
日刊鹿島アントラーズニュース
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2016年12月19日月曜日
◆FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2016 決勝(オフィシャル)
http://www.so-net.ne.jp/antlers/games/51936
FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2016 決勝
柴崎2発も及ばず。鹿島、延長の末、レアル・マドリードに敗れる。
120分間の激闘を演じた先で、世界の頂へ登り詰めることはできなかった。FIFAクラブワールドカップ ジャパン2016、決勝。欧州王者レアル・マドリードと対戦した鹿島は、開始9分に先制を許したものの、柴崎の2ゴールで逆転に成功する。しかし、PKで同点に追い付かれると、2-2で突入した延長戦で2失点を喫し、2-4と敗れた。
鹿島は4日前の準決勝で、南米王者のアトレティコ・ナシオナルを3-0で破った。猛攻を受け、24本ものシュートを浴びながら、守備陣が気迫のプレーを連発してゴールを死守。そして、土居が突き刺した決意のPK、遠藤のヒールシュート、鈴木のダメ押し弾が、世界に衝撃を与えた。アジア勢初の決勝進出。そして翌日、ファイナルの相手がレアル・マドリードに決まった。
準備期間は2日間。“白い巨人”と称される世界的なメガクラブとの対峙を前に、選手たちは充実感と高揚感を漂わせながらトレーニングを積んだ。試合前日、穏やかに晴れた横浜での前日練習でも、気負いや重圧は一切感じられなかった。そこにあるのは、平常心でボールを追う選手たちの姿。「チャンピオンシップから積み上げてきた自分たちのサッカーをしたい」と土居が語ったとおり、試合を追うごとに強く逞しくなってきたチームは、勢いと自信、全ての力を決勝にぶつける。
指揮官はアトレティコ・ナシオナル戦から先発メンバーを2名変更。永木を復帰させ、キャプテンの小笠原とのボランチコンビにチームの舵取りを託す。そして前線には金崎を起用。柴崎は2列目での先発となった。最終ラインは右から西、植田、昌子、山本の並びで、2試合連続で鬼神の如くビッグセーブを繰り返している曽ケ端が最後尾に立ちはだかる。2列目の右には遠藤、前線は金崎とともに土居が先発メンバーに名を連ねた。12月3日、埼玉スタジアムで「魂の90分間」を演じた時と、同じ11人がファイナルの舞台に立った。そして、先発11名以外の残り12選手全員がベンチ入り。GKの櫛引と川俣、ブエノ、ファン ソッコ、伊東、ファブリシオ、中村、三竿、杉本、平戸、赤崎、鈴木が控える。


青空に恵まれた横浜。大会最終日、タイトルマッチにふさわしい高揚感がスタジアムを包んだ。3位決定戦はPK戦に突入し、アトレティコ・ナシオナルが勝利を収めた。大挙して詰めかけた南米王者のサポーターは、世界大会で戦う誇りを歌い上げていた。クラブ・アメリカも敗れたとはいえ、己の存在を世界にアピールしていた。
そして、決勝の時が来た。横浜国際総合競技場は満員の観衆で埋め尽くされた。その夜空を、アントラーズレッドの歌声が切り裂く。バックスタンド上段にはSPIRIT OF ZICOの横断幕も掲げられた。アントラーズファミリー全員で戦う、ファイナル。19時30分、幕が上がった。
立ち上がりから、鹿島は積極的にプレスをかけていった。小笠原が激しいボディコンタクトで勝利への意志を示すとともに、欧州王者に対して一歩も引くことなく戦いを挑むというチームへのメッセージでもあった。百戦錬磨の「怖がらずに一つになって戦いたい」という言葉を、その背中で示してみせた。



しかし、欧州王者はやはり抜け目なくゴールを陥れる術を知っていた。9分、レアル・マドリードが均衡を破る。ルカ モドリッチのシュートを曽ケ端が弾いたところに詰めたカリム ベンゼマに押し込まれ、鹿島は早くもビハインドを負ってしまった。
