http://www.hochi.co.jp/soccer/national/20140817-OHT1T50036.html
◆J1第20節 鹿島1―0甲府(16日・カシマスタジアム)
圧巻だった。開始直後、MF柴崎はセンターサークル付近でボールを拾い、1タッチ目でボールを前に出す。「良いところにボールを置けた。(シュートの決断は)半分くらいは、体の反応に身を任せた」。加速しての2タッチ目で右足を振り抜いた。相手GKの手前で大きく左に滑り、そのままネットへ。開始19秒。約35メートルのロングシュートで決勝点を挙げた。
ゴール後には、同期DF昌子が提案したコロンビア代表のダンスを披露。「100点じゃないけど、急にしては上出来」と苦笑いしたが、この日のゴールを含め、ここ4試合で3発、今季5得点目という結果には「調子というより、今までやってきたことの積み重ねが、やっと芽が出てきた」と手応えを口にした。
その積み重ねは、クラブハウスで過ごす時間に表れている。ストレッチ、体幹トレーニングを行うため、同僚と比べ、倍近い時間になる。常に上を目指す姿勢は自身だけではなく、周囲をも巻き込んだ。この日、12試合ぶりに先発復帰したDF青木もその1人。敗戦につながるミスを連発し、現役引退も考えるほど落ち込んだが、柴崎が立ち直るきっかけになった。
「セレーゾ監督が“岳(柴崎)がクラブハウスに長い時間いる。そういう姿勢が結果に表れている”と言っていた。自分はあそこまでやれているか、と考えた。すごく心に響いた。自分もスイッチを入れられた」。31歳ベテランDF青木を復活させるなど、その存在はピッチ内外を問わない。
アギーレ・ジャパン入りも視野に捉える。「最初から選ばれて、(ロシアW杯まで)ずっと入っていきたいという気持ちがある。こういうパフォーマンスを続けることが大事」と柴崎。日本代表のゲリングコーチが見守る中で、見せたゴール。柴崎が日本代表のタクトを握る日もそう遠くはない。(内田 知宏)