
日刊鹿島アントラーズニュース
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2022年8月18日木曜日
◆「必然だった監督交代。鹿島アントラーズと岩政監督に迷いはない。」(Qoly)

8月7日、明治安田生命J1リーグの鹿島アントラーズはレネ・ヴァイラー監督の退任を発表し、その翌日に岩政大樹コーチの新監督就任をリリースした。
開幕から上位争いを展開するも、直近リーグ戦5試合勝ちなし(2敗3分)で順位を5位まで下げていたなか、第24節・サンフレッチェ広島戦後に突如起こった監督交代。驚きの声も多数上がり、大きな話題を呼んだ決断となった。
今回の当コラムでは、監督交代に至るまでの過程とチーム編成を巡る近年の動きを整理しつつ、岩政監督の初陣となった第25節・アビスパ福岡戦の戦いぶりから見えたポイント、そして指揮官とフロントに期待したい点について述べていきたい。
“必然だった”と表現できる退任劇
今季より就任したヴァイラー監督(コロナ禍のため開幕前の合流が叶わず、開幕直後は岩政コーチが指揮を代行)は、基本戦術を直線的に攻める「縦に速いサッカー」に設定。スペースへパスまたはロングボールをどんどん供給し、サイドアタックを軸に中央突破を織り交ぜて崩していくスタイルを標榜していた。
オールラウンダーの鈴木優磨が前線を幅広く動いてチャンスメイクし、開幕からゴールを量産したエースの上田綺世が仕留める形が機能してスタートダッシュに成功。6年ぶりのリーグ制覇も現実味を帯びた。
暗雲が立ち込めたのが、上田の海外移籍(ベルギー1部のサークル・ブルージュへ)が決定した7月頭以降だ。最大の得点源を失ったチームは、ここから得点力不足に直面していく。決定直後の第19節・柏レイソル戦(2-1で勝利)、第20節・セレッソ大阪戦(3-3のドロー)こそエヴェラウドの活躍もあり複数得点を記録したが、その後のリーグ戦4試合で奪ったゴールはわずか1。
リーグ戦18試合で10ゴールと約2試合に1点のペースでネットを揺らしていた上田の穴はやはり大きく、停滞ムードを払しょくできないまま、監督交代という結末を迎えた。エースの移籍という事情があったとはいえ、その穴をどう埋め、攻撃の形をどう構築するかという点で工夫が見られなかったのも事実だ。
非常に厳しくなってしまったが、リーグ戦は逆転優勝の可能性を残しており、ベスト8まで勝ち上がっている天皇杯も戴冠の可能性がある。タイトル獲得へ向けチームを立て直す意図に加えて、一部ブラジル人選手との不和やマネジメントを巡るフロントとの齟齬なども報じられており、ヴァイラー監督の退任は“必然だった”と言えるだろう。
監督交代の共通項は?
もっとも、近年の鹿島において、シーズン途中での監督交代は珍しいことではない。さかのぼること7年前の2015シーズンでは、7月にトニーニョ・セレーゾ監督から石井正忠コーチへスイッチ。石井監督は同年のナビスコカップを制すると、翌2016シーズンはリーグ優勝(1stステージ優勝&チャンピオンシップ制覇)と天皇杯制覇を成し遂げた。
短期間で国内3大タイトルを獲得した石井監督だったが、2017シーズン途中(5月末)に解任の憂き目に遭う。コーチから昇格した後任の大岩剛監督はリーグ戦で上位に導きつつ、2019シーズンに悲願のAFCチャンピオンズリーグ優勝を果たし、契約満了という形でクラブを去った。
2020シーズンから指揮を執ったザーゴ監督は、これまでクラブが伝統としてきた「巧みなカウンターとセットプレーの得点力、リードをしたたかに守り切るスタイル」とは異なるポゼッションスタイルを植え付けようとした。しかし、ザーゴ体制は2年連続で開幕から調子が上がらず、徐々に巻き返した1年目は5位でリーグ戦を終えたものの、2年目(2021シーズン)の序盤戦で任を解かれた。
後を受けた相馬直樹監督(コーチから昇格)は、ポゼッションスタイルを継続しながら課題となっていた守備の強化に着手。コンパクトな守備ブロックの構築と前線からの連動したプレスを落とし込んだことでチームは上昇気流に乗り、4位でフィニッシュ。契約満了でシーズン終了後に退任した。
これらの事例に共通しているのは、「①トップチームのコーチ(クラブOB)が監督へ昇格」「②前任者のスタイルを引き継ぎつつ、課題を整理して戦術に落とし込む」「③監督交代後に成績の向上またはタイトル獲得を実現」である。
今回のヴァイラー⇒岩政という選択も「①トップチームのコーチ(クラブOB)が監督へ昇格」という流れを継承しており、②と③については、これからの戦い次第となる。
初陣で見えた変更点
ここからは、岩政監督の初陣となった第25節・福岡戦(2-0で勝利)の戦いぶりを見ていきたい。
筆者が福岡戦で注目した点は以下の2つだ。
1.選手起用に変更はあるか?2.戦術変更はあるか?
