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天皇杯 3回戦 vs水戸ホーリーホック
茨城ダービー、初めての屈辱。鹿島、PK戦の末に水戸に屈す。天皇杯3回戦敗退。
鹿島が、茨城ダービーで屈した。天皇杯3回戦で水戸ホーリーホックと対戦すると、0-0のまま決着がつかず、勝負の行方は延長戦へ。それでもスコアは動かず、PK戦の末に2-3で敗れた。
鹿島は3日前、ヤマザキナビスコカップ準決勝第2戦でヴィッセル神戸をホームに迎え撃ち、4-1と快勝した。2試合合計6-2と圧倒し、3年ぶり9回目の決勝進出を決めた。2ndステージでも2位につける鹿島にとって、複数のタイトルを視野に入れる日々が続く。そしてもう1つ、欠かせないのが元日決勝を目指す道のりだ。選手たちはすぐに「天皇杯があるから」と、気持ちを切り替えていた。
中2日で迎える一戦、石井監督は大幅なメンバー変更を断行した。紅白戦で並べられたフレッシュなメンバーは、それぞれの特長を出しながら、指揮官に必死のアピールを見せていた。石井監督は「誰が出ても変わらない戦い方をしたい。期待している」と、選手たちへの信頼を語っていた。
神戸戦からの先発メンバー変更は、なんと10人。センターバックに入る山村以外は、全選手が入れ替わる形となった。GKは佐藤、最終ラインは右から、伊東と植田、山村、鈴木隆雅が並ぶ。そしてボランチは梅鉢と本山、2列目に杉本と豊川、そして前線にはダヴィと鈴木優磨が入る。ベンチには曽ヶ端と山本、大橋、小笠原、遠藤、中村、赤崎が座った。
カシマスタジアムは、心地良い秋晴れに恵まれた。開場後は冷え込んだが、茨城ダービーを前にサポーターのボルテージは高まる。赤と青に割れた両ゴール裏が、試合への期待感を高めていった。ウォーミングアップに現れたフレッシュなメンバーの背中を押すように、大きなチームコールが降り注がれた。
19時、キックオフのホイッスルが鳴った。鹿島は開始早々の3分、右サイドを縦に突破した杉本がグラウンダーのクロスを送ると、ダヴィが巧みに合わせてゴールを狙ったが、惜しくもGKに阻まれてしまう。こぼれ球へのプッシュも弾かれてしまった。その後は、積極的にプレスをかけてくる水戸の勢いに押されたものの、鹿島は無失点でしのいだ。
開始15分をスコアレスで終え、次第に鹿島がボールキープ率を高めていく。22分には杉本がドリブルで仕掛け、鋭い切り返しから左足ミドルシュート。GKの正面を突いたが、枠を捉えてゴールを脅かした。さらに29分には、左サイドからの豊川のFKがゴール前で混戦となり、最後は植田がシュートを放ったものの、DFにブロックされてしまった。
鹿島はボールを保持していたものの、思うようにパスをつなぐことができず、苦しい展開となった。36分にも杉本が左足ミドルシュートを放ったが、GKの正面へ。なかなか決定機を作れず、低調な出来に終始した。前半終了間際には、右サイドの背後を取られて強烈なボレーシュートを打たれたものの、佐藤のファインセーブで事なきを得た。前半はスコアレスで終了し、ハーフタイムに突入した。
後半に入っても、拮抗した展開が続いた。鹿島は引き続き、水戸の守備をなかなか崩すことができない。50分に本山のスルーパスに伊東が反応したが、長すぎてクロスには至らず。62分には優磨のポストプレーから豊川が狙ったが、DFにブロックされて枠を逸れた。
石井監督は65分、杉本に代えて遠藤を投入し、攻撃陣の活性化を図る。そして70分、右サイド深くまでオーバーラップした伊東の折り返しから、最後は隆雅が強烈なシュートを放ったが、GK正面に飛んでしまった。さらに74分にも、右サイドからのクロスがこぼれたところに豊川が反応してシュートを放ったが、枠を越えた。
チャンスを作りながら、モノにできない鹿島は79分、赤崎をピッチへ送り出してゴールを狙う。赤崎は積極的にプレスをかけ、ミドルシュートで枠を捉える場面もあったものの、均衡を破ることができない。終盤にはミス絡みでカウンターを許し、水戸に決定機を作られる場面もあったが、何とかしのいだ。そして、90分が経過しても決着はつかず、勝負の行方は延長戦に持ち越された。
延長前半、鹿島は赤崎を中心に攻勢をかけたが、決定機を迎えることはできない。105分に赤崎が強烈なミドルシュートを放ったがGKに阻まれ、引き続きスコアレスのまま、延長後半を迎えた。ラスト15分も攻勢をかけたのは鹿島。赤崎のパスに反応したダヴィのシュートなど、枠を捉えてゴールを脅かす場面を何度か作ったが、どうしても均衡を破ることはできなかった。120分を終えても、0-0。PK戦での決着となった。