それでも、下を向く者など誰一人としていない。失点直後の10分、小笠原が強烈なミドルシュートで反撃の狼煙を上げた。鹿島はレアル・マドリードの鋭い攻撃で押し込まれる時間もあったが、27分にベンゼマに打たれた強烈なシュートは曽ケ端が間一髪で弾き出す。守護神は変わらぬ安定感で、チームを最後尾から支えた。




0-1のまま、拮抗した展開が続く。そして40分以降、鹿島が敵陣でボールをキープする時間が増えていった。両サイドの深い位置でボールを持てるようになる。そして43分、待望の同点ゴールが生まれた。スコアを刻んだのは、前日会見で「レアルにも勝てると思う」と語っていた背番号10だった。左サイド深くでボールを持った土居のクロスに反応し、トラップから左足を一閃。強烈なシュートをゴール右隅へ届けた。1-1。タイスコアでハーフタイムを迎えることとなった。



同点ゴールの余韻が冷めやらぬ中で迎えた後半。次のスコアラーも鹿島の10番だった。52分、ペナルティーエリア手前でボールを持ち、フェイントでシュートコースを作り出すと、左足を一閃。強烈なミドルシュートをゴール左隅へ突き刺してみせた。2-1。鹿島が逆転に成功した。


ビハインドを負ったレアル・マドリードは攻撃のギアを上げる。鹿島は58分、最終ラインの背後へ出されたスルーパスから、競り合いの中でファウル。PKを与えてしまい、クリスティアーノ ロナウドに決められて2-2の同点とされた。石井監督は67分、小笠原に代えてファブリシオを投入。柴崎をボランチへ、土居を左サイドハーフへ配置転換し、再度の勝ち越しを目指した。

75分以降は、互いに攻め合うオープンな展開となった。鹿島は時折訪れるピンチを曽ケ端の好守でしのぎ、大車輪のプレーを見せた昌子の奮闘もあって、失点を許さない。石井監督は88分に鈴木を投入。貪欲な若武者に3点目への希望を託す。そして後半アディショナルタイム、左サイドからのクロスに飛び込んだ遠藤が惜しいチャンスを迎えたが、シュートを枠に飛ばすことはできなかった。2-2。90分では決着がつかず、15分ハーフの延長戦に突入した。




延長戦にもつれ込んだ時点で、世界は驚いたことだろう。しかし、鹿島が求めるものは勝利のみ。96分、激しいプレスでボールを奪ったファブリシオがドリブルで敵陣に進入し、フェイントから右足を振り抜く。相手DFにブロックされたが、得点への意欲を示した。
だが、次のスコアはレアル・マドリードのものだった。98分、一瞬の隙を突かれて最終ラインの背後を取られ、クリスティアーノ ロナウドに決められた。2-3。それでも鹿島は102分、柴崎のFKから鈴木が打点の高いヘディングシュートを放ったが、ボールはクロスバーを叩き、枠を越えてしまった。




決定機を逃した鹿島に、欧州王者が襲いかかった。104分、ゴール前の混戦からクリスティアーノ ロナウドにみたび決められ、スコアは2-4に。残された延長後半15分、鹿島は必死に反撃を目指した。だが、余裕をもって時計の針を進めるレアル・マドリードのゴールネットを揺らすことはできなかった。



2-4。延長戦の末、タイトルを獲得することはできなかった。鹿島が世界を驚かせたことは間違いない。と同時に、この上ない悔しさと向き合うことにもなった。石井監督と小笠原は試合後、「アジアチャンピオンになって、この舞台に戻ってきたい」と奮起を誓っている。この敗戦を糧に、鹿島はもっと強くならなければならない。

チャンピオンシップ制覇から、目まぐるしく濃密な時間を過ごした選手たち。しばしの休息を経て、今季最後の目標へと向かう。次戦は24日、天皇杯準々決勝の広島戦だ。世界の舞台で得た自信、経験、悔しさ、その全てを胸に、19個目の星を掴むための戦いに臨む。
【この試合のトピックス】
・クラブワールドカップ初出場で準優勝だった。
・大会のフェアプレー賞を受賞した。
・柴崎が今大会初ゴールを含む2得点を記録した。
・大会の個人賞3位となるブロンズボールを柴崎が受賞した。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
レアル・マドリード:ジネディーヌ ジダン
[試合後]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
Q.延長戦に入ってから2点及ばなかった理由は?
