
日刊鹿島アントラーズニュース
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2024年7月17日水曜日
◆「(内田)篤人さんの“SB絞りすぎるな論”、よくわかります」日本代表DF町田浩樹の守備哲学が面白い「欧州に来てからもずっと鹿島の…」(Number)

鹿島のサポーターからしたら『タイトルを置き土産にして、海外へ行けよ』という気持ちは少なからずあったと思うんです。
それはヨーロッパに来てからもずっと頭の中にあって……。
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◆「(内田)篤人さんの“SB絞りすぎるな論”、よくわかります」日本代表DF町田浩樹の守備哲学が面白い「欧州に来てからもずっと鹿島の…」(Number)
2023年10月13日。次回のW杯開催国カナダとの試合で、日本はホームゲームであるにもかかわらず、劣勢を強いられていた。昨年6月から今年1月アジアカップ初戦までの10連勝した試合のなかで、もっとも苦しい立ち上がりだった。
理由は、守備が上手く機能しなかったからだ。
そのせいで、前半20分過ぎにはVARのチェックが入った末にPKを取られてしまった。ただ、主審が映像を確認している間に、守備をどうすべきかを選手たちはピッチ上で話し合った。
そこで挙がった改善点をプレーで表現し、試合の流れを変えたのが町田浩樹だった。
トミなら後ろを任せても大丈夫だろうと
前半32分、相手陣内まで出ていき、縦パスをカット。味方につないだシーンは敵・味方の双方に大きな影響を与えた。
「マンツーマン気味にマークをつかみに行ったほうが、自分たちの守備がハマる感覚がありました。それにセンターバックでコンビを組んでいたのがトミ(冨安健洋)だったので、後ろを任せても大丈夫だろうと考えて。それで計2本くらい良い形でボールが取れたから、『これで行けるな』という感じになりました」
センターバックが後方に構えてロングボールを跳ね返していれば良い時代は、とうの昔に終わった。時に、勇気をもって前へ出ていき、相手の攻撃の芽を刈りとり、自分たちの攻撃につなげていく。それが現代のセンターバックには求められている。あのプレーのように。
「やはり、前からのプレッシングを上手にはめられるチームは、強いと思います。もちろん、前からプレスに行く分、後ろが数的に同数になるので、広大なスペースを守らないといけないので大変ですよ。ただ、高い位置で取れれば取れるほど、自分たちの攻撃を高い位置からスタートできるというのもまた事実なので」
実は、こうしたプレーは町田が23-24シーズンのユニオン・サンジロワーズで求められてきたものでもあった。
ベルギーで体感した「プル型」のプレス
ライプツィヒの育成年代を網羅する形で指導してきたブレッシン監督は、オーステンデとジェノアを経て、ユニオンへやってきた。
彼が求めてきたのが、前線の選手からスタートする「プル型」のプレスだった。
これについては説明が必要だろう。
『ナーゲルスマン流52の原則』(ソル・メディア)のなかで、ドイツ代表監督のナーゲルスマンが現オーストリア代表監督のラングニックから〈プレスには2種類あると教えられた〉というエピソードが出てくる。
1つが、後方の守備組織を整えてからDFが前線に指示を出してプレスをかける「プッシュ型」。もう1つが、前線の選手がプレスをかけるのに合わせて全体で連動していく「プル型」だ。
ブレッシン監督は「プル型」をつきつめる指導者だった。
昨シーズンのユニオンでいえば、プレスに行くための合図は主に2つ。2シャドーの選手がプレスをかけに行ったときか、サイドハーフの選手がプレスをかけに行ったときだった。彼らのプレスが合図となり、彼らにプルされる(引っ張られる)ようにチーム全員でプレスをかけていく。
「やられても大丈夫」くらいの心持ちの方が
町田は鹿島アントラーズのユース出身だが、ユース年代ではそのような守備はほとんど求められなかった。ただ、その後に変化を感じた。
「(2020年に指揮した)ザーゴ監督はレッドブル系のチーム(*レッドブル・ブラジル)を率いた経験があって。あのあたりからヨーロッパの現代サッカーを学べました。今シーズンのユニオンではドイツ人のブレッシン監督の下でプレーしました。彼もレッドブル系のクラブ出身でプレッシングをだいぶ重要視する監督なので。そこでさらにブラッシュアップできたと感じます」
ただ、センターバックである以上はデュエルの能力を上げなければいけない。
2023-24シーズンの収穫はデュエルの部分でも手応えがあったことだ。一対一の局面で良い対応をすれば良いか。そのコツがつかめてきた。今では、以下のように言語化できるようになった。
「守備ってやはり、心持ちの方が大事だなと考えるようになりました。一対一になったときに、焦って『ヤバい』と思って取りに行くと、大体、抜かれるんですよね(苦笑)。逆に『やられても大丈夫だ』とか『相手の攻撃を遅らせらればいいんだ』というくらいの気持ちでやるとボールを取れたりするんですよ」
適切なポジションを“あえて取り続けない”ワケ
