日刊鹿島アントラーズニュース

Ads by Google

2017年7月23日日曜日

◆明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2017(オフィシャル)


明治安田ワールドチャレンジ

鹿島がラ・リーガの雄を撃破!鈴木の2ゴールでセビージャFCに完封勝利!

ラ・リーガの強豪を相手に、鹿島が意地と気迫を見せ付けた。JリーグワールドチャレンジでセビージャFCカシマスタジアムに迎え撃つと、72分と後半アディショナルタイムに鈴木がゴールネットを揺らし、2-0と完封勝利。ボールポゼッション率では劣勢を強いられたが、曽ケ端が幾度となくビッグセーブを見せてチームを救い、耐え抜いた先で勝利を掴んでみせた。

7月2日からの11日間で組まれたアウェイ4連戦を3勝1分で走り抜け、鹿島はつかの間の充電期間を得た。3日間のオフを経て、練習を再開。あらゆる面でのレベルアップを期し、過酷なフィジカルトレーニングと戦術練習を積み重ねていった。就任後、公式戦8試合を戦った大岩監督は、新たな組み合わせの選手起用も敢行。無限の可能性を探る指揮官の下、ポジション争いは激しさを増した。戦列に復帰した植田は、自らの離脱中にセンターバックとして存在感を見せた三竿健斗との争いについて「チームとしてプラスだし、負けるつもりはない。良いライバルができたという気持ちの方が大きい」と、前向きに受け止めて懸ける思いを明かしていた。

J1再開は今月末。今季から新設されたサマーブレイク期間を経て、シーズンは後半戦へと向かう。その前に、鹿島は世界に名だたる強豪と対峙することとなった。Jリーグワールドチャレンジ、セビージャFC戦。史上初のヨーロッパリーグ3連覇を果たし、2016-17シーズンのリーガ・エスパニョーラで4位に入った難敵をカシマスタジアムに迎え撃つ。誰もが期待に胸を膨らませ、そして聖地での勝利へ闘志を燃やしていた。前日会見に出席した健斗は「このような強いチームと対戦する機会はない」と試合を心待ちにしていることを明かし、「自分たちが持っているものの全てを出して絶対に勝って、この先につなげたいと思う」と、結果にこだわる姿勢を強調した。

聖地にフットボールが帰ってきた。約1ヵ月ぶりとなるホームゲームを迎え、鹿嶋は青空に恵まれた。3日前に梅雨明けが発表され、夏本番の暑さに見舞われる中、背番号12が続々と足を運ぶ。サッカーファンの耳目を集める注目の一戦を前に、時間を追うごとに聖地のボルテージが高まっていった。

ベンチ入りは28名、交代枠は7つというレギュレーションで行われる一戦。大岩監督が先発に指名した11人は、GKに曽ケ端、最終ラインは右から伊東と植田、昌子、そして左サイドバックに西が指名された。山形戦で新たな可能性を示した両翼が、引き続きピッチに立つ。そしてボランチにはレオ シルバと健斗が並んだ。中盤の支配者とともに、センターバックとしてもポテンシャルを示してみせた若武者がゲームコントロールを司る。そして2列目には、充実のプレーを続けるレアンドロと中村。前線はペドロ ジュニオールと金崎がコンビを組み、ゴールを目指す。指揮官は「相手のセンターバックには経験とテクニックと強さがある。彼らに対してうちのFWがどう駆け引きをしていくかがキーポイントになる」と、実績十分の2トップに信頼を託していた。

試合直前に火災報知機の誤報というアクシデントがあり、予定より数分遅れてキックオフを迎えることとなった。アントラーズレッドの背番号12はタオルマフラーを掲げ、戦いに臨むスイッチを入れ直した。18時3分、キックオフ。ラ・リーガの雄と対峙する90分が始まった。







立ち上がりから、セビージャFCにボールポゼッションを許す展開となった。鹿島はなかなか前線でボールを収めることができず、押し込まれる時間が続く。7分には敵陣右サイドを強引に突破した金崎のパスからペドロがペナルティーエリア内でトラップ。反転してボレーで狙ったが、相手DFにブロックされてしまった。

2トップが得点への意欲を見せたものの、鹿島はセビージャFCゴールに迫ることができない。最終ラインでのビルドアップから両サイドバックを高い位置へ上げ、効果的に縦パスを通してじわじわと攻めてくるセビージャFCに、鹿島陣内へ押し込まれる時間が続いた。ゴールライン際まで突破されてゴール前へクロスを入れられる場面も増えていったが、ゴール前で昌子や植田が身体を張り、バイタルエリアの攻防では健斗がアグレッシブなプレスを連発して勝利への意志を示していた。

鹿島は23分、ペナルティーエリア左側へパスを通されてシュートを打たれたが、曽ケ端がセーブ。こぼれ球へのプッシュも阻止し、チームを救った。絶対的な存在感でゴールマウスに立ちはだかった背番号21は、起死回生のビッグセーブを繰り返すこととなる。