A.交代選手を入れることで変化をつけて追い付こうとしたが、うまくいかなかった。選手たちは120分間、しっかりとファイトしてくれた。あのレアル・マドリードに対して真っ向勝負で戦ってくれた。私の力のなさだと思う。
Q.日本のサッカー界や歴史において、今回の2位の意味は?
A.プロ化して25年くらいだが、今回出場している他国の歴史から言うとかなり浅い部類だと思う。その日本のサッカーがここまで来られたことは非常に意味がある。日本のサッカーが急激に世界へ近づいていることが証明できたと思う。
Q.6万7000人の町のチームがレアル・マドリードを追い詰めたことは、世界中のクラブに夢と希望を与えると思うが?
A.アントラーズは茨城の東端にある小さな町から生まれたクラブ。Jリーグに参入するのに「99.9999%、不可能だ」と言われ、0.0001パーセントの可能性に賭けて町が動いて生まれたクラブ。それが日本を象徴するチームになっているということは、世界の小さなクラブに勇気を与えたと思う。
Q.120分間、集中力やアドレナリンが尽きることなく戦えたことは予想できたか?後半は押し込んでいて、いつ点を取ってもおかしくなかった状況だったが、どういう心境だったか?
A.体力的な部分では、ある程度は行けると予想していた。個々の自己管理、宿舎での生活態度や体調のコントロールも非常に良かったので期待していた。その中でも個々のスピードや決定機を決めきる体力が必要な中で、そこが不足していたし、相手との差があったのではないかと思う。
Q.周囲は手放しの褒めようだが、ものすごく悔しいのでは?
A.本当に悔しい。このレアル・マドリードに対して、相手を苦しめさせることはできたと思うが、本当にちょっとしたポジショニングや判断ミスで失点してしまったので悔しい思いでいっぱい。選手は立ち上がりから勇気をもって120分間戦ってくれた。レフェリーが勇気を持てなかった場面が一つあったと思うが、それも残念だった。
Q.この悔しさ、今日体感した世界のレベルを受けて、選手がどういう反応をするといいと思うか?
A.こういう高いレベルの試合をJリーグでもしっかりとやっていくべき。それが我々だけではなく、他のクラブの発展にもつながる。このような素晴らしい大会に出させていただいて、いろいろな経験をさせてもらった。来季はACLで優勝して、アジアの王者としてこの場に立ちたいと思う。選手もそう感じていると思う。
Q.このような相手との対戦では心理的な要素が重要だと思うが、選手たちの心理的なマネージメントをしたのか?
A.意図して何か特別なことはしていない。選手はこの大会の中で、今まで経験できないような相手への対応を学んでしっかりとやってくれた。選手全員が成長してくれたと思う。私自身もいろいろな勉強になった。
Q.素晴らしい試合で、選手たちは勇気のあるプレーをしていたと思う。その中でセルヒオ ラモスに警告が出なかったことについてどう考えているか?
A.レフェリーが勇気を持てなかったと思う。ただ、そのことに対していつまでも気持ちを持っていかれないように、選手たちは最後まで冷静に戦ってくれたと思う。
Q.大陸王者のチームにも勝ったわけだが、アジア王者がクラブワールドカップを制する日が来ると思うか?
