
日刊鹿島アントラーズニュース
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2022年11月4日金曜日
◆“ファミリーを大事にする男”鈴木優磨(26歳)が小笠原満男にした“相談”とは?「この人がそう言ってるんだから、大丈夫なんだなあって」(Number)

「アントラーズを優勝させるために戻ってきた」。2年半ぶりにJ1鹿島に復帰した鈴木優磨(26歳)は誰よりもタイトルを欲していた。しかし、リーグでは優勝争いから脱落し、可能性が残されていた天皇杯も準決勝で敗退。その責任を痛感している。Jリーグ最終節を前に、もがき続けるストライカーの心境に迫った。全2回の1回目(#2へつづく)
クラブハウスへ戻ってきた鈴木優磨は、スターバックスのグランデサイズのカップを持って現れた。しかも自分の分だけでなく、取材者の分まで用意するのが“気遣いの人”らしい。
「お待たせ! 最近、コーヒー飲むようになったのよ。ベルギーへ行ってからかな」
もともと取材は練習後に予定されていたが、全体練習に加え個人トレーニングの筋トレ、体のケアが長引き、時計の針はとうに12時を回っていた。急遽、取材は昼食後へ変更となり、鹿嶋市内でランチを食べてからの実施に。「一緒にお茶しながら」、取材は始まった。
鈴木が大事にする家族とジーコスピリット
鈴木は“ファミリー”を大事にする男である。試合でソックス内に付けるすね当てには、家族写真をデザインするほどだ。
「ベルギーに行っているときは特に家族への思いを感じていたかな。海外生活をして、やっぱり家族に支えられているなとすごく思った。家族と、“献身・誠実・尊重”というのはいつも自分の胸に刻まれている。その2つが自分のもっとも大事にしていること」
“献身・誠実・尊重”とは、鹿島アントラーズというクラブ全体に刻まれるジーコスピリットのこと。クラブが掲げる指針であり、鈴木自身、スクールでプレーしていた小学校低学年の頃から何度も大事にすべきと言われてきた。ジーコクラブアドバイザーが提唱した“アントラーズファミリー”という言葉が自然と刷り込まれてきた影響か、今では自身の価値観と完全に合致する。
千葉県銚子市出身。幼稚園でのサッカークラブの活動の際には、コーチが両親に「この子にサッカーをやらせてください」と言わせるパフォーマンスを見せた。アントラーズのスクールに通っていた兄・鈴木翔大(現いわきFC)の背中を追いかけるように、本格的にサッカーへのめり込んだ。
いつも送り迎えの役目は「じいちゃん」だった。
「学校まで車で迎えに来てくれて、そのままダイレクトでアントラーズのクラブハウスに向かっていた。学校が終わったと同時に行かないと間に合わない。ランドセルを持って、そのまま。今思えば、間違いなくあの協力がなければ今の俺はないよね」
行き帰りの車中で、特に会話するわけではない。練習前だから「パワーを溜め込むために」助手席で熟睡。帰りは一緒にご飯を食べて帰る。小学生時代の半分を、そうやって過ごしてきた。

家族への感謝はプロになってから一つひとつ返していった。地元の銚子市からカシマスタジアムまで試合観戦に来るのに「大変だから」と、家族のために鹿嶋市内に一軒家を購入。自ら買った家で家族とふれあい、選手寮に住んでいた際も手料理を食べるために足しげく通った。2018年にはAFCチャンピオンズリーグで優勝し、MVPを受賞。真っ先にトロフィーを手渡したのが“じいちゃん”はじめ家族のみんなだった。
今シーズン、ベルギーのシントトロイデンからアントラーズへ復帰すると、再び家族と同居した。「洗濯機も回してくれるし、体のことを考えた料理を出してくれる。ケガをしないように野菜中心だったり、塩分控えめだったり、結構気を遣ってくれている。もう完全におんぶにだっこ」と表情をやわらげる。
今夏は家族に協力してもらい、どんなに暑い日でも熱々の鍋を食べ、内臓を冷やさないようにと努めた。オフの日は「ばあちゃんの唐揚げ」が大好物だ。普段の練習後にも、鹿嶋市内のレストランでお気に入りのカツカレーを頬張る。食事管理を気にはしつつもこだわり過ぎず、ときに楽しむ。それが鈴木の流儀だ。
試合後のコメントに変化?
ファミリーを大切にする姿勢は変わらない一方で、試合後のコメントに明らかな変化があった。かつては自分のプレーのことばかり語っていたが、チームを主語にした話が増えた。
得点を量産していた上田綺世が移籍で抜ければ「スペシャルな選手が抜けた今、泥臭い試合をして、全員で戦って勝っていく試合を目指すという話をみんなにした」と言い、タイトルを逃せば「俺は諦めない。いつ見ることになるのかわからない光に向かって、止まらず進んでいきたい」とチームの目線を前に向けて鼓舞する言葉を残す。
自ら発信するだけでなく、積極的に他者の意見にも耳を傾けるようになった。気になることがあれば、相談する相手は決まっている。
2022年、夏。ある日の練習後、キャプテン土居聖真と座り込んで、ユース選手の居残り練習を見つめていた。
そのピッチはいつもユースの選手が練習で使用する、かつて鈴木自身も毎日ボールを蹴った場所だ。見つめる先には、アカデミーのテクニカルアドバイザーとして選手を鼓舞する小笠原満男の姿があった。
「今だから言うけれど、あのときはもう練習の雰囲気からチームが良くなくて、ものすごく危うい方向に行きかけていた時期だった。それは俺自身、聖真くんとよく話していて。そんなときに、ちょっと話をしようとユースグラウンドの方へ行ったら聖真くんもついてきて、(小笠原)満男さんにどうしたらいいかという相談をしたんだよね」

