日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年8月16日木曜日

◆2018明治安田生命J1リーグ 第22節(オフィシャル)



金森健志 Takeshi.Kanamori


明治安田J1 第22節

鹿島、敵地で長崎を撃破。レオと遠藤の得点で逆転勝利。

中3日でのアウェイ連戦、2試合目。初めて参戦した諫早の地で、鹿島が再出発を宣言する勝利を収めた。J1第22節、V・ファーレン長崎戦。トランスコスモススタジアム長崎に乗り込むと、14分に先制点を許したものの、レオ シルバと遠藤のゴールで逆転に成功する。後半は追加点こそ奪えなかったが、リードを守り切って勝利。2試合ぶりに勝ち点3を獲得した。

4日前、鹿島は屈辱と向き合う夜を過ごした。2年ぶりに乗り込んだ豊田スタジアム、結果は2-4。満員の敵地で2度のビハインドを負い、それでも2度追い付いて意地を見せた。熱帯夜に情熱を注ぎ続けたアントラーズレッドの背番号12とともに、逆転勝利へとたどり着くはずだった。だが、待っていたのは失意の結末。ラスト10分で痛恨の2失点を喫し、ホームチームの歓喜を見届けるしかなかった。

後半開始早々、1度目の同点弾を決めた土居は言う。「90分を通して勝ち切るのがアントラーズ。原点に立ち返りたい」。得点直後にスコアを刻まれて再びビハインドを追う展開など、あってはならないものだった。永木は「90分を通して、締めるべきところで締められなかった」と試合運びの拙さを悔やんでいた。

チームは12日に鹿嶋へ戻り、クラブハウスでリカバリートレーニングを消化した。準備期間は3日間、次なる戦いもアウェイでの90分だ。J1初参戦の長崎との対峙へ、ミーティングを重ねて意思統一を図った。戦術的な練習を行う時間を確保できない連戦の日々、課題と反省をいかに修正できるかが重要な鍵となる。映像と言葉を脳裏に焼き付け、わずかな時間でピッチ上へと反映させなければならない。

前日練習を終え、三竿健斗は「長崎は全員がハードワークをする」と、警戒を口にした。だからこそ安西は「基本的な部分で負けてはいけない」と気を引き締めている。わずかな準備期間でミーティングを重ねた指揮官は「試合が続く中で、頭の整理もしていかないといけない。しっかりと整理をして、落とし込んでいかないといけない」と、心身両面の状態を整える重要性を強調していた。「意思統一を図った」3日間を経て、チームは長崎へと発った。



中3日でのアウェイゲームへ、大岩監督は4名もの先発変更を断行した。右サイドバックには5月20日以来の先発となる伊東、左には4月11日以来となるスタメン入りとなる山本を指名。さらに2列目には安部、そして前線には金森を起用した。その他、GKは曽ケ端、センターバックはチョン スンヒョンと犬飼がコンビを組み、ボランチはレオ シルバと健斗のペア。攻撃陣は安部、金森とともに遠藤と土居が並んだ。そしてベンチにはGKの川俣、町田、安西、永木、セルジーニョ、山口、鈴木が座る。 



台風15号の影響が懸念された九州地方だったが、荒天は免れた。初めて乗り込む諫早の地へ、アントラーズレッドが続々と足を運んでいく。開場前には青空も見え始め、見知らぬ敵地での90分を前にした高揚感が漂っていた。キックオフを迎える前には一時的に豪雨に見舞われたものの、雨雲はすぐに流れ去る。ウォーミングアップへと姿を現した選手たち、そこへ降り注がれるチームコール。初のメンバー入りとなったセルジーニョにも、大いなる期待が託された。今夜こそ、勝利を――。終戦記念日に迎えた90分、キックオフ直前には黙祷が行われた。フットボールのある日常、その喜びと感謝の念を胸に、19時3分、ホイッスルが鳴り響いた。 



序盤は長崎がボールポゼッション率を高め、鹿島は前線で起点を作ることができない。4分に健斗がファーストシュートを放ったが、相手DFにブロックされてしまう。逆に6分、カウンターを受けてペナルティーエリア手前まで持ち込まれると、ミドルシュートでゴールを脅かされたものの、曽ケ端がビッグセーブで応戦。失点を許さず、開始10分を経過した。
 