A.こういうテンションでの試合を続けないと世界との差は縮まらないと思う。こういう試合を常に続けていって、アジアの大会でも、他の国々と厳しい試合をすることでアジア全体のレベルが上がると思う。そうなれば、強豪国と言われる国と対等に試合ができると思う。これを続けていかないといけない。
レアル・マドリード:ジネディーヌ ジダン
タイトルはいつも重要だ。相手に苦しめられることは予想していた。簡単なファイナルにはならないと思っていた。相手はとにかく走っていて、戦っていた。ここまで長旅だったので、トロフィーを持って帰れることは嬉しい。
選手コメント
[試合後]
【小笠原 満男】
悔しい。結果を求めてやっている。ACLを勝ち抜いてまたここに戻って、チャンピオンになりたいという気持ちになった。
【永木 亮太】
レアル・マドリードは思った通りという感じだったけど、チャンスはあると思っていた。スピードはすごかったし、いろいろな面で質が高かった。普段ならボールを取れるところで取れなかった。前半に岳が点を取ってくれて勇気が湧いた。悔しい気持ちでいっぱい。
【曽ケ端 準】
得点を決めることができたし、チャンスも作れた。失点の場面は、うまく弾けば取られなかったと思う。チームとして勝てるチャンスはあった。守備から入ってチャンスを作ることができていたのに、勝てなかったことが残念。
【柴崎 岳】
2位は2位なので残念。2ゴールを決めたが、チームを勝利に導くことができなかった。90分で決められれば良かった。タイトルを取れなかったし、歴史にもレアル・マドリードの名が残るだけ。細かく見れば差はある。そういうところをクリアしていく作業を一つ一つやっていく。
【昌子 源】
レアル・マドリードの本気を引き出せたのは良かったが、準優勝は悔しい。ACLで優勝してリベンジしたい。相手に通用したとは思っていない。コンディションも悪かっただろうし、こっちにアドバンテージがあったと思う。サポーターの方にここまで連れてきてもらったので、天皇杯で恩返ししないといけない。
【遠藤 康】
悔しい。レアル・マドリードは強かった。勝てるチャンスはあった。フリーでボールをもらえる場面があって、起点にしてやっていけばゴールに結びつくと思っていた。タイトルを獲りに行った。日本のチームでも多少はできるけど、世界は遠いと感じた。
【金崎 夢生】
勝利を目指してやっていたので、結果に結びつかなくて残念だった。この負けを次につなげたい。レアル・マドリードを相手に、自分たちがやれたのかどうかは映像を見て判断したい。
【鈴木 優磨】
レアル・マドリードは質が高い。レベルが違うと感じた。自分がヘディングで決めていれば違った。全ての面で質を上げていかないといけない。クリスティアーノ ロナウドはそんなに良くなかったと思うけど、1分、2分で仕事ができるのがストライカーなんだと思う。
【西 大伍】
相手がイライラしていたので、シメシメと思っていた。相手はサイドハーフがいないような状態だったので、ヤスと崩せると思っていた。追い詰めたと言っても、負けたわけだから意味がない。
柴崎2発も及ばず。鹿島、延長の末、レアル・マドリードに敗れる。
120分間の激闘を演じた先で、世界の頂へ登り詰めることはできなかった。FIFAクラブワールドカップ ジャパン2016、決勝。欧州王者レアル・マドリードと対戦した鹿島は、開始9分に先制を許したものの、柴崎の2ゴールで逆転に成功する。しかし、PKで同点に追い付かれると、2-2で突入した延長戦で2失点を喫し、2-4と敗れた。
鹿島は4日前の準決勝で、南米王者のアトレティコ・ナシオナルを3-0で破った。猛攻を受け、24本ものシュートを浴びながら、守備陣が気迫のプレーを連発してゴールを死守。そして、土居が突き刺した決意のPK、遠藤のヒールシュート、鈴木のダメ押し弾が、世界に衝撃を与えた。アジア勢初の決勝進出。そして翌日、ファイナルの相手がレアル・マドリードに決まった。
準備期間は2日間。“白い巨人”と称される世界的なメガクラブとの対峙を前に、選手たちは充実感と高揚感を漂わせながらトレーニングを積んだ。試合前日、穏やかに晴れた横浜での前日練習でも、気負いや重圧は一切感じられなかった。そこにあるのは、平常心でボールを追う選手たちの姿。「チャンピオンシップから積み上げてきた自分たちのサッカーをしたい」と土居が語ったとおり、試合を追うごとに強く逞しくなってきたチームは、勢いと自信、全ての力を決勝にぶつける。
