日刊鹿島アントラーズニュース

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2021年4月26日月曜日

◆【J1分析】鹿島スピリッツを継ぐ上田、常本、荒木!「相馬体制無敗」継続(サッカー批評)






【明治安田J1リーグ 第11節 鹿島アントラーズvsヴィッセル神戸 2021年4月24日 17:03キックオフ】

 鹿島アントラーズの鈴木満フットボールダイレクターは、かつてサッカー批評のインタビューに、たとえ日本代表選手であろうとも、鹿島のカラーに合わない選手は獲得しない、と話したことがある。

 この日の鹿島には、そのスピリットを感じさせる選手たちがいた。しかも、次の時代を担う若者たちが、鹿島のDNAを表現していた。

 68分、殊勲者がピッチを後にした。その4分前にゴールを決めていた上田綺世である。

 力を絞り切り、得点という結果を労われて、というわけではない。もう、限界だったのだ。

 後半開始から10分後、空中戦で競り合った上田は腕から地面に落ち、右腕を痛めていた。その3分後にもゴール前で相手ともつれて倒れる場面があったが、ここで上田は右腕を脇腹につけたままのような状態で、まったく動かさずに立ち上がった。

 走っている間も、上田が右腕を動かすことはなかった。おそらく、相当の痛みを抱えながらプレーを続けていたはずだ。それでもピッチに立っている以上、仲間たちは上田を信じてボールを集め続けた。そして、上田はゴールという結果で応えた。


■大卒ルーキーと19歳が見せたスピリット


 試合開始から16分後に、ビッグチャンスがあった。最終ラインからサイドへ展開する神戸のパスが、わずかにズレた。その隙を見逃さず、襲い掛かったのが大卒ルーキーの常本佳吾だった。一気にダッシュして前に出ると、その勢いでボールを叩き、荒木遼太郎に渡す。あとはネットを揺らすだけかと思われたが、ここは距離を詰めてきたGKに弾き出され、決め切ることができなかった。

 常本は、前半最後のビッグチャンスにも絡んでいる。43分に、永田勝也のクロスをゴール前で土居聖真が頭で合わせた場面である。

 この場面でも、常本の「攻めの気持ち」がにじみ出た。そもそも、右サイドの常本が中央の土居にボールを入れたことからシュートシーンまでつながるのだが、常本はパスを出しただけでは終わらなかった。ドリブルで中央に入りながらボールを出した常本は、そのまま足を止めずにペナルティエリアに侵入し、ゴール左にまで流れていく。2人のDFを引き連れたことでその裏にスペースが生まれ、そこ入り込んだ土居はフリーでヘディングできたのだ。

 常本は、61分に退いた。一方で、前述の場面で決め切れなかった荒木はフル出場した。両チームを通じてただ一人、13キロを越える走行距離を叩き出している。まだ高卒2年目の19歳でありながら、その姿には責任感とチームへの献身の強い意識がにじんでいた。


■「ゴール数はどうでもいい」


「選手たちは前向きなプレーを見せてくれていた」。相馬直樹監督は、そう選手たちを称えた。決定機を決め切れないなど、まだ足りないところはあるものの、若手が醸し出す「鹿島らしさ」は見えつつある。

 そして、スピリットのみならず、能力があることも間違いない。上田のゴールは見事なものだった。三竿健斗がボールを持った瞬間の、ボールを懐に呼び込むスペースをつくる動き出しと、ゴールに向けてボールを置く柔らかなタッチ。あの一瞬の判断とプレーの冴えのおかげで、初めて追う展開になりながら、相馬体制は公式戦無敗を継続できたのだ。

 上田はこれで、リーグ戦ここ4試合で3得点。それでも試合後、22歳のFWは「数はどうでもいいと思っている。こういう試合で勝たせられなければいけないと思う」と、表情も変えずに語るのだった。ゴールの瞬間だけは、痛みを忘れたかのように、激しく右腕を振るってボールに食らいついた男が。

 鹿島の深紅のユニフォームを着る男たちには、やはり脈々と受け継がれていくものがある。

 

■結果

鹿島アントラーズ 1-1 ヴィッセル神戸

■得点

28分 古橋亨梧(神戸)
64分 上田綺世(鹿島)




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