敵地での立ち上がりをスコアレスで終え、少しずつ盛り返していきたい鹿島。しかし、先制点は長崎のものだった。14分、相手のFKはゴール前でクリアしたものの、セカンドボールを拾われてペナルティーエリア右側へ浮き球を送られる。走り込んでいた高杉が左足ダイレクトで合わせたボレーが、角度のないところから曽ケ端の頭上を越えてゴールへ吸い込まれてしまった。0-1。名古屋戦に続き、鹿島は再びアウェイでビハインドを負ってしまった。

アウェイ連戦、2試合連続の先制被弾。まとわりつくような湿気が覆うピッチで、重苦しい雰囲気が広がりかねない展開だった。しかし、鹿島は踏みとどまった。前線の土居と金森が背後へ飛び出す動きで長崎のラインを少しずつ押し下げていくと、抜群のキープ力を誇示した遠藤、そして持ち前のボディコンタクトでボール奪取を連発したレオを中心に、ボールポゼッション率を高めていく。ゴールライン際からクロスを上げる場面も増え始め、敵陣深くまで押し込む時間が長くなっていった。 



そして、待望の同点弾は22分に記録された。最終ラインでのパス交換から曽ケ端が大きく蹴り出したボールを受け、遠藤が敵陣右サイドでキープ。オーバーラップした伊東へ預けると、背番号24のクロスは土居にわずかに合わなかったものの、ペナルティーエリア左外でレオがボールを拾う。ミドルゾーンの制圧者、その視線の先にはゴールだけが見えていた。右足を一閃、そして鮮やかなコントロールショットがファーサイドのネットへ。1-1。ファインゴールが決まり、鹿島が同点に追い付いた。 





勢いに乗る鹿島は、土居や金森が積極的にミドルシュートを放ち、安部が敵陣深くで果敢なドリブル突破を連発するなど、ホームチームを押し込んでいった。深い位置からのクロスに金森が飛び込む場面も増え、追加点の予感が漂い始めた。 









そして、逆転弾は39分だった。遠藤が敵陣右サイドでボールを持つと、伊東が追い越す動きで相手のマークを引き付ける。刹那の自由を得たゲームキャプテンが一瞬の隙を逃すことはない。ペナルティーエリア右手前、得意の位置から左足を一閃。カーブがかかった強烈なシュートが、ゴール左隅へ決まった。2-1。前半のうちにリードを奪い、ハーフタイムを迎えた。 









アントラーズレッドへと攻める後半は、息が詰まるような時間だった。前半終了間際に負傷した安部に代わってピッチに立った安西が左サイドハーフを務め、鋭い突破で長崎の脅威となった。しかし49分にハードタックルを受け、苦悶の表情で倒れ込む。プレーを続行したものの、次第にスペースが空く展開へと推移する中で、ファウルの笛が吹かれる回数が非常に多くなっていった。 











互いに決定機まで至らないまま、60分を経過。中盤でルーズボールの奪い合いを繰り返す中、鹿島は効果的に起点を作ることができない。71分には途中出場の安西がプレーを続けられなくなり、永木と交代。アクシデントで交代枠を2つ失う、苦しい戦いを強いられた。残り10分、パワープレーを敢行してきた長崎に押し込まれる時間が続く。それでもゴール前での攻防で自由を与えず、時計の針を進めていった。84分には機を見たカウンターで永木がペナルティーエリア左側へ抜け出し、鋭い切り返しから右足シュート。しかし、うまくミートできずに相手GKに阻まれた。 









1点差のまま、アディショナルタイムは4分と表示された。終盤に投入された鈴木も前線でボールキープに腐心し、時計の針を進めていく。ゴール前の攻防を繰り返し、ついにホイッスルが鳴った。2-1。苦しみながらも、鹿島が2試合ぶりの勝利にたどり着いた。 





次戦は4日後、19日の横浜FM戦だ。3試合ぶりに帰還する聖地での90分から、3試合連続でのホームゲームを控えている。カシマスタジアムで、連勝街道を走り始める。今度こそ、勝利とともに突き進む――。確固たる意志を胸に、チームは明日鹿嶋へ帰還する。 





【この試合のトピックス】
・J1での長崎戦は今年5月2日の第12節に続いて2戦2勝となった。
・トランスコスモススタジアム長崎で初めて公式戦を戦った。
・レオが今季のリーグ戦初得点を記録した。
・遠藤が今季のリーグ戦2得点目を記録した。
・山本が4月11日のJ1第7節FC東京戦以来の公式戦先発出場を果たした。
・伊東が5月20日のJ1第12節仙台戦以来の公式戦先発出場を果たした。
・セルジーニョが初のベンチ入りを果たした。

【動画】DAZNハイライト







監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・正しいポジションからプレッシャーをかけ、攻撃の時もあわてずにボールをつなごう。
・後半も前を向いて仕掛ける勇気を持つこと。
・11人が連動し、集中してプレーしていこう!

