プロ5年目の柴崎 [写真]=Getty Images
鹿島アントラーズの柴崎岳が、鮮やかな一発でゴールネットを射抜いた。
25日に行われたJ1 1stステージ第7節のヴィッセル神戸戦における71分だった。1点ビハインドの展開で、右サイドでボールを持つと、遠藤康、伊東幸敏とのパス交換で相手のプレッシャーを一気にかいくぐる。中央に持ち出し、ゴール前の高崎寛之に一度当てると、リターンパスをダイレクトでゴール左隅に蹴り込んだ。
流れるようなプレーから生まれたゴールには、神戸の小川慶治朗も「ちょうど後ろから見ていたら、すごいシュートコースだった」と舌を巻く。「(柴崎が)上手くドリブルで入ってきたので、ワンツーで崩せた」とは、アシストした高崎の弁。針の穴を通すような高度な技術と周囲との連係により、5バック気味で固めた神戸の守備網を破った。
日本代表として参戦した、今年1月のアジアカップにおけるUAE戦のゴールを彷彿とさせる一撃だったが、今回は利き足ではない左足でのシュート。難易度の高いプレーだったが、本人は「あまり左足では打たないが、思い切ってコースを狙ったのがよかった」と、当たり前かのように今季のリーグ戦2点目を冷静に振り返った。
追いかける展開で、チームを勢い付かせるにはこの上ない一撃となったが、6分後にCKを与えると、GK曽ヶ端準と高崎が重なり合う連係ミスから勝ち越し点を奪われた。勝ち点8同士の対戦だったが、1-2とホームで敗戦。「自分たちのミスから点を奪われ、非常にもったいない試合をした」と、柴崎は表情こそ変えなかったが、言葉から悔しさが滲み出た。
負傷していた小笠原満男が復帰した今も、キャプテンマークは柴崎の左腕に巻かれている。結果的に空砲にこそなったが、ここぞという場面でゴールをもぎ取るプレー面もさることながら、得点直後でも喜びより早めのプレー再開を促すなど頼もしさは十分。今季は公式戦で無失点試合がない状態だが、「チーム全体の課題。決してディフェンスライン、守備陣だけのせいではない」と、しっかりと口にする。
世間は連休に突入したことで、リーグ戦の日程が一気に詰まっていく。5月5日には、勝てばグループ突破の決まるAFCチャンピオンズリーグの大一番、FCソウル戦も控える。西大伍とともに今季の公式戦で全試合フル出場を続けるが、「あまり一喜一憂せずに、すぐに試合なので、引きずらずに次の試合に切り替えたい」と、名実ともにチームをけん引する22歳は、次戦を見据えていた。