指揮官はアトレティコ・ナシオナル戦から先発メンバーを2名変更。永木を復帰させ、キャプテンの小笠原とのボランチコンビにチームの舵取りを託す。そして前線には金崎を起用。柴崎は2列目での先発となった。最終ラインは右から西、植田、昌子、山本の並びで、2試合連続で鬼神の如くビッグセーブを繰り返している曽ケ端が最後尾に立ちはだかる。2列目の右には遠藤、前線は金崎とともに土居が先発メンバーに名を連ねた。12月3日、埼玉スタジアムで「魂の90分間」を演じた時と、同じ11人がファイナルの舞台に立った。そして、先発11名以外の残り12選手全員がベンチ入り。GKの櫛引と川俣、ブエノ、ファン ソッコ、伊東、ファブリシオ、中村、三竿、杉本、平戸、赤崎、鈴木が控える。
青空に恵まれた横浜。大会最終日、タイトルマッチにふさわしい高揚感がスタジアムを包んだ。3位決定戦はPK戦に突入し、アトレティコ・ナシオナルが勝利を収めた。大挙して詰めかけた南米王者のサポーターは、世界大会で戦う誇りを歌い上げていた。クラブ・アメリカも敗れたとはいえ、己の存在を世界にアピールしていた。
そして、決勝の時が来た。横浜国際総合競技場は満員の観衆で埋め尽くされた。その夜空を、アントラーズレッドの歌声が切り裂く。バックスタンド上段にはSPIRIT OF ZICOの横断幕も掲げられた。アントラーズファミリー全員で戦う、ファイナル。19時30分、幕が上がった。
立ち上がりから、鹿島は積極的にプレスをかけていった。小笠原が激しいボディコンタクトで勝利への意志を示すとともに、欧州王者に対して一歩も引くことなく戦いを挑むというチームへのメッセージでもあった。百戦錬磨の「怖がらずに一つになって戦いたい」という言葉を、その背中で示してみせた。
しかし、欧州王者はやはり抜け目なくゴールを陥れる術を知っていた。9分、レアル・マドリードが均衡を破る。ルカ モドリッチのシュートを曽ケ端が弾いたところに詰めたカリム ベンゼマに押し込まれ、鹿島は早くもビハインドを負ってしまった。
それでも、下を向く者など誰一人としていない。失点直後の10分、小笠原が強烈なミドルシュートで反撃の狼煙を上げた。鹿島はレアル・マドリードの鋭い攻撃で押し込まれる時間もあったが、27分にベンゼマに打たれた強烈なシュートは曽ケ端が間一髪で弾き出す。守護神は変わらぬ安定感で、チームを最後尾から支えた。
0-1のまま、拮抗した展開が続く。そして40分以降、鹿島が敵陣でボールをキープする時間が増えていった。両サイドの深い位置でボールを持てるようになる。そして43分、待望の同点ゴールが生まれた。スコアを刻んだのは、前日会見で「レアルにも勝てると思う」と語っていた背番号10だった。左サイド深くでボールを持った土居のクロスに反応し、トラップから左足を一閃。強烈なシュートをゴール右隅へ届けた。1-1。タイスコアでハーフタイムを迎えることとなった。
同点ゴールの余韻が冷めやらぬ中で迎えた後半。次のスコアラーも鹿島の10番だった。52分、ペナルティーエリア手前でボールを持ち、フェイントでシュートコースを作り出すと、左足を一閃。強烈なミドルシュートをゴール左隅へ突き刺してみせた。2-1。鹿島が逆転に成功した。
ビハインドを負ったレアル・マドリードは攻撃のギアを上げる。鹿島は58分、最終ラインの背後へ出されたスルーパスから、競り合いの中でファウル。PKを与えてしまい、クリスティアーノ ロナウドに決められて2-2の同点とされた。石井監督は67分、小笠原に代えてファブリシオを投入。柴崎をボランチへ、土居を左サイドハーフへ配置転換し、再度の勝ち越しを目指した。
75分以降は、互いに攻め合うオープンな展開となった。鹿島は時折訪れるピンチを曽ケ端の好守でしのぎ、大車輪のプレーを見せた昌子の奮闘もあって、失点を許さない。石井監督は88分に鈴木を投入。貪欲な若武者に3点目への希望を託す。そして後半アディショナルタイム、左サイドからのクロスに飛び込んだ遠藤が惜しいチャンスを迎えたが、シュートを枠に飛ばすことはできなかった。2-2。90分では決着がつかず、15分ハーフの延長戦に突入した。
延長戦にもつれ込んだ時点で、世界は驚いたことだろう。しかし、鹿島が求めるものは勝利のみ。96分、激しいプレスでボールを奪ったファブリシオがドリブルで敵陣に進入し、フェイントから右足を振り抜く。相手DFにブロックされたが、得点への意欲を示した。
