AFCチャンピオンズリーグ2015 グループステージ 第5節 vsウェスタン・シドニー・ワンダラーズ
土居が同点弾、金崎が劇的決勝弾!鹿島がアウェイでWSW撃破、グループステージ突破へあと1勝!
グループステージ突破へ、1つ目の関門を突破した。1勝3敗で第5節を迎えた鹿島は、アウェイでウェスタン・シドニー・ワンダラーズと対戦。前半に先制されたものの、後半に土居が同点ゴールを決めると、終了間際には金崎が逆転ゴールを挙げ、2-1で劇的な逆転勝利を収めた。
リーグ戦とAFCチャンピオンズリーグ合わせて5連敗という、思いがけないスタートを切ることとなった今季、鹿島は最近5試合負けなしと、着実に勝ち点を積み重ねてきている。16日に行われたJ1 1st 第6節の柏戦では、アウェイで3-1と快勝し、リーグ戦での戦績を五分に戻した。そして、勝利を告げるホイッスルを聞いてから24時間も経たないうちに、選手たちは次なる決戦の地・オーストラリアへと飛んだ。
過密日程の下、アウェイ2連戦を強いられたが、選手たちは勝利だけを目指して、最善の準備を積んだ。この日、60回目の誕生日を迎えたトニーニョ セレーゾ監督は、金崎を2試合連続で前線に先発起用。2列目も柏戦と同じ3人、カイオと土居と遠藤が務める。ボランチには柴崎と、今季初先発となる青木が入り、両サイドバックは西と山本。累積警告により昌子が出場停止のセンターバックは、柏戦でプロ初ゴールを決めた植田と、ファン ソッコのペアとなった。そしてゴールマウスには、曽ヶ端が立ちはだかる。
シドニーのパラマッタスタジアムは、前日から嵐のような天気に見舞われた。当日も朝から強い雨風に晒されていたものの、はるばる駆けつけたアントラーズサポーターはゴール裏に陣取り、熱い声援を送る。大雨の下、そして相手サポーターの手拍子が響き渡る中、選手たちは現地時間19時30分にキックオフの笛を聞いた。
鹿島は開始早々の5分、カイオがペナルティーエリア左側から思い切りよくファーストシュートを放ち、ゴールへの意欲を示す。直後の6分には、左サイドから流動的なパスワークを披露し、土居がペナルティーエリア手前で前を向くと、パスの選択肢を捨てて右足ミドルシュート。カーブをかけてゴール右隅を狙ったが、惜しくも枠の右へ外れた。曽ヶ端が「相手に圧倒されないように、良いスタートを切りたい」と、語っていた通り、鹿島は立ち上がりからシュートを放ってウェスタン・シドニー・ワンダラーズを押し込んだ。
強風とスリッピーなピッチに苦戦し、サイドで起点を作られる場面が増えたが、鹿島は集中力を保った守備で応戦した。しかし、先制点はウェスタン・シドニー・ワンダラーズのものだった。24分、自陣からのクリアボールが相手に当たり、自陣でボールを奪われると、ペナルティーエリア手前から縦パスを通される。最後は抜け出したニキータ ルカヴィチャに左足シュートを決められた。ミスも絡んだ痛恨の失点で、鹿島が1点ビハインドを負った。
1点を追う展開となり、鹿島はボールポゼッション率を高めて攻勢をかける。右サイドの遠藤と西のコンビが起点となって、チャンスを何度も演出した。27分には、遠藤が右サイドから左足で上げたクロスに、ファーサイドの山本が反応。フリーでヘディングシュートを放ったが、叩きつけたボールは相手GKに弾き出されてしまった。さらに37分には、遠藤が強烈な左足シュートを放ち、こぼれ球に金崎が詰めたが、寸前のところで相手DFにクリアされた。鹿島は相手よりも多くのシュートを放ちながらもゴールネットを揺らせず、0-1で前半を終えた。
強い向かい風に対して攻める後半、鹿島は開始早々から攻勢をかける。48分、カイオからのサイドチェンジが右サイドへ渡り、遠藤と西のパス交換から、グラウンダーのクロスがゴール前へ。ニアサイドに走り込んだ金崎が詰めたが、シュートは惜しくもGK正面に飛んだ。立ち上がりから枠内シュートでチャンスを作り出した鹿島。この攻撃に似た形は逆サイドでも展開され、終了間際に歓喜を生むこととなる。
