日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年8月16日金曜日

◆メルカリ地域密着の「新たなビジョン」を(サンスポ)






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 フリーマーケットアプリ大手のメルカリが、J1鹿島の経営権を取得しました。このニュースを聞き、まず思ったのは「安いな…」でした。

 鹿島の営業収益はJ1で3位の約73億円。経営不振というわけではありません。通算20ものタイトルに輝き、J発足当初から名を連ねた「オリジナル10」。かつて住友グループ(住友商事)に勤めていた私は、住友金属サッカー部から続く伝統も理解しています。

 そんな名門クラブが、たった16億円足らずで譲渡されたのです。古くからJリーグでビジネスをしてきた人たちからは、「ショック」という声が聞こえてきました。

 メルカリの小泉文明社長とは面識があり、クラブ経営への熱意を以前から感じていました。その思いは重要です。ただ、16億円がアッパーでは寂しい。だからこそ、クラブ、Jリーグ全体の資産価値向上へ「ここから何をするのか」に純粋な興味があります。

 球団の権限が大きいプロ野球と違い、サッカーはリーグ側が強く、クラブ単体でできることに制限があります。世界へのリーチ以上に、いかに地域をたきつけ、スタジアムを軸に収益を最大化するか、まず苦慮します。

 鹿島は早くから指定管理者としてカシマスタジアムを実質的に運営するなど、ビジネス面で努力をしてきたクラブ。ある意味、地域密着ビジネスはやり尽くした感があるともいわれています。

 しかし、発表会見では関係各社の3人がスーツ姿で握手した一方、メルカリの描くワクワクするような「大きな絵」が示されませんでした。周囲を巻き込み、地域を躍らせるには、これまでと非連続の戦略、ビジョンをどこかでリーダーが明示する必要があります。

 今や新興IT企業にとってプロスポーツは“アイドル”。東京五輪後には、せきを切ったように、こうした流れが加速するでしょう。親会社が認知度向上や宣伝効果を狙い、経営者を送る“タニマチ型”のビジネスモデルは既に限界が見えています。

 DeNAがそうだったように、スポーツそのものをビジネスにできなければ価値は生まれません。鹿島は「令和のベイスターズ」になれるのか。今後に注目しています。

池田 純(いけだ・じゅん)

 1976(昭和51)年1月23日生まれ、43歳。横浜市出身。早大を卒業後、住友商事、博報堂などを経て2007年にディー・エヌ・エーに執行役員として参画。11年12月にプロ野球DeNAの初代球団社長に就任、16年10月に退任した。現在は、さいたまスポーツコミッション会長などを務める。


◆メルカリ地域密着の「新たなビジョン」を(サンスポ)





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