だが、次のスコアはレアル・マドリードのものだった。98分、一瞬の隙を突かれて最終ラインの背後を取られ、クリスティアーノ ロナウドに決められた。2-3。それでも鹿島は102分、柴崎のFKから鈴木が打点の高いヘディングシュートを放ったが、ボールはクロスバーを叩き、枠を越えてしまった。
決定機を逃した鹿島に、欧州王者が襲いかかった。104分、ゴール前の混戦からクリスティアーノ ロナウドにみたび決められ、スコアは2-4に。残された延長後半15分、鹿島は必死に反撃を目指した。だが、余裕をもって時計の針を進めるレアル・マドリードのゴールネットを揺らすことはできなかった。
2-4。延長戦の末、タイトルを獲得することはできなかった。鹿島が世界を驚かせたことは間違いない。と同時に、この上ない悔しさと向き合うことにもなった。石井監督と小笠原は試合後、「アジアチャンピオンになって、この舞台に戻ってきたい」と奮起を誓っている。この敗戦を糧に、鹿島はもっと強くならなければならない。
チャンピオンシップ制覇から、目まぐるしく濃密な時間を過ごした選手たち。しばしの休息を経て、今季最後の目標へと向かう。次戦は24日、天皇杯準々決勝の広島戦だ。世界の舞台で得た自信、経験、悔しさ、その全てを胸に、19個目の星を掴むための戦いに臨む。
【この試合のトピックス】
・クラブワールドカップ初出場で準優勝だった。
・大会のフェアプレー賞を受賞した。
・柴崎が今大会初ゴールを含む2得点を記録した。
・大会の個人賞3位となるブロンズボールを柴崎が受賞した。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
レアル・マドリード:ジネディーヌ ジダン
[試合後]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
Q.延長戦に入ってから2点及ばなかった理由は?
A.交代選手を入れることで変化をつけて追い付こうとしたが、うまくいかなかった。選手たちは120分間、しっかりとファイトしてくれた。あのレアル・マドリードに対して真っ向勝負で戦ってくれた。私の力のなさだと思う。
Q.日本のサッカー界や歴史において、今回の2位の意味は?
A.プロ化して25年くらいだが、今回出場している他国の歴史から言うとかなり浅い部類だと思う。その日本のサッカーがここまで来られたことは非常に意味がある。日本のサッカーが急激に世界へ近づいていることが証明できたと思う。
Q.6万7000人の町のチームがレアル・マドリードを追い詰めたことは、世界中のクラブに夢と希望を与えると思うが?
A.アントラーズは茨城の東端にある小さな町から生まれたクラブ。Jリーグに参入するのに「99.9999%、不可能だ」と言われ、0.0001パーセントの可能性に賭けて町が動いて生まれたクラブ。それが日本を象徴するチームになっているということは、世界の小さなクラブに勇気を与えたと思う。
Q.120分間、集中力やアドレナリンが尽きることなく戦えたことは予想できたか?後半は押し込んでいて、いつ点を取ってもおかしくなかった状況だったが、どういう心境だったか?
A.体力的な部分では、ある程度は行けると予想していた。個々の自己管理、宿舎での生活態度や体調のコントロールも非常に良かったので期待していた。その中でも個々のスピードや決定機を決めきる体力が必要な中で、そこが不足していたし、相手との差があったのではないかと思う。
Q.周囲は手放しの褒めようだが、ものすごく悔しいのでは?
A.本当に悔しい。このレアル・マドリードに対して、相手を苦しめさせることはできたと思うが、本当にちょっとしたポジショニングや判断ミスで失点してしまったので悔しい思いでいっぱい。選手は立ち上がりから勇気をもって120分間戦ってくれた。レフェリーが勇気を持てなかった場面が一つあったと思うが、それも残念だった。
Q.この悔しさ、今日体感した世界のレベルを受けて、選手がどういう反応をするといいと思うか?
A.こういう高いレベルの試合をJリーグでもしっかりとやっていくべき。それが我々だけではなく、他のクラブの発展にもつながる。このような素晴らしい大会に出させていただいて、いろいろな経験をさせてもらった。来季はACLで優勝して、アジアの王者としてこの場に立ちたいと思う。選手もそう感じていると思う。
Q.このような相手との対戦では心理的な要素が重要だと思うが、選手たちの心理的なマネージメントをしたのか?
