日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年5月24日水曜日

◆AFCチャンピオンズリーグ2017 ラウンド16 第1戦(オフィシャル)


ACLラウンド16 vs広州恒大

鹿島、広州恒大に完封負け。ACLベスト8逆転進出へ、ホームでの“後半90分”に向かう。

アジアの頂点を目指す鹿島が、アウェイでの激闘で悔しい黒星を喫した。AFCチャンピオンズリーグ・ラウンド16第1戦、中国王者の広州恒大と対戦すると、0-0で迎えた75分にCKから得点を許して0-1と敗戦。1週間後、ホームでの第2戦に逆転突破を懸けることとなった。

鹿島は5月10日のグループステージ第6節でムアントン・ユナイテッドに2-1と競り勝ち、グループEの首位でノックアウトステージへ駒を進めた。次なる相手は広州恒大。2年前にも激突した難敵と、ベスト8を懸けたホーム&アウェイの戦いに臨むことが決まった。

ムアントン戦の勝利で公式戦4連勝を果たし、ラウンド16の相手も決まった。次の目標が定まり、連勝街道を突き進んでいくはずだった。しかし、鹿島に試練の時が訪れる。14日のJ1第11節で神戸に1-2と敗れると、続く19日の川崎F戦では0-3と完封負け。ホームで喫した2連敗、カシマスタジアムには怒号とブーイングが響き渡ることとなった。そのうえ、この2試合で遠藤とレオ シルバ、町田が負傷離脱。悪い流れが続くが、下を向く時間はない。山本は「踏ん張りどころ」と険しい表情で「すぐに準備をしていかないと」と、広州での一戦を見据えていた。



川崎F戦の翌日、チームはリカバリートレーニングを経て中国へと発った。メンバー変更を余儀なくされても、鹿島が目指すものは変わらない。離脱を強いられた仲間の思いとともに、勝利だけを見据えて練習に打ち込んだ。試合前日の公式会見では、石井監督と昌子が抱負を語った。「勝つために来た。それを証明したい」。背番号3の言葉に不退転の決意が滲んだ。

そして迎えた、5月23日。広州は蒸し暑い気候に見舞われ、試合直前には雨も降り始めた。山本が2年前の経験に照らして「どこよりも強く感じる」と表現したアウェイの雰囲気は、この夜も変わらなかった。大観衆が詰めかけた広州天河体育中心はホームのチームカラーで埋め尽くされたが、アントラーズレッドの誇りとともに現地まで駆け付けた背番号12がアジア制覇への意志と情熱をピッチに降り注ぐ。





石井監督が指名した先発メンバーは、川崎F戦から4名が入れ替わっていた。右サイドバックに伊東、センターバックの一角には三竿健斗、2列目には土居、前線には金崎が復帰した。その他、ゴールマウスにクォン スンテ、最終ラインの左半分は昌子と山本が並ぶ。ボランチは永木と小笠原のペアで、2列目にはレアンドロ、そして前線では金崎とともに金森がゴールを狙う。そしてベンチにはGKの曽ケ端、三竿雄斗、中村、ペドロ ジュニオール、鈴木、さらに今季の公式戦で初のメンバー入りとなった梅鉢と久保田も並んだ。





高温多湿の広州の夜に、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。立ち上がりは広州恒大がボールキープ率を高めていたが、鹿島は高い集中力をもって試合に入り、しっかりと対応していく。ファーストシュートは5分、金崎が敵陣右サイドから思い切りよく右足を振り抜いた。大外では伊東がスペースを目指したフリーランを敢行していたが、まずはエースがゴールへの意欲を示してみせた。

続くチャンスは9分、レアンドロが力強い突破で敵陣中央を切り裂く。高度なテクニックとスピードが実現させたドリブルは、相手DFのレイトタックルで阻まれた。しかし、ファウルの笛は鳴らず。スライディングで足首を刈られた背番号11、その様子を見ていた選手たちは抗議の声を上げたが、判定は変わらない。湧き上がる闘志を感じながら、ビクトリーホワイトは戦いを続けた。



15分にはヒヤリとするアクシデント。前線で絶え間なくボールを引き出し、積極的な突破で脅威を与えていた金森がピッチに足を取られて負傷する。ピッチ外で治療を受けた背番号14はプレー続行不可能かと思われたが、戦いの場へと帰還した。2試合連続で先発メンバーに名を連ねた若武者はその後も、鋭い突破とボディコンタクトで広州恒大に挑んでいった。

