細かいところにも気をつけていったら、出場機会も、出場時間も増えていった。振り返ると、高校も、大学も、そしてプロも一緒なんです。自分は追い込まれることで、それを乗り越えて、段階を踏んでよくなっていった。

 プレーも同様で、まずはチームのためになることをやって、それができたら次は守備に目を向ける。それがまたできたら、次は攻撃に目を向ける。そうやって自分にできることを少しずつ、少しずつ増やしていくことで、見える景色が変わっていくんだと思います」

 鹿島に加入した昨季も、リーグ戦32試合に出場したとはいえ、樋口にとっては段階を踏んでいたのであろう。今季、リーグ戦で11アシストという数字以上に、攻撃で見せる存在感、守備で見せるハードワークは際立っている。

「アシストは数字だけを見ると、すごいと言ってもらえるかもしれませんが、自分としてはその内容を追求すると、セットプレーからがほとんどなので、果たして自分の力だと評価できるものなのかと。

 しかも、アントラーズに加入してからなんですよね、CKやセットプレーでアシストできるようになったもの。もちろん、自分のキックの調子もいいですけど、やっぱりゴール前にいる選手たちのおかげなのかなって思います」

 以前よりもキックの練習をしているのか──と問いかけると、樋口は首を横に振った。

「練習してない時のほうが、逆にアシストできる機会は多いんです。練習すると、いろいろと考えすぎてしまって、迷いが出てくるので、無心で蹴っている時のほうがいいと思っています」


【尊敬するならば、その人を越えるくらいにならないと...】


 日ごろから考えに考えているため、セットプレーだけでなく、プレーについても同じことが言えるのではないか。そう思い、樋口に再び問いかけた。すると、ハッとしたように樋口は言った。

「たしかに試合中も無心の時のほうが、むしろ判断も、反応も、アイデアも表現できていますね。話をしていて自分の考えが整理されましたけど、自分に必要なのは、セットプレーのキックと同じで、考えをそぎ落としていく作業かもしれない。無心でプレーできているときほど、自分が攻守に顔を出せる回数や機会は多いので」

 目の前が開けたように、明るい表情を見せる樋口は今、自分自身を追い込み、自分を越えようとしている。

 そしてもうひとつ、越えようとしているものがある。鳥栖時代にずっと背中を追いかけ、鹿島で背番号14をつける理由にもなっている、高橋義希の存在である。

「義希さんには本当にお世話になっていて、ずっとその背中を追いかけていました。言葉で直接、言われたわけではないですけど、義希さんからはどんなに試合で活躍しても、満足していない姿勢を常に感じていました。チームが連勝していると、自分の成長を見落としがちになりますけど、この間も義希さんの背中を思い出して、自分に喝をいれたんですよね」

 今も折を見て、その背中を思い出すほど、尊敬する先輩である。しかし、鹿島で出会った先輩は、樋口にこうアドバイスを送った。2022年の同期加入になる仲間隼斗だった。

「雄太が高橋義希さんに憧れるのはいいけど、背中を追いかけているだけでは、その人を越えることはできないよ。きっと、そこで雄太の成長は止まってしまうと思うけどな」

 仲間は、さらに言った。

「尊敬する人なのであれば、なおさらその人を越えるくらいにならないと。自分が上を目指したいのであれば、ただ憧れているという認識や背中を追いかけているといった感覚をあらためて、自分自身の選手像を作り上げなければならないんじゃない?」

 よくランチをする馴染みの店で2時間以上も話し込んだというが、その時も樋口はハッとさせられたという。


【チームのタイトル獲得に貢献すれば日本代表も見えてくる】


「誰かに憧れているうちは、きっと、その選手のマネでしかないんですよね。だから、ここからは自分自身を作っていくというか。そこが自分の次なる課題、テーマになると思っています。

 そう考えると、今の自分に求められているのは、アシストや得点といったゴールに直結するプレーになる。数字が求められるのは、日本も世界もサッカーでは共通しているところ。結果を残さなければ、上には辿り着けないと思っています」