A.意図して何か特別なことはしていない。選手はこの大会の中で、今まで経験できないような相手への対応を学んでしっかりとやってくれた。選手全員が成長してくれたと思う。私自身もいろいろな勉強になった。
Q.素晴らしい試合で、選手たちは勇気のあるプレーをしていたと思う。その中でセルヒオ ラモスに警告が出なかったことについてどう考えているか?
A.レフェリーが勇気を持てなかったと思う。ただ、そのことに対していつまでも気持ちを持っていかれないように、選手たちは最後まで冷静に戦ってくれたと思う。
Q.大陸王者のチームにも勝ったわけだが、アジア王者がクラブワールドカップを制する日が来ると思うか?
A.こういうテンションでの試合を続けないと世界との差は縮まらないと思う。こういう試合を常に続けていって、アジアの大会でも、他の国々と厳しい試合をすることでアジア全体のレベルが上がると思う。そうなれば、強豪国と言われる国と対等に試合ができると思う。これを続けていかないといけない。
レアル・マドリード:ジネディーヌ ジダン
タイトルはいつも重要だ。相手に苦しめられることは予想していた。簡単なファイナルにはならないと思っていた。相手はとにかく走っていて、戦っていた。ここまで長旅だったので、トロフィーを持って帰れることは嬉しい。
選手コメント
[試合後]
【小笠原 満男】
悔しい。結果を求めてやっている。ACLを勝ち抜いてまたここに戻って、チャンピオンになりたいという気持ちになった。
【永木 亮太】
レアル・マドリードは思った通りという感じだったけど、チャンスはあると思っていた。スピードはすごかったし、いろいろな面で質が高かった。普段ならボールを取れるところで取れなかった。前半に岳が点を取ってくれて勇気が湧いた。悔しい気持ちでいっぱい。
【曽ケ端 準】
得点を決めることができたし、チャンスも作れた。失点の場面は、うまく弾けば取られなかったと思う。チームとして勝てるチャンスはあった。守備から入ってチャンスを作ることができていたのに、勝てなかったことが残念。
【柴崎 岳】
2位は2位なので残念。2ゴールを決めたが、チームを勝利に導くことができなかった。90分で決められれば良かった。タイトルを取れなかったし、歴史にもレアル・マドリードの名が残るだけ。細かく見れば差はある。そういうところをクリアしていく作業を一つ一つやっていく。
【昌子 源】
レアル・マドリードの本気を引き出せたのは良かったが、準優勝は悔しい。ACLで優勝してリベンジしたい。相手に通用したとは思っていない。コンディションも悪かっただろうし、こっちにアドバンテージがあったと思う。サポーターの方にここまで連れてきてもらったので、天皇杯で恩返ししないといけない。
【遠藤 康】
悔しい。レアル・マドリードは強かった。勝てるチャンスはあった。フリーでボールをもらえる場面があって、起点にしてやっていけばゴールに結びつくと思っていた。タイトルを獲りに行った。日本のチームでも多少はできるけど、世界は遠いと感じた。
【金崎 夢生】
勝利を目指してやっていたので、結果に結びつかなくて残念だった。この負けを次につなげたい。レアル・マドリードを相手に、自分たちがやれたのかどうかは映像を見て判断したい。
【鈴木 優磨】
レアル・マドリードは質が高い。レベルが違うと感じた。自分がヘディングで決めていれば違った。全ての面で質を上げていかないといけない。クリスティアーノ ロナウドはそんなに良くなかったと思うけど、1分、2分で仕事ができるのがストライカーなんだと思う。
【西 大伍】
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- ◆S・ラモスに2枚目のイエロー出ず…鹿島・石井監督「レフェリーが勇気を持てなかった」/クラブW杯(サ...
- ◆出されなかったイエローカード…永木「審判が一番レアルをリスペクトしていた」 曽ヶ端「アピールするの...
- ◆選手の勇気称えた鹿島・石井監督「レフェリーが勇気を持てなかった」とチクリ(ゲキサカ)
- ◆なぜラモスは退場にならなかった? 決勝での判定にスペイン紙も疑問(フットボールチャンネル)
- ◆FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2016 決勝(オフィシャル)
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