まず、「選手起用に変更はあるか?」について。5試合勝ちなしという現状を打開するために、スタメンやベンチ入りメンバーを前節から大幅に入れ替えるか注視していた。
結論としては、スタメンに大幅な変更はなく、出場停止の三竿健斗に代わって関川郁万がセンターバックに入り、前線に仲間隼斗と土居聖真が起用された。今季ここまでリーグ戦で出場機会がなかった林尚輝と小川優介がベンチ入りしたことの方が、サプライズだったかもしれない。(林は81分に広瀬陸斗と交代で投入され、今季初出場を果たした)
続いて、「戦術変更はあるか?」という点では、こちらも大胆な変更は見られなかったが、攻撃時に縦へのロングボールを減らし、サイドチェンジを多用して揺さぶる形と守備時に上下左右の幅を極めてコンパクトにし、相手の選択肢を奪う形が“岩政流”だったと言える。
オウンゴールを誘発した先制点の場面もサイドチェンジからの得点で、守備でも4試合ぶりの無失点を達成。微修正の成果がさっそく攻守に表れている。
“鹿島の3番”を求む
初陣の福岡戦では、チームの一体感が印象的に映った。選手たちからはこの試合に懸ける想いが伝わり、それは監督以下スタッフも同様。特に先制点が決まった後の鈴木と岩政監督による(お決まりの)熱い抱擁は一体感を示すシーンだった。
ポジティブなムードそのままに、岩政監督に期待したいのは守備の安定である。前節までに喫した31失点はリーグワースト6位の数字。福岡戦で見せたコンパクトなブロックを継続し、いかに失点のリスクを減らせるか。
また、CBは絶対的な柱が存在しない。ポテンシャルは十分だが、時折軽率な一面ものぞかせる関川郁万を“鹿島の3番”へと成長させられるかもポイントだ。現役時代に背番号3を背負い、国内屈指のCBとして鳴らした岩政監督の手腕に注目したい。
一方で、岩政監督が今季どのような結果を残そうと、フロントは選手補強やチーム編成の面で責任を果たすべきだ。上田の移籍による得点力低下は、決してヴァイラー前監督だけの責任ではない。今夏にナイジェリア人ストライカーのブレッシング・エレケを獲得したとはいえ、結果としてヴァイラー政権では起用できずに終わっている。
近年のJリーグは、海外クラブから早期の段階でオファーが届くのがトレンドとなっており、今後も荒木遼太郎や常本佳吾といった有望株が海を渡る可能性はある。いかに素早く穴埋めできるかという点が今まで以上に問われるはずで、編成の重要性を今一度認識して欲しいところだ。
ピッチ内外で課題はあるものの、初陣で勝利したことが一番の薬となりそうなのは確か。カシマスタジアムに掲げられた横断幕のメッセージが、サポーターの総意だろう。
「歴史と共に名を残せ迷わず進め 岩政大樹」
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