 見据えるのは、チームとしてのタイトルであり、自身としては日本代表である。シーズンは終盤戦に差しかかっていく──自分自身を追い込めば、追い込むほど、力を発揮する樋口にとって、上位を追いかける状況は、自分を越える好機と言えるだろう。

 そして、アントラーズもまた、逆境に立たされれば立たされるほど、強さを発揮する。

<了>




◆リーグ1位のアシスト数・樋口雄太は無心でボールを蹴っている「練習してない時のほうが逆にいい」(Sportiva)







◆樋口雄太が止まると鹿島アントラーズの攻撃も止まる PKを2度外した天皇杯で「気持ちも吹っ切れた」(Sportiva)



樋口雄太


 じわじわと上位に近づいている。ひたひたと上位に迫っている。J1第27節を終えて3位に浮上した鹿島アントラーズのことだ。

 首位との勝ち点差は「6」。まだまだ開いているとはいえ、十分に射程圏内に捉えていると言っていいだろう。

 今季、リーグトップとなる11アシストを記録している樋口雄太が、チームのターニングポイントを挙げる。

「(第9節の)アルビレックス新潟戦がひとつのポイントでした。それまでチームは4連敗していましたが、その期間で僕自身もすごく考えさせられましたし、思い返すとチームにとっても必要だったと思えるくらい、濃い時間を過ごしました。今、あの負けをムダにしないチームになってきています」

 樋口がポイントとして挙げた新潟戦で、2-0の勝利を収めたチームの変化は「守備」にあった。

「連敗を脱する勝利を挙げたことが変わるきっかけだったとは思いますけど、あの試合で、それまで曖昧になっていた守備が整理され、ひとりひとりの役割がはっきりしたことが大きかった。それによって、守から攻へと移る作業もスムーズになり、守備だけでなく攻撃にも大きく影響をもたらしたように思います」

 その変化を、さらに樋口が解き明かす。

「以前はひとりひとりが単体で守備を頑張っていたのが、新潟戦を機にみんなで守備を頑張っているような連動性へと発展しました。だから守備も、守備だけで終わることなく、その守備を生かして攻撃につなげられている。それによって守から攻への切り替えが速くなり、その速さのなかでそれぞれのアイデアも出せるようになってきたことで、チームは成長しました」

「この説明でわかりますか?」と、謙遜する樋口に強くうなずいた。

 今季の鹿島は、前線からの絶え間ない守備で相手を追い込み、意図したエリアでボールを奪うと、すぐさま攻撃へと転じていく──。それが一度や二度ではなく、連動かつ連続して行なわれることにより、攻撃の迫力へとつながっている。


【仲間が助かる位置に顔を出し、相手が嫌がる位置に走り込む】


 新潟戦から鹿島はリーグ戦で5連勝を飾ったが、連勝中も樋口は「答え」を探し続けてきた。現状に満足することなく成長を模索し続けるのが樋口の魅力であり、鹿島の選手らしくなってきた証(あかし)でもある。

「連勝中も攻撃はまだまだ課題があって、どこかまだ、ひとりひとりのよさが出ていなかった。チームがうまく機能するために、どこかひとりひとりのよさを消して戦っているように映っていました。

 でも、守備が連動することによってチームとして安定し、徐々にひとりひとりのアイデアや個性、長所がピッチで出せるようになってきた。やっぱり、守備の安定は攻撃にもいい循環をもたらしますよね。今はみんなに迷いがなくなり、ゴールに向かっていくというシンプルな作業が勢いをもたらしています」

 ひとりひとりの個性が埋もれることなく、ピッチで表現されるように働き、カバーしているのが、まさに樋口雄太である。

 その運動量は特筆に値し、常にチームメイトが助かる位置に顔を出し、常に相手が嫌がる位置に走り込んでいる。

 チームが戦い方を模索するなかで、樋口自身にも変わる転機があった。

 まだ連敗が続いていたある日、チームの強化を担う吉岡宗重フットボールダイレクターと話をしていた時のことだ。

「雄太が止まってしまうと、チームの攻撃も止まってしまうし、チームとしてうまくいかなくなってしまう」

 その言葉に、自身のプレーを深く見つめ直すと同時に、チームが機能するための「答え」も見つけた。

「僕自身、誰に言われるかもすごく大事だと思っていて。いつも近くで自分たちのプレーを見てくれている吉岡フットボールダイレクターからの言葉だったから、心に大きく響きました。