緊張感が漂う中、15分が経過。大ピンチを迎えたのは19分、縦パスを通されてアランとスンテが1対1の場面を迎えてしまう。絶体絶命の場面だったが、スンテはシュートコースを見極めて身体に当て、鹿島を救った。韓国代表にも選出された背番号1は、安定感抜群のキャッチを連発してチームに落ち着きと秩序をもたらした。難しいピッチコンディションでの一戦、そのセービングの正確性は際立っていた。



守護神のビッグセーブで難を逃れた鹿島は21分、永木の左CKから健斗がヘディングシュート。相手のマークをかいくぐってボールの落下点に入った背番号20が放った一撃は、ほんのわずかに枠の右へ逸れてしまった。叫び声を上げて悔しがる健斗。それでも、次への勇気をもたらす決定機だった。













25分以降、鹿島は敵陣でボールを持つ時間を増やしていく。次第にオープンな展開へと推移し、強烈なミドルシュートでゴールを脅かされる場面もあったが、スンテが立ちはだかって得点を許さない。左サイドハーフとして先発メンバーに名を連ねた土居は自陣ゴールライン際へのカバーリングを厭わずに献身の姿勢を示し続けた。緊迫した展開の末、前半は0-0。スコアレスで後半を迎えることとなった。

後半立ち上がりも広州恒大がボールキープ率を高める展開となった。石井監督は49分、前半に足を痛めた金森に代えてペドロを投入。52分にはペドロのパスから金崎がペナルティーエリア右手前で反転し、豪快に右足を振り抜く。シュートは相手GKに阻まれたものの、背番号33は前半に引き続き、後半のファーストシュートも放って得点への意欲を見せ続けた。





53分、鹿島は右サイドからのクロスへの対応が遅れてフリーでヘディングシュートを打たれたが、枠を越えて事なきを得る。以降はなかなか前線でボールが収まらず、広州恒大に押し込まれる時間が続いた。70分にもクロスボールから至近距離でのヘディングシュートを許したが、スンテが右手でビッグセーブ。守護神がまたもチームを救い、スコアレスのまま試合は推移した。



しかし、75分。ついに均衡を破られてしまった。広州恒大のCKからゴール前へ流れたボール、そこへ詰めていたパウリーニョに押し込まれた。0-1。最後の一線でしのぎ続けていた鹿島だが、守り切ることはできなかった。







1点を追う残り15分、鹿島は敵陣でボールをキープする時間を増やして反撃に出る。83分に今季初出場となった梅鉢、86分には鈴木がピッチへ送り出されてチームを活性化。終盤には永木が直接FKでゴールを脅かしたが、枠を捉えることはできなかった。













0-1。激闘の末、アウェイゴールを奪えずに敗れた90分は痛恨の結果に違いない。だが、まだ“前半90分”を終えたに過ぎない。ホームでの第2戦は30日、聖地・カシマスタジアムでのナイトゲームだ。今夜の悔しさとアジア制覇への揺るぎなき決意を胸に、そしてホームで待つ背番号12とともに、いざ。チームは明日帰国の途につき、1週間後に控える“後半90分”に向けて準備を進めていく。這い上がらなければならない。意地を見せなければならない。





【この試合のトピックス】
・金崎が公式戦4試合ぶりに先発メンバーに復帰した。
・レアンドロと金森が公式戦2試合連続の先発出場を果たした。

監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:石井 正忠


広州恒大:ルイス フェリペ スコラーリ


[試合後]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
ラウンド16の第1戦ということで、最低でも勝ち点を取って日本に帰りたいと思っていた。それができず、非常に残念。今日も広州まで来てくれたサポーターの皆さんと一緒に勝ち点3を取って日本に帰りたかったので残念に思う。ただ、90分ハーフの前半が終わっただけだと思うし、今度はホームで戦えるのでしっかりと逆転して次のラウンドへ進めるように1週間をかけて準備をしていきたい。

Q.失点の場面だけ集中力が切れたのか?また負傷者が相次いだ中でのアウェイでの0-1はある意味では最低限の結果にも映るが、どのように評価して第2戦につなげたいと考えているか?

