日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年12月13日金曜日

◆1年前“衝撃ハット”の尚志FW染野唯月は選手権登録メンバー外に。将来のため、仲間のために自身で決断(ゲキサカ)



染野唯月 Itsuki.Someno


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 “半端ないストライカー”が、選手権を欠場する――。前回大会の全国高校サッカー選手権得点王・尚志高(福島)FW染野唯月(3年、鹿島内定)は、腰椎分離症(腰の疲労骨折)のため、12月30日に開幕する今回の選手権登録メンバー30名から外れることを選択。将来のため、仲間のため、最終的に本人がメンバーから外れることを決めたという。すでに登録期限を終えており、これまで染野が着用してきた「9」は期待の2年生FW阿部要門が背負う。

「登録に入ってみんなを鼓舞したり、FW陣にアドバイスして欲しかった」という仲村浩二監督やチームメートは、登録メンバー入りすることを希望したのだという。例え怪我でピッチに立てなくても、彼が登録メンバー入りすることを反対する選手はいない。だが、仮に登録されると、試合に出てチームを助けたくなってしまう。個人としても2年連続の得点王、選手権日本一という夢があった。染野は悩み抜いた末、プロ入り前に全治数か月とも言われる怪我を悪化させたくないという意思と、出られない自分がメンバーに入ることよりも、他の3年生に全国を経験してもらいたいという思いからメンバーを外れることを決めた。

「ギリギリまで(チームメートたちと)話をして決断したという感じです。(最後は)自分の中で決めました。今後も考えた時にここで無理をしてしまったら影響してしまう。(また)自分の心の中で、(他の)3年生にちょっとでも経験をさせてあげたいという気持ちがあったので、決断をして外れました」。
 
 染野は昨年度の選手権準決勝・青森山田高戦で“衝撃”のハットトリックを達成するなど同大会得点王。今年もプレミアリーグEASTで得点王争いを演じ、日本高校選抜やU-18日本代表に選出された。そして、争奪戦の末に鹿島入り。怪我も多い1年だったが、“半端ないストライカー”“大迫2世”“ヘリコプターヘッド”などの代名詞を持つ染野は、その得点力や万能性の高さを見せつけてきた。

 その染野は11月17日の選手権福島県予選決勝で決勝点。鮮やかな左足ループシュートを決めて尚志を全国へ導いた。だが、その翌日、鹿島で診察を受けた際に腰椎分離症が判明。11月上旬にはU-18日本代表としてAFC U-19選手権予選に出場したが、当時から状態は芳しくなく、直後の選手権予選も出場時間を制限されていた。それだけに、覚悟もしていたという染野は「(診断を聞いて)感情的にはならなかったです」

 注目エースとともに全国制覇を目指してきたチームのショックは大きかった。万全でなくても県予選決勝で違いを見せていたことは確か。そのエースが欠場することによって、チーム全体の目標である全国制覇がより難しいものになるかもしれない。ただし、選手たちはそのアクシデントを力に変えようとしている。登録外になる意思を染野から直接聞いたというFW山内大空主将(3年)は、「アイツの気持ちも分かります。『メンバー入ったら出たくなってしまう。気持ちの整理がつかない』と言っていたんですよね。そこは自分たちがしっかりと結果で応えようと思っています」とエースの気持ちを理解していた。

 今年の尚志は染野が不在となる期間が多く、彼がいなくても勝てるチームを目指してきた。実際に彼がベストコンディションでなかったインターハイは、染野のサポートを受ける形で山内や2年生FW阿部が躍動し、3位に入っている。それだけに今回もチームメートは発奮。GK鈴木康洋(3年)は「(最初聞いた時は)マジかって。でも、このチームならば一体感もあるし、みんなを信じるしかないですね」と語り、山内は「(染野の欠場が決まり、)吹っ切れたと言うか。『アイツがいないんだから、俺らで全国制覇するしかない』と、より一層雰囲気は良くなりました。この1か月レベルアップできるようにしたい」と誓った。

 染野は「怪我して出れないのは悔しいですけれども、それ以上に今後のためというのがあったので、自分の決断に悔いはないです」とコメント。自身が出場しない選手権について、「想像はしたくてもできないと思うんですけれども、サポートできる部分はあると思うので。ピッチ外で応援できれば良い」と前を向いた。

 染野の決断を尊重した仲村監督は、「(彼の)将来のためと、みんな納得している。だからこそ、覚悟を持ってプロの世界に飛び込んで欲しい」とエール。染野も「(尚志の仲間のためにも)プロに入ってからは絶対に活躍しなければいけない。責任を持ってプロに行かなくちゃいけないのかなと思います」と語り、尚志の仲間や恩師たちのためにもプロの世界で活躍する意気込みでいる。染野は今週末にも一旦尚志を離れ、暫く鹿島でリハビリを実施する予定。その後、再び尚志に合流し、“最後の選手権”はピッチ外から仲間たちの日本一を全力でサポートする。

(取材・文 吉田太郎)


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