 その言葉を聞くまでは、チームがうまくいくのであれば、多少、自分は犠牲になっていてもいいとすら思っていたんです。でも、チームのためを思って、考えすぎてプレーしていたことで、判断が遅くなるし、アクションも減っていた。吉岡さんと話しながら『たしかにな』って思って。

 自分が動き続けて、うまくボールに絡んでいる試合は、チームの攻撃がスムーズに進んでいることを思い出しました。だから、まずはチームのためではなく、自分が生きるためにゴールに向かうプレーを増やしていくことが必要だと。それが結果的に、自分の運動量やボールに絡む機会を増やすことにつながり、チームのためになることに気がついたんです」


【僕はアクションを起こし続けないと評価されないタイプ】


「答え」を探し続けてきたことで、見えてきたチームの強さもあった。

「これはあくまで僕自身の考えなんですけど、アントラーズって集団というか、密集して、選手同士の距離感がいい時ほど、自分自身もこのチームは強いなって感じているんですよね。

 全体が間延びしたり、攻守が目まぐるしく入れ替わったりするシーソーゲーム、もしくはオープンな展開になると、自分たちの距離感が悪くなって、勝ち点を拾えていない試合が多かった。でも、自分たちが距離感をよくして、密集する状況を作り出せていると、相手が嫌がっていることは試合中も感じられていました」

 チームのバランスばかりを考えるのではなく、自分がゴールに直結するプレーを意識する。そうすることでワンプレー、ワンプレーの判断も早くなり、チームの攻撃は円滑になっていく。

 J1第22節の北海道コンサドーレ札幌戦で、流れるような攻撃から開始12秒で決めたゴールも、その表れであろう。溝口修平からの縦パスを鈴木優磨、仲間隼斗が連続でフリックすると、鈴木からのラストパスを樋口がゴールに流し込んだ。

「あのゴールは、結果的に僕が決めましたけど、みんながゴールに向かう姿勢が大事だったと思いますし、だから、みんなで奪ったゴールだったと思っています。なにより、チーム全体が前向きなチャレンジをしているから生まれたゴール。半信半疑で攻撃している時は、やっぱりシュートで終わることができなかったですからね。

 あのゴールは一例ですけど、僕みたいな選手は、アクションを起こし続けないと評価されない。今はコンディションもいいですし、試合前に思い浮かべていた発想が試合中にパッと出てきて、点が取れそうだなって思える場面も増えてきました。そこは、自分がさらに成長している証なのかなって思いますし、だから今はまた、違った自分の可能性を見つけている段階なのかなって思っています」

 シーズン終盤に向けて、自信をのぞかせる樋口は、こちらが触れるまでもなく、自身が背負っているチームへの責任についても言及した。


【PKを2度外して敗退した天皇杯・甲府戦を自ら語る】


「天皇杯3回戦・ヴァンフォーレ甲府に敗れた試合で、僕が2度、PKを外してチームは敗退しましたよね。PK戦はシュートを蹴るまで、そこまで深く考えてはなかったのですが、自分がPKを外したことでチームがひとつタイトルを失ってしまった。その場では『終わっちゃったな』って感覚だったんですけど、時間が経つにつれて、じわじわと責任を感じるようになって......。

 次はチームを助けられる、チームに勝利をもたらせられる選手にならなければいけないなって心に誓いました。落ち込みましたけど、そう思ってからは、気持ちも吹っ切れたというか、自分自身も変わりました」

 チームの結果に責任を感じ、自分を追い込むことで、樋口はさらに成長しようとしている。

(後編につづく)



◆樋口雄太が止まると鹿島アントラーズの攻撃も止まる PKを2度外した天皇杯で「気持ちも吹っ切れた」(Sportiva)





Ads by Google

日刊鹿島

過去の記事