PK戦、後攻の鹿島は1人目の本山、4人目の山村が失敗。2-3で迎えた水戸の5人目のシュートを佐藤が止めて粘りを見せたが、5人目の梅鉢がシュートを止められてしまった。PKスコア2-3で水戸に屈し、天皇杯3回戦敗退が決まった。
次戦は3日後、17日にカシマスタジアムで行われるJ1 2nd 第14節の柏レイソル戦だ。2週間ぶりに臨むリーグ戦、2ndステージ制覇に向けて勝つしかない試合が続く。15日間で5試合を戦う過密日程、その5連戦のラストゲームだ。チーム一丸で立ち向かい、勝利を掴みに行く。
【この試合のトピックス】
・佐藤と植田、豊川、本山が、9月9日に行われた天皇杯2回戦の琉球戦以来となる先発出場を果たした。
・伊東が、7月29日のJ1 2nd 第5節鳥栖戦以来の先発出場を果たした。
・鈴木隆雅が今季初、鈴木優磨が加入後初の先発出場を果たした。
・梅鉢が、6月7日のJ1 1st 第15節山形戦以来の先発出場を果たした。
・杉本が、5月2日のJ1 1st 第9節甲府戦以来の先発出場を果たした。
・ダヴィが、9月26日のJ1 2nd 第12節浦和戦以来、4試合ぶりに先発出場した。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
・相手陣内に入ったときはポゼッションしながら慌てずにプレーすること。
・ミドルシュートも有効に使って、チャンスになったら積極的に打とう。
・ディフェンスはリスクマネジメントをしっかりすること。
水戸ホーリーホック:西ヶ谷 隆之
・自信をもってプレーしよう。
・今やっていることを続けよう!
[試合後]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
スタジアムまで来てくれたファン、サポーター、テレビの前で次に進むと応援してくれたファン、サポーターに、負けてしまって申し訳ないと言いたい。選手たちは勇気を持って120分、そしてPKを戦ってくれたが、監督である私の勇気のなさで負けてしまい、申し訳なく思う。天皇杯は終わってしまったが、チームは次に向かって切り替えて、リーグ戦、ナビスコカップを戦っていきたい。
Q 勇気のなさとは?
A メンバー選考のところから、交代枠を1人使わなかった部分。このままのメンバーで勝ちきれると思ったが、最後までいってしまった。チャンスは作っていたのだが、交代が遅れてしまった。
Q 三冠へのチャレンジが終わってしまったが。
A アントラーズは常にすべてのタイトルを獲ることを求められている。天皇杯も当然優勝を目指していた。早い段階で敗退してしまったのは私自身の問題。選手たちはタフに戦ってくれた。
Q 若い選手に求めていることは?
A 試合前のミーティングでは、今やっている守備と攻撃の部分は守りながら、チームのためにハードワークすること、若い選手が自分の持っている力を100%出せるように、周りがサポートしてほしいと伝えた。若い選手は思い切ったプレーが特長。それが実際のゲームでどれだけ出せるか見せてほしいと伝えていた。
Q 試合後サポーターの前まであいさつに行ったが。
A 今回の敗戦の批判は僕自身が受けなくてはいけないものだと思い、行きました。
水戸ホーリーホック:西ヶ谷 隆之
選手たちは粘り強く、ひるまずに正面からぶつかっていってくれた。頑張った結果がうまくついてきた。我々はリーグ戦もしっかり戦わなくてはいけない立場だが、コンディションを整えて、この勢いをリーグ戦にぶつけていきたい。メンバーを代えた理由は、週末にゲームがあるから。うちは全員で戦わなくてはいけないチーム。しかし、ベストのメンバーという気持ちで送り出したし、しっかり選手たちも応えてくれた。相手を見ずにチャレンジしてゴールにむかっていってくれた。足をつるまで頑張ってくれたのがその証拠だ。
選手コメント
[試合後]
【本山 雅志】
PK失敗は技術的なミスだった。PK戦でもリズムがあるし、それを作れなかったのは自分の責任。申し訳ない。全タイトルを目指していた中、その可能性を絶ってしまったことが申し訳ない。
【梅鉢 貴秀】
120分間の中で、自分たちが落ち着く時間帯を作れなかったことが敗因だと思う。ペースを自分たちに持っていく方法はいろいろあるけど、単調になってしまった。陣形が間延びしていた中で、うまくコントロールできなかった。
【鈴木 隆雅】
悔しい気持ちでいっぱい。相手が前線からプレスをかけてきて、自分たちはロングボールが多くなった。もう少し、サイドでパスを受けて、ピッチの幅を使えれば良かった。
山村選手と遠藤選手のコメントは、アントラーズモバイルをご覧ください。