積極的に仕掛ける姿勢を持つようになった鹿島は、ウェスタン・シドニー・ワンダラーズを押し込んでいった。セレーゾ監督は60分に高崎、62分には負傷明けの小笠原をピッチへ送り出し、各選手のポジションを大胆に変更。高崎が前線に入り、その下に位置する金崎が絡む形で同点弾を狙う。土居は左サイドからチャンスを窺い、中盤では柴崎と小笠原のボランチコンビが舵を取ってゲームをコントロールする。
そして、待望のゴールは66分に生まれた。セットプレーの流れから、クリアされたボールを拾った青木が、センターサークル付近から最終ラインの背後へ浮き球のパスを出す。オフサイドラインを見ながら的確なタイミングで飛び出した土居が、ペナルティーエリア内でトラップ。落ち着いた切り返しで左足に持ち替えると、飛び出してきたGKを避けるように、鮮やかなシュートをゴールへ届けた。「決定的な仕事でチームを助けないと」と話していた背番号8が、今大会3ゴール目を決め、鹿島を救った。
1-1となり、残りは30分弱。疲れの目立つ相手に対して、セカンドボールを拾う回数が増えた鹿島は、逆転弾を目指して敵陣でのプレー時間を増やしていく。74分には、本山がピッチへ。背番号10は巧みなスペースマネジメントと小気味良いパスワークで鹿島にリズムをもたらした。長いボールを蹴り込まれる場面も多くなったが、センターバックにポジションを移した青木やファン ソッコが集中力を保ってカバーリングを連発し、ピンチの芽を摘んだ。
同点のまま迎えた後半アディショナルタイム、劇的なシナリオはシドニーの地でも用意されていた。左サイドでのボールキープから、オーバーラップした山本へパスが渡る。山本がグラウンダーのクロスを蹴り込んで逆転弾への望みを託すと、ニアサイドに走り込んだ金崎が、その願いを叶えた。後半開始早々、右サイドから展開された攻撃と似た形。今度は金崎がしっかりとゴールネットを揺らしてみせた。粘り強い突破で勝利への強い気持ちを見せ続けていた背番号33が、鹿島を勝利へ導いた。
鹿島が2-1で逆転勝利を収め、アウェイで勝ち点3を掴んだ。AFCチャンピオンズリーグでは、2試合連続での劇的勝利。勝ち点は6となり、グループステージは残り1試合だ。5月5日のFCソウル戦、鹿島はホーム・カシマスタジアムで勝てば、決勝トーナメント進出を決めることができる。自力突破の可能性を持って、選手たちは激闘の地から、鹿嶋へ帰還する。
【この試合のトピックス】
・AFCチャンピオンズリーグでのアウェイゲームでの勝利は、2011年4月13日のグループステージ第6節、シドニーFC戦以来。オーストラリアのクラブ相手の勝利も、この試合以来だった。
・ウェスタン・シドニー・ワンダラーズを相手に、初勝利を収めた。
・青木が今季初の先発フル出場を果たした。
・ファン ソッコが2試合ぶりの先発出場を果たした。
・小笠原が途中出場。3月18日のAFCチャンピオンズリーグ グループステージ第3節広州恒大戦で負傷交代して以来の、試合出場を果たした。
・本山が、3月18日のAFCチャンピオンズリーグ グループステージ第3節広州恒大戦以来の途中出場を果たした。
・土居が今大会3ゴール目、金崎が大会初ゴールを決めた。
・高崎が2試合連続で途中出場した。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:トニーニョ セレーゾ
ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ:トニー ポポヴィッチ
[試合後]
鹿島アントラーズ:トニーニョ セレーゾ
・非常に強い相手が反対側にいて、我々の勝利の価値を高めたと思う。我々はやるべきことをやって、勝利を手にした。
