血を繋げる。 勝利の本質を知る、アントラーズの神髄 [ 鈴木満 ]
<ACL:鹿島0-1慶南>◇1次リーグE組◇24日◇カシマ
流通経大柏で2年連続高校選手権準優勝の大型ルーキー、鹿島アントラーズDF関川郁万(いくま=18)がプロデビューした。
センターバック2人の出場停止で回ってきたチャンスで、スタメンに抜てきされた。1点に泣き勝利はお預けとなったが、秋田、岩政ら鹿島センターバックの系譜を継ぐ新星がプロとしてのスタートを切った。悔しいデビュー戦となった。ボランチが本職のMF三竿とセンターバックのコンビを組んだが、クロスからの1点で破れた。士気高く臨んだ一戦だったが、プロの厳しさを突きつけられる結果となった。
高卒ルーキーのセンターバックながら、ここまで公式戦12試合中6試合にベンチ入り。はたから見れば充実したプロ生活のスタートに見えたが、関川の思いは全く違った。「90分アップして、また終わって、というのを何回も繰り返して、悔しかったしいら立ったし、自分にムカついた」。ベンチに入るだけでは到底満足できなかった。
だから、練習した。全体トレーニング終了後もグラウンドに居残り、ハイボールをヘディングで処理する練習を繰り返した。自他ともに認める武器はヘディング。持ち味に磨きをかけることで、着実に力を付けてきた。
プロ入り後、体重は3キロほど増えた。本人は「太った」と笑うが、流通経大柏の本田監督からは「デカくなって締まったなあ」と言われたという。高校時代、サッカーは「ボールを使ったケンカだ」と教わった。その言葉を胸に球際の激しい韓国勢相手にも引けをとらず、90分間戦い抜いた。鹿島の未来を担う男の物語は、幕を開けたばかりだ。【杉山理紗】
◆18歳鹿島関川プロデビュー 怒り糧にケンカ道貫く(ニッカン)