日本サッカーの未来を担うU-23世代を輝かせるべくスタートした『タグ・ホイヤー ヤングガン アワード』。Goalでは彼らの奮闘に注目し、U-23世代の活躍をピックアップしてお届け。明治安田生命J1リーグ第23節、明治安田生命J2リーグ第29節からは、5名のヤングガンを紹介する。
★三竿健斗(鹿島アントラーズ)
中盤でボールを奪うセンスに優れ、チャンスと見ればシンプルなパス出しから一気にゴール前まで駆け上がる。東京ヴェルディのアカデミーでスキルを磨き、2013年のU-17ワールドカップで世界大会も経験した長身のMFは昨シーズンから在籍する“常勝軍団”で戦術眼や判断力を学び、大岩剛監督の初陣となった第14節から11試合続けてフル出場。この間、わずか5失点という守備面での貢献はもちろん、厚みのある攻撃を支える役割でも大きく機能している。第24節清水エスパルス戦ではボール奪取から敵陣中央へと持ち上がり、絶好のパスで金崎夢生による追加点をアシストした。オフ・ザ・ピッチで“いじられキャラ”として愛されるグッドガイが、ピッチ上で頼れるファイターとして連覇を目指すチームにバイタリティを注ぎ込む。
★イム・スンギョム(名古屋グランパス)
2位アビスパ福岡との大一番で名古屋グランパスの勝利を決定付ける3点目をもたらしたのは、今夏に加入したばかりの若き韓国人DFだった。2-1で迎えた78分、カブリエル・シャビエルの右CKがニアサイドでDFに当たり、方向が変わったボールにファーで左足を伸ばして押し込んだ。前半の失点シーンではクロスからのセカンドボールに対してポジショニングが甘くなったようにも見えたが、その後はロングボールを起点とした福岡の攻撃を力強く跳ね返し、的確にボールをさばいて中盤につなげた。蔚山現代のアカデミーで育ち、名門の高麗大に進んだ彼はまだ在学中の大学4年生。卒業資格に支障はないそうだが、このタイミングでJリーグの舞台に足を踏み入れたのは並々ならぬ意気込みがあるのだろう。実際に意識の高さがプレーに表れている。183センチという身長は韓国人センターバックとしては決して大柄ではないが、体格はしっかりしており、何より足下の巧みさは風間八宏監督が求めているもの。指揮官が指向する攻撃的なパスサッカーに適応できるだけの強さと巧さ、そして非凡な攻守のセンスを持った韓国人DFが真夏のJ2を熱くする。
★小林幹&原大智(FC東京U-23)
明治安田生命J3リーグ第19節で2位カターレ富山に劇的な大逆転勝利を飾ったFC東京U-23。その立役者となったのが、第2種トップ登録可選手としてJ3に参戦している両者だった。ともに99年生まれの高校3年生。今夏の日本クラブユース選手権では、小林が大会MVP、原は6ゴールで得点王を獲得してFC東京U-18の大会連覇に貢献。8月中旬に行われたA代表の登竜門として知られるSBSカップに、U-18日本代表として参加した逸材でもある。富山戦で途中出場した小林は1点リードされて迎えた90分、左クロスに飛び込んだ原のヘディングをGKが弾いたところに素早く反応し、右足ボレーを叩き込んで同点弾をマーク。そして90+3分、今度は小林のスルーパスをDFラインの裏で受けた原が左足のダイレクトシュートでGKの脇を破て逆転ゴールを決めた。限られた出場時間でも広い視野と独特のセンスで異彩を放つ小林、そして187センチの長身に柔軟性を融合して最近5試合で4得点と気を吐く原。まだトップチームへの昇格は発表されていないが、J3での活躍が必ずや次なるステップへとつながるはずだ。
★鄭昇ヒョン(サガン鳥栖)
競り合いにめっぽう強く、それでいて裏を狙う動きも逃さない。チームのピンチにはカードの出ないファウルで切り抜ける“ずる賢さ”もある。昨年はU-23韓国代表としてリオデジャネイロ・オリンピックを経験し、今年6月23日に蔚山現代から鳥栖へ加入。Jリーグでは第23節大宮アルディージャ戦で5試合目だが、強靭なフィジカルとメンタリティを発揮し、早くもマッシモ・フィッカデンティ監督の信頼をつかんでいる様子だ。大宮戦ではあわやオウンゴールという危なっかしい場面も見られたが、マルセロ・トスカーノをタイトにマークしながらカウエの飛び出しに瞬時に対応するなど、23歳DFの獅子奮迅のプレーが無失点の勝利につながったことは間違いない。母国の先輩であるキム・ミンヒョクとともに、鳥栖の堅守を支える存在になっていきそうだ。
鹿島アントラーズの攻守を支えるボランチ、サガン鳥栖と名古屋グランパスの新加入DFらを選出/今週のヤングガン VOL.6