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日本代表FW上田綺世(鹿島)のような周囲に活かされるタイプのストライカーにとって、わずかな準備期間しかない短期決戦にはいっそうの困難が立ちはだかる。それでも「やるのが義務」という21歳は逃げ道をつくらず、結果を出すための取り組みに尽力している。
今月8日に全メンバーが集合し、わずか2日間の準備期間で迎えたE-1初戦の中国戦(○2-1)。練習場の不具合でボールを使ったトレーニングが満足にできなかったこともあり、攻守の連係は試合中に修正するという「ぶっつけ本番」の状況を強いられた。
それでもチームの1点目はDF佐々木翔の縦パスを上田がワンタッチで落とし、細かいスペースを打開したことで生まれたもの。さらに後半は上田のポストプレーに重点を置き、徐々に厚みのある攻撃も繰り出せるようになった。またそれにより、再びボールを受けた上田自身がドリブルで前にしかける場面も出てきた。
ストライカータイプの上田にとって、周囲のお膳立てをするポストプレーヤーの役割は本分ではない。一夜明けた11日には「僕自身はやっぱり背後に抜けたり、クロスに合わせるのが自分の武器なので、そういうプレーをしているときは若干もどかしい部分もある」とも語った。しかし、そうした取り組みこそが、自らの生きる道を広げていくことも理解している。
「シャドーの選手を前に向かせる動きは逆に僕にもプラスなことで、シャドーを前を向かせれば僕自身も背後を取れるチャンスができる。そこは苦じゃないし、積極的にやるべきところ」。中国戦では得点こそならなかったが、「周りを生かすプレーも必要だし、僕が自分の特長を出すことで周りを活かすことにつながる」という整理もできている。
そうした心がけに象徴されているように、短い準備期間を逃げ道にするつもりはない。「即興でも個の力でやっていけるメンバーが代表だと思うし、そこに言い訳を見つけずにその時その時の場面でアイデアを見つけて打開していくのが代表」。A代表としての矜恃を見せた上田は「お互いを生かし合えるコミュニケーションを作っていければ」と力を込めた。
(取材・文 竹内達也)
◆“ぶっつけ本番”ポスト役で存在感見せたFW上田綺世「即興でもやっていけるのが代表」(ゲキサカ)