日刊鹿島アントラーズニュース
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2016年6月28日火曜日
◆優勝にも厳しい表情。小笠原満男に見る常勝アントラーズのDNA(Sportiva)
http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/jfootball/2016/06/27/post_1149/index.php
これを”伝統の強み”と言わずして何と言おうか。
J1リーグファーストステージの優勝トロフィーを掲げたのは、勝利への飽くなきスピリットを持つ鹿島アントラーズだった。
一時は自力優勝の道が閉ざされていたものの、そんな逆境に浮き足立つことなく、全17試合を終えた段階でてっぺんに立つ。その一念だけで、しぶとく戦い続けて栄冠を手にした。
前節で首位に立った鹿島。勝てば優勝という最終節の相手は、最下位のアビスパ福岡だった。立ち上がりこそリズムをつかみ損ねたが、前半27分の右CKのチャンスから均衡を破ると、37分にも追加点を奪って2-0で勝利した。
ここ6シーズン、鹿島はリーグ戦のタイトルからは遠ざかっている。しかし、天皇杯、ナビスコカップでは優勝を重ね、ついにリーグ戦でもチャンピオンシップへの出場権を奪取。常勝軍団の”完全復権”を強く印象づけた。
昨シーズンの途中から指揮を執るクラブOBの石井正忠監督が笑顔を浮かべて語る。
「勝因は、チームの結束力と総合力。選手ひとりひとりが高い意識を持って、目指すサッカーに対して真摯に取り組んでくれた。当たり前のことを当たり前にやる。そうした積み重ねがファーストステージの優勝につながった」
その中心的な役割を果たしたのは、紛れもなく小笠原満男だ。J1通算480試合出場を数える重鎮は、日頃からこう繰り返し語ってきた。
「チームはいいときばかりじゃない。流れがよくないときにどうしたらいいか、どうやったら勝てるか、そればかりを考えている」
現在37歳。年齢によるフィジカル面の衰えを指摘する声は少なくない。ベンチスタートや途中で退く試合も増えた。だが、戦う姿勢に何ら変化はない。球際で見せる、その形相たるや”闘将”と呼ばれるにふさわしい。
「若い頃に持っていたものがなくなっているのは確かだけど(苦笑)、歳をとるのは別に悪いことばかりじゃない。今まで見えなかったものが見えてくるからね」
かつて、鹿島に在籍していた”御大”ジーコがそうであったように、ジョルジーニョがそうであったように、本田泰人や秋田豊ら歴代の精神的支柱を担ってきた選手、中軸を務めてきた選手たちがそうであったように、鹿島に息づく”勝者のメンタリティー”を受け継ぐ小笠原は、結果を出すことで自身の存在価値を高めてきた。
そんな小笠原に対して、石井監督は賛辞を惜しまず、全幅の信頼を寄せる。
「多くのことを言わなくても、チームに必要なプレーをしてくれる。大事な試合になればなるほど(小笠原の存在は)欠かせない」
今年はクラブ創立25周年。このような節目のシーズンに大きな実りを得て、俄然意気が上がる。
とはいえ、ステージ優勝は単なる通過点に過ぎない。試合終了後、石井監督やチームメイト、スタッフ、そしてファンやサポーターと喜びを分かち合った小笠原は、スタジアムをあとにする頃には、すっかり先を見据えていた。
「もっと点が取れるチャンスがあったのに取れなかった。失点してもおかしくない場面も何度かあった。勝ったからよかったじゃなく、内容に目を向けないと。チームとしてまだまだ改善するべきところがある」と、厳しい表情を崩すことなく、チームの課題を口にした。
思えばファーストステージ第15節、浦和レッズとの“大一番”でもそうだった。当時2試合未消化だった暫定3位の浦和は、優勝を争う当面の相手。その難敵に敵地で2-0と快勝しながら、小笠原はニコリともしなかった。
「もっといい試合をしないと」
そう言い残して、足早にミックスゾーンから立ち去った。
「今日、勝っただけで満足していたらいけない。何も成し遂げていないのに、いつまでも喜んでいられない」――そんな内なる声が聞こえてくるようだった。夢半ば、充実感や達成感のかけらもなった。
7月2日から早くもセカンドステージが始まる。小笠原が心底喜びを爆発させるのは、チャンピオンシップ制覇の瞬間だ。その貪欲さこそが、鹿島の真髄であり、大黒柱たる小笠原の矜持に他ならない。
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