日刊鹿島アントラーズニュース

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2024年4月14日日曜日

◆【番記者の視点】鹿島通算1800ゴール目を3選手の証言で振り返る なぜあそこに?意地と嗅覚と執念と(報知)



濃野公人


◆明治安田J1リーグ▽第8節 鹿島1―0京都(13日・カシマスタジアム)

 鹿島は後半40分にDF濃野公人が決勝点を挙げ、京都を1―0で下した。濃野のゴールはクラブ史上1800点目のメモリアル弾となった。

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 歓喜の瞬間の、5分ほど前のことだという。濃野が、MF知念慶に話しかけた。「逆サイドのクロス、入っていってもいいですか」。0―0で終わらせる気は毛頭なく、攻撃に枚数をかけたかった。

 知念からはゴーサインが出た。「点取るしかないんだから、気にせず入っていけって言われました」。0―0の状況だったが、攻め上がることを決めた。

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 後半40分、師岡柊生が左サイドでフリーになった。中を見た。ファーで待つ関川郁万と、ペナ内へ突進する濃野の姿が見えた。師岡は冷静だった。

 「後ろの選手が(前に)いたので、あそこで速くて低いボールを上げて、カウンターを食らったら危ないなと。高いボールを上げようと思った」

 ちなみに師岡は、ここ最近の紅白戦でボランチに入ることが多い。チャブリッチ、藤井、松村、パレジ、仲間…。サイドMFの人数がそろっていることもあり、中盤に回されている状況だ。

 だが、学びもある。「ボランチをやっていると、前の選手の抜けるタイミングが出し手目線でわかることもある。タイミングをつかもうと考えている。ポポさんも『いい選手はどこのポジションも出来る』と言っていますし」。貪欲な姿勢を、勝利に直結させた。

 関川はファーサイドにいた。セットプレーの流れではあるものの、すぐに帰陣せず、待った。そして「(師岡と)目が合った気がした。手を挙げた瞬間、来ると思った」。師岡が、利き足とは逆の左でフワリとしたボールを関川の頭めがけて蹴り込んだ。

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 濃野は少し迷った。味方センターバックが競ろうとしている状況。安西幸輝は師岡をフリーにさせるべく、師岡の背後を回っている。DFラインに残っているのは植田直通1人。しかしここで、5分前の知念の言葉が背中を押した。

 「師くんがボールを上げた瞬間、入るか迷ったが、あの言葉があったので、入っていこうと思って」

 関川は競り勝った。濃野も競り勝った。ネットが揺れ、カシマスタジアムが爆発した。「左センターバックが右サイドで折り返したボールを右サイドバックが合わせる」という不思議なゴールは、こんないきさつで生まれた。

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 「まだまだだけど、これからチャンスをもらえれば結果を出していきたい。日々の練習から集中し、違いを見せるようにやっていくようにしたい」(師岡)

 「無得点で勝てない試合が続いていた。自分たちが踏ん張れないといけないし、もろさが出てしまった2試合だった。何とか無失点で抑えたかったし勝ちたかった」(関川)

 「今までのサッカー人生の中で味わったことのない、忘れられない光景だった。もっとこの光景を見たいと思った」(濃野)

 3人の意地と嗅覚、そして勝利への執念が生んだ、素晴らしいゴールだった。(鹿島担当・岡島 智哉)





◆【番記者の視点】鹿島通算1800ゴール目を3選手の証言で振り返る なぜあそこに?意地と嗅覚と執念と(報知)





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