「相談というよりは、確信を得るため」
アントラーズ復帰後は、副キャプテンを任された。クラブが打ち出すポスタービジュアルでは、前半戦、後半戦ともにメインを飾った。まさにチームの顔だ。だからこそ、小笠原にチームのまとめ方について相談しているのかと思えば、そうではないという。
――小笠原TAとはどんな会話を? チームのまとめ方の話が多い?
「いや、そんなことはないんだよね。そういう話をしないわけではもちろんないんだけど、いろいろ話を聞いてもらうという感じかな」
――気になることを相談できる相手がいるのは一つ、心に幅が持てますね。
「本当にそれはありがたい。でもね、実際はいろいろ相談をしても、満男さんって結局は『大丈夫だよ』っていう感じに落ち着く。なんかそれはそれでいいんだよね。もうこの人がそう言っているんだから、大丈夫なんだなあっていう気持ちになれる。俺はなんか、相談っていうよりかは、“確信を得るため”に話をしに行っている。大丈夫なんだな、っていう確信だよね」
――“確信を得るため”。一つの答え合わせですね。
「そうだね……。うん、そうかもしれない。満男さんは結構、客観的に考えているから。いろいろ聞いてもらって大丈夫って言ってもらうと、なんとかなるんだなって。たぶん満男さんからすれば、俺が話すことってすでに経験してきたことだと思うんですよ。だからたぶん、ちゃんと続けていれば、結果的にいい方向に行くんだよっていうのを言いたいんだと思うけどね」
――他に相談相手は?
「相談? 満男さんくらいかなあ。他にあまりいない」
小笠原はこれまで17個のタイトルを獲得、Jリーグ30年の歴史でもっともタイトルを経験してきた男である。そして鈴木自身、今もっとも欲しいと言うのがタイトルだ。
「2016年のリーグ優勝や2018年のACL優勝を経験したけれど、タイトルを獲る経験はものすごくデカい。当時は俺も若かったから、試合に出てもただ思い切り自分のことを考えてやっているだけだった。でも今振り返れば、やっぱりチームのことを考えてやっている選手が多かったよね。だから、分かりやすかった」

数多くのタイトルを経験してきた小笠原、曽ケ端準、中田浩二をはじめ多くの選手がどの立場になっても「一度経験すると、またもう一度、タイトルを獲りたいという欲が生まれる」と語る。アントラーズで草創期からクラブの礎を強化の立場で支えた鈴木満フットボールアドバイザーも「タイトルはチームをひと回り大きくする。それは選手個々もそう。そして、もう一度、獲りたいというその欲が、いい循環となり、さらにタイトルを生んでいく」と常々語る。
「今のチームは若くてタイトルを経験している選手が少ない。だからこそ、俺とか聖真くんとか(三竿)健斗とかがチームを引っ張って、まず1個タイトルを獲りたい。そこで大きく変わっていくと思う。そこで大きくチームとして成長すると思う」
「結果を受け入れて前に進むしかない」
10月5日、アントラーズは天皇杯準決勝で甲府と戦い、0-1で敗れた。この敗戦は、2022シーズンのタイトル獲得の可能性が潰えたことも意味した。
それでも、鈴木の心は折れていない。
「なかなか勝てないのに辛抱強く応援してくれているファン・サポーターには本当に申し訳ない。自分がチャンスで得点を決めていれば勝てた試合はいくつも頭に浮かんでくる。自分の不甲斐なさを強く痛感しているけれど、この結果を受け入れて前に進むしかない」

現実を受け止めて、次に向かう。負け惜しみでもなんでもない。本当に目指すところを見据えれば、止まっている暇はない。
「俺はあきらめない。いつ見ることになるのかわからない光に向かって、止まらず進んでいきたい」
先輩が見せてくれた常勝の姿。ともに経験したタイトルの喜び。それを自らが中心となり引っ張っていかなければいけない。その立場となり、悪戦苦闘しながらも今は、栄光へ進む道の途中だ。
(つづく)
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