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[6.18 ACL決勝T1回戦第1戦 鹿島1-0広島 カシマ]
東京五輪世代の逸材たちはこの5〜6月、2つの日本代表チームに組み込まれる形でビッグイベントに臨んでいる。一つはトゥーロン国際大会で史上初の準優勝を飾ったU-22日本代表、そしてもう一つがコパ・アメリカに参戦中のA代表だ。ただ、J1クラブで出番を獲得していながら、いずれの活動にも参加していない有力選手がいるのも忘れてはならない。
190cmの左利きセンターバックという希少性を持つ鹿島アントラーズのDF町田浩樹がその一人だ。大前提として、招集外の理由は複雑。コパアメリカは1クラブ1人制限が敷かれたことで、鹿島からの枠はMF安部裕葵で埋まっており、トゥーロン国際大会も所属クラブに必要とされたために招集されなかった可能性があるからだ。
しかし、町田自身はそうした前提を意に介さない。「チームが必要として残してくれていたならうれしいけど、試合に出られていない状況だったので選ばれなくて当たり前だと思っていた。チームで結果を出している選手、試合に出ている選手が呼ばれていたので、そこは気にしていなかった」と冷静に受け止めている。
今季は開幕前から負傷者が続出したこともあり、J1第2節から第10節まで連続フル出場を果たした。しかし、その後はDFチョン・スンヒョンの復帰によりレギュラーを外れ、現状の立場は控えメンバー。本職はセンターバックだが、近ごろは体力消耗が多いうえに比較的層の薄いサイドバックのバックアッパーという役割に落ち着きつつある。
ACL決勝トーナメント1回戦、サンフレッチェ広島をホームに迎えた第1戦でも、DF安西幸輝のアクシデントにより左サイドバックで出番が回ってきた。「本職ではないけど、チームに求められればもちろんやるし、ポジションは関係なく、チームを勝たせるために何ができるか」。持ち場へのこだわりよりも、とにかく出場機会に飢えている。
後半28分、町田が投入された直後、広島はすでに準備を行っていたFWパトリックを起用。スコアは1-0だったこともあり、町田の役割は明白だった。「パトリック選手の高さもあったし、(起用も)そういう意図だと思う」。190cmという長身を活かし、相手のセットプレー攻勢に対してゴール前に立ちはだかった。
また攻守のバランスにも心血を注いだ。「勝っていたのでそんなにリスクは負わず、シンプルに前に当てて潜り込めれば潜り込むとか、サポートできればサポートするところ。守備ではワンツーについていけと指示があったし、クロスの絞りは注意して意識していた」。そうした意識も実って、チームは1点リードを守ったまま試合を終えた。
そんな町田はこの日の午前、同世代が戦うコパ・アメリカグループリーグ第1節チリ代表戦をチームメート数人と共にテレビ観戦し、「少なからず刺激を受けていた」という。トゥーロン国際大会は日本時間深夜の開催だったためハイライト中心だったが、午前8時キックオフの試合は見ることができる。
「前半は結構がんばっていたと言ったら変だけど、やり合えていた。だけど、ああいうセットプレーで失点してポンポンと点を取られるのは南米のしたたかさ、ゲーム運びのうまさを見ていて感じた。自分があそこに立ってプレーしないといけないので、レベルアップして、チームで結果を残したい」。
ライバル意識を持ちながらというより、自らがピッチに立つイメージを持ちながらの観戦。それは、この鹿島が代表チームと地続きだという確信があるからだ。また、過去の伝統を振り返れば「鹿島でスタメン張れるようになれば、オリンピック代表ではなくA代表もある」ことも心の支えになっている。
だからこそ、同世代から得た刺激をピッチ上のパフォーマンスに活かしていく構えだ。「少なくともチームで結果を残さないとあそこには呼ばれないと思うので、まずは足元を見ながら一歩ずつ進みたい」。ポジションへのこだわりよりも、まずはチームへの貢献。1週間後の第2戦に向けても「CB、SB、ベンチか分からないが、そこは失点ゼロで抑える」と意気込む。
(取材・文 竹内達也)
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