A.90分を通して選手たちはハードワークをして戦ってくれた。失点の場面は集中力の問題か、ポジショニングが悪かったのか、細かく見ていかないと分からない部分ではある。ラウンドが進むにつれてレベルが高くなるほど、あのような細かいプレーが勝負の分かれ目になると感じた。また、こうしてケガ人が出ている中で、アウェイで勝ち点を取って帰ることを目標にしていたので、満足はしていない。ただ、全体の戦い方として、1失点だけという事実と内容面は次につながると思っている。それを必ず生かせるように1週間、準備していきたい。全体的には非常に良い戦いだったと思うが、勝ち点を取れなくて残念だ。

試合の勝敗というのはいろいろな要素が組み合わさって決まるものだと思う。何が悪かったかというのは言いにくい部分だと思う。当然、ホームゲームで勝つだけということがはっきりしているので、そこへ向けてしっかりと準備をしていきたい。

Q.広州と日本のクラブの差が縮まっているように思えるが?

A.中国のサッカー事情が詳しく分からないので語ることはできないが、Jリーグのレベルは年々上がっていると思う。毎年優勝チームが違っていたり、数年前であればJ2から上がってきたチームが優勝したりとか、チーム間の力が拮抗しているリーグだ。日中の差が縮まったという解釈をするのであれば、日本サッカーの力が上がっていることが、その要因なのだと思う。Jリーグのレベルが上がったのだと思う。とはいえそのことによって、我々が次の試合で有利になるとは思っていない。広州恒大は力のあるチームなので、しっかりと準備をしていきたい。

広州恒大:ルイス フェリペ スコラーリ



選手コメント

[試合後]

【伊東 幸敏】
足に痛みが出て、つった感覚もあった。点を決めたパウリーニョのマークは自分だった。ニアに入った瞬間、誰かが弾き返すと思ったら流れてきてしまい、セカンドボールへの集中が甘かった。まず前半は無失点でいき、後半はチャンスがあるからと話していた。まだ0-1なので、ぜんぜんチャンスはある。ホームでは無失点でないとダメ。

【三竿 健斗】
広州恒大は対戦してみて、想像より差を感じなかった。駆け引きして上手く守れていたと思うが、DFとして失点したのが悔しかった。最悪、1点で抑えれば次にチャンスがあると思ったので、みんなに声をかけた。ポジショニングのことは源くんに言われた。前半のヘディングシュートは抜けてくるか分からなかったので、少し判断が遅れた。決めていれば良い展開だったので悔しい。ホームでは絶対に勝つ。誰も落ち込んでいる選手はいなかった。まだ前半が終
わっただけ。1週間ある。一つの目標として、まとまって戦いたい。どのポジションで出てもチームが勝てるようにプレーするだけ。歓声はそれほど感じなかったし、アウェイという感じはしなかった。これで勝っていれば自信になった。

【永木 亮太】
ゲーム展開は予想通りだった。そういう戦いに自信をもってやったが、セットプレーで失点し、負けてしまって悔しい。でも半分終わっただけ。ホームでは、より攻撃的にいかないといけないので、次に向けて変えていかないといけない。

【土居 聖真】
ホームで1点決めれば優位になる。内容と結果が今日は伴わなかった。メンバーも変わって我慢強くやっていたけれども、得点を決めたかった。チャンスはあった。最近は前半に失点していて、今日はDFが頑張ってくれていただけに点を取りたかった。いつも以上に責任を感じる。相手は前半にいらついていてやりにくそうだった。やらなきゃいけないことをやるのは当たり前。プラスアルファのことをしないといけない。可能性がある限り戦う。今から準備をする。レアンドロもチャンスを作っていたし、健志も役割を果たしていた。健斗も落ち着いていた。これがチームだと思う。これ以上、悪くなることはない。あとは良くしていくだけ。

【金森 健志】
足は自分でひねった。もうちょっとやりたかったので悔しい。自分は相手が嫌がることを前半からやろうと思っていた。前線からの守備を夢生くんと頑張ろうと話していた。それが前半の無失点につながったと思う。後半、もっと自分たちが仕掛ける時間を増やしたかったが、失点して受けに回ってしまった。シュートをもっと打たないと入らない。もっと貪欲にやっても良いと思う。もっとシュートの意識をもってやっていければいい。プレスをかけたら、相手が嫌がって蹴り、そのセカンドボールを拾えていた。攻撃もシンプルに攻められた。最後の精度を上げてれば、点は入った。試合後、下を向いている選手はいなかった。次はホームだし、ホームで連敗もしているので、今日以上に勝ちたいという思いで戦いたい。







http://www.so-net.ne.jp/antlers/games/52144

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