・まず、勝ったことによってグループステージ突破の望みを引き寄せた形にはなった。ただ、まだ1試合残っているから、そう簡単にはいかないと思う。グループステージを突破したいという強い意思を持って、ピッチの中で表現をしなければならない。
・前半はパスワークも非常に良かったし、サイドの崩しもよくできていた。ただ、そこからのクロスの精度だったり、敵陣の3分の1のエリアにたどり着いても、シュートの意識が非常に低かったり、ということがあった。その部分についての指示をハーフタイムには出したし、精度の高いクロスを上げられる選手がいるわけだから、そういった部分を要求した。また、高崎選手を入れて金崎選手をトップ下の位置に入れることによって、1人がターゲットマンでゴールゲッターの選手、1人が常にゴールを目指すタイプの選手なので、ゴールへ行く意欲というものをチーム全体に伝達したと思う。最後の方は、クロスの精度が高まっていて、得点を決めることができた。
・また、小笠原選手が入ることによって、中盤での落ち着きを取り戻したと思う。彼の投入から、チームが落ち着きを取り戻したと思う。
・風というよりも昨夜から雨が続いていたので、ピッチコンディションを非常に心配していた。水たまりができているのではないか、サッカーに適したピッチコンディションではないのではないかと心配していた。ホテルからスタジアムへのバスの中で、ピッチコンディションを確認することが待ち遠しかったし、サッカーをできるだけで、サッカー人としては喜びを感じた。風がどうこうというよりも、前半は相手の17番の選手が機動性や駆け引きの部分で嫌なポジショニングをとるので、我々の左サイドバックにケアをするようにと指示を出した。むやみには行くな、とも指示を出した。そこをしっかり抑えることによって、我々のゲームプランを後半に遂行できたと思う。
ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ:トニー ポポヴィッチ
前半はとても良かった。前へ行くチャンスが何度もあった。ただそのチャンスを決めることができなかったことに不安を覚えた。後半に点を取ることができたが、アントラーズとの違いは彼らはチャンスを我々以上に物にしたこと。我々は十分ではなかった。もちろんアディショナルタイムに決勝ゴールを決められたのはとても残念だったが、後半は正直に言って主導権を握ることができなかったと思う。特に中盤でのコントロールを失った。
選手コメント
[試合後]
【西 大伍】
前半よりも(守備)の間が空いていたし、味方が入って来ていたので、もう少し速いクロスを入れられれば良かったと思う。前半の入りから相手にボールをキープさせてしまい、そこが緩かった。いけるという感覚は皆が持っていた。我慢すべきところで我慢できるようになったことが良くなったと思うが、無失点で終わることができていない。負けている時から、戦い方は悪くなかった。ブレずにやって来たのが良かった。これからもブレずにやりたい。
【高崎 寛之】
相手のセンターバックが広がってきていたので、「高さで勝ち、つぶれ役として自分の仕事をしてくれ」と言われた。それができたかは分からないが、流れが変わってチームが2得点できたのは良かった。夢生が上がっていたので、自分はカバーしていた。2人で前に行くと、ボランチに使われてしまう。勝たないと終わってしまうので、守備陣も身体を張って止めていた。
【本山 雅志】
グラウンドが悪い状態だったので、満男と繋いでいこうと話していた。バイタルでボールを受けるように、バランスを見ながらプレーしていた。結果的に良かったが、もう少しコンパクトにやりたい。攻め続けたことが結果に繋がった。次はホームなので、サポーターと一丸となってグループステージを突破したい。
遠藤選手、山本選手、土居選手、金崎選手のコメントは、アントラーズモバイルをご覧ください。