それが成熟なのかもしれない。8月25日、27歳になる町田は「ようやくベテランのマインドを持てるようになったということですかね」と笑顔を見せる。
昨シーズンは大きな怪我もなかったため、所属クラブでは国内のリーグやカップに加えて、ヨーロッパの大会にも参加した。リーグ戦はプレーオフも含めて31試合。国内カップが3試合で、ヨーロッパの大会は、ELプレーオフやカンファレンスリーグも含めて11試合。そして日本代表戦では10試合にプレーしたから、1シーズンで計55試合に出場したことになる。
コンディショニングには気を配っていたが、1年間のなかでは良い時期も悪い時期もあった。ただ、思うようにコンディションが上がらない試合や疲労が抜けきれない状況で中心選手としてピッチに立ったからこそ、発見があった。
「『効率性』を学べました。どこで、“良い意味で”手を抜けるのかが大事だなと」
適切なポジションを、あえて“取り続けない”ことも大切だと町田は気づいた。具体的にはどういうことか。本人の解説を元にまとめると以下のようになる。
篤人さんの「SB絞りすぎるな論」、わかります
3バックの左センターバックに入った町田をイメージしてほしい。
相手が右ウイングの選手を起点とした攻撃を繰り返してくると、町田を含めたユニオンの左サイドの選手は、その対応に追われる。それが続けば乳酸がたまり、疲れてくる。そんなとき、町田はあえて、セオリーから外れたポジションを取ることがあった。
たとえば、相手のボランチがボールを持っているとする。その際、町田は右ウイングにボールが入ったときに対応する上で最適なポジションから〈少し右ウイングに近いポジション〉を取るのだ。こうなると、相手はパスを出すのをためらい、逆サイドからの攻撃などを模索する。そうなれば、相手の攻撃が続いて苦しんだユニオンの左サイドは、少しだけ息をつける。
90分、もっと言えば長いシーズンのなかでは、そういう細かい駆け引きが必要なのだ。実際、町田が尊敬する鹿島の先輩・内田篤人などは「逆サイドにボールがあるときに、あえて内側に絞りすぎない」ような工夫も必要だと唱えているが、「篤人さんの『サイドバック絞りすぎるな』論などはよくわかりますよね」と町田は言う。
相手のレベルが高いリーグでどう改善していくか
そうした駆け引きをしていくべきだと考えたきっかけは、過密日程以外にもある。
「一つあるとしたら……」
町田が例に挙げたのは、2022-23シーズンのEL、シャビ・アロンソ監督率いるレバークーゼン戦である。対峙する右ウイングはディアビだった。23-24シーズンはアストン・ビラに移籍し、マンチェスター・ユナイテッドやチェルシーを抑えてCL出場権獲得の原動力となった選手だ。
「前半に一度、ディアビに縦へ突破されてしまったんです。そのシュートは外れたのですが、縦への突破を何度も許したらまずいと考え、ポジションを少しディアビ寄りに変えました。そうやって工夫するだけでもだいぶ変わりましたから」
こういった手ごたえを積み重ねていく一方で、ステップアップが確実視される今後にむけて、課題もある。
「正直(レギュラーシーズンで1位だった)ユニオンの場合、ベルギーリーグでは下位チームが相手だと、ある程度手を抜いてもやれてしまうところがあって。ただ、相手のレベルが高いリーグではそうはいかなくなります。そこをどう改善していくかですよね」
課題はあるが、ハッキリと認識できているからこそ、克服にむけて取り組むことができる。サッカー選手としての成長はその繰り返しだ。
鹿島への思いがあるからこそ、カップ戦制覇は…
そんななかで、一つだけ、嬉しかったことがある。
鹿島サポーターへの後ろめたさや申し訳なさを少しだけ克服できたかもしれないと感じられたからだった。
かつて常勝軍団としてならした鹿島の先輩である内田は、Jリーグ3連覇を含めた4つのタイトルを置き土産にヨーロッパへ渡った。それに引き換え、自分は……。
「JリーグやACLを取ったときにはピッチに立っていなくて。2020年の1月1日、国立競技場のこけら落としの試合では左サイドバックとして先発しましたけど、ヴィッセル神戸に負けてしまいましたから。鹿島のサポーターからしたら『タイトルを置き土産にして、海外へ行けよ』という気持ちは少なからずあったと思うんです。
それはヨーロッパに来てからもずっと頭の中にあって……。だからこそタイトルを取りたくて、(23-24シーズンの)ベルギーカップ優勝は個人的にも意味のある1つのタイトルでした。しかも、カップ戦の決勝では自分のゴールでチームを勝たせられたので、この上ない喜びでした」
町田は今夏に移籍する可能性が高い。
所属するユニオンは名選手の宝庫で、2年前には三笘薫がレンタル元のブライトンへ戻り、大活躍をした。昨年は、エースのボニフェイスがレバークーゼンへと移籍して、初優勝の原動力となった。ブレッシン監督などはわずか1年で引き抜きにあい、新シーズンからブンデスリーガ1部に昇格したばかりのザンクト・パウリを率いることになった。

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