V・ファーレン長崎:高木 琢也
・1対1で負けないこと。
・ミスを減らしていこう。
・最後まで走りきろう。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
厳しい条件の中、選手たちが非常にいいパフォーマンスを90分間、最後の最後まで出してくれた結果が勝利になったので良かったと思う。アクシデントがありながらも、試合を終わらせることができた。非常に評価している。

Q.試合を通じて、相手を引き込んだうえでプレスをかけているように見えたが?

A.これは前節からの修正というよりも、長崎相手の練習をした中で、選手にプレッシングを落とし込んだ成果が出たと思う。

Q.安部選手と安西選手の交代理由は?

A.どちらも負傷です。

Q.スケジュールを見据えたうえでターンオーバーを行ったと思うが、出場した選手の評価は?

A.一様に高いパフォーマンスをしてくれて、非常に評価している。

V・ファーレン長崎:高木 琢也
試合を振り返る中で、相手と照らし合わせた状況の中で、いい面や修正しなければいけないポイントを頭の中で見比べている。結論から言うと、ここ数試合の中で最も恥ずかしい試合をしてしまった。攻撃に出る際のミスパス、コントロールミス、判断のミスでボールを失う場面が本当に多かった。これをアントラーズ相手にやってしまうと、必然的に相手のペースになってしまうと感じていた。ボール保持者に対してしっかりと行くことができなかった。分かりやすい例で言えば、ボランチの三竿選手やレオ シルバ選手にほとんど行けていなかった。相当警戒していたが、ラインも深くなってしまって(スペースが生まれて)オープンな状況が増えてしまった。また、遠藤選手の左足については口うるさく言っていたが、あのような場面(2点目)でさえプレスに行けなかったことが、最も印象的というか、この試合を象徴する場面だったかなと思う。ここ数試合と比べると、今日は本当に反省しなければいけない試合になった。いかに切り替えて修正するかというのがチームの作業なので、準備をしていきたい。


選手コメント

[試合後]

【レオ シルバ】
得点の場面は、理想通りの位置にボールをコントロールすることができた。迷いなくシュートを打った。相手がどのような形で戦ってくるのかは分析をして理解していたので、みんなで対応することができたと思う。

【遠藤 康】
周りの選手が動いてくれたおかげでシュートを打つことができた。感謝したい。最後のフィニッシュのところでうまく入ったということと、みんなが勝つために走って頑張っていた。自分たちはもっと上を目指しているので、もっと突き詰めていきたい。サポーターの皆さんが遠くまで駆け付けてくれた、その気持ちが勝利につながったと思う。

【伊東 幸敏】
立ち上がりに不用意な形で失点をしてしまったけど、早い段階で追い付くことができた。全体的に締めるところは締めることができたかなと思う。ただ、後半はチームとしても自分としても少しペースダウンしてしまった。メンバー外の時間が続いた中で、その代表というわけじゃないけど、できるということを見せたいと思っていた。

【山本 脩斗】
先に失点してしまったけど、チームとして落ち着いて勝ち越すことができた。後半は押し込まれる時間が増えたけど、この暑い中、連戦の中でしっかりと勝ち切れたことはよかった。

【永木 亮太】
守備で脩斗くんのフォローをするようにという指示だった。ボールの出所を消すようなプレーが必要であることはわかっていた。連敗しなかったこと、この環境で勝ち切れたことはよかった。毎試合、気を引き締めてやっていかないといけない。

【金森 健志】
みんなが試合に出るために一生懸命やっていて、ベンチ外の時でもしっかりとやってきたから、今チャンスがあると思う。出ていなかった選手が活躍することでチーム力が上がっていくと思う。今日は本当に勝ててよかった。

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