30分を経過しても、セビージャFCがボールポゼッションを続けていく。35分には右サイドからペナルティーエリア内へ入られ、縦パスを通されてピンチを迎えたが、至近距離から打たれたシュートはサイドネットへ。曽ケ端がしっかりとコースを消し、得点の可能性を消してみせた。45分にもペナルティーエリア内での混戦からセカンドボールを拾われて至近距離からゴールを襲われたものの、またも背番号21がビッグセーブ。守護神が大車輪の活躍を見せ、前半はスコアレスで終了した。











後半開始時から、大岩監督は3選手の交代を敢行。最終ラインにブエノと山本、右サイドハーフに遠藤を投入した。昌子から腕章を受け継いだ遠藤は「前半は押し込まれ過ぎていたので、サイドでアクセントになれればと思っていた」と、持ち前のボールキープ力を見せ付けて起点となった。前半同様、セビージャFCがボールを持つ時間が長くなったものの、鹿島は少しずつ敵陣へ押し込む回数を増やしていった。

















スコアレスのまま、後半の立ち上がり15分も経過した。大岩監督は62分、2度目の選手交代で3名を入れ替える。前線に土居と鈴木、そして2列目にルーキーの安部を送り出し、遠藤をボランチの位置へと下げてゲームコントロールを託した。この交代策が、聖地に歓喜を生むこととなる。





鹿島のチャンスは69分、ショートカウンターでダイレクトパスを連ね、中村がスペースへ展開。高速ドリブルでペナルティーエリアに差し掛かった安部は、迷うことなく右足を振り抜いた。強烈なシュートは相手GKに阻まれたが、背番号30のまばゆい輝きに、スタジアムのボルテージは高まった。

そして、3分後。歓喜の瞬間が訪れた。安部が敵陣中央でルーズボールを奪うと、ゴールへの意志と勇気をもって縦へと突破。素早い身のこなしでマークを剥がし、立ちはだかる2人目のDFをかわすと、ペナルティーエリアに入る。加速する背番号30を止められる者などいなかった。ダブルタッチで突破すると、走路を阻むのはGKのみ。沸騰する聖地、そこで安部が選んだプレーは冷静かつ正確なラストパスだった。左前方にボールを流すと、走り込んでいた鈴木が左足で流し込み、ゴールネットを揺らした。











1-0。70分超を耐え抜いた先に刻んでみせた、待望の先制ゴール。カシマスタジアムは熱を帯び、セビージャFCのボディコンタクトは激しさを増した。戦況を見つめる指揮官は先制弾の5分後、金森を投入。さらなるゴールを目指すというメッセージとともに背番号14を送り出し、鹿島は残り15分もアグレッシブな姿勢を貫いてみせた。

86分、一瞬の隙からペナルティーエリアへのカットインを許し、強烈なシュートを打たれたものの、曽ケ端が左手で渾身のセーブ。鬼神のシュートストップを繰り返した背番号21がチームを救い、リードを保ったまま試合は最終盤に突入した。

そして、この日2度目の歓喜は後半アディショナルタイムに訪れた。遠藤が左CKを蹴り込むと、ファーサイドの鈴木がヘディングシュート。ゴール前の密集を越えて左サイドネットを揺らし、聖地は勝利の確信に包まれた。













2-0。勝利を告げるホイッスルが鳴り響くと、カシマスタジアムのボルテージは最高潮に達した。ラ・リーガの雄を完封で破り、シーズン後半戦に向けて幸先の良いスタートを切ることができた。次戦は29日、いよいよJ1再開だ。第19節、甲府をホームに迎え撃つ。難敵を破った自信と手応えを胸に、そしてさらなる勝利への渇望とともに。鹿島の歩みはこれからも続く。





【この試合のトピックス】
・セビージャFCとの初対戦で勝利を収めた。
・大岩監督就任後、9試合負けなしとなった。
・鈴木が2ゴールを挙げた。

監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛


セビージャFC:エドゥアルド ベリッソ


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
セビージャFCの強さをまざまざと見せつけられた。しかし、選手たちは粘り強く守備をし、ボールを奪った後、積極的に攻撃に出ていくことをやり続けた。その結果、スタジアムに来てくれたサポーターの皆さんが喜んで帰ってもらえる結果になったと感じている。

Q. 前半終了間際にレオ シルバ選手を呼んで指示を与えていたが、どんなことを伝えたか?

A. 前半、ボールを動かされてしまって、自分たちがなかなかボールを持つことができなかった。ただ、守備の面でやるべきことはある程度できていた。奪った後の攻撃の質、ファーストプレーの質、判断の質、ポジショニングがよくなかった、もしくは良くないようにさせられてしまった。理由として、ボールを奪った後スピードアップし過ぎてしまい、ボールロストが多くなったと感じた。落ち着いてボールを動かしながらサイドを使って攻めることを徹底するように、あのタイミングでレオに伝えた。

Q. この試合はJリーグを戦う上でどんな意味があるか? 今シーズンはC大阪や柏が強いがどう感じているか?

A. 名前の挙がった両チームは、それぞれが独特のスタイルを持っているチーム。そこに対して自分たちがリアクションするのか、アクションするのか。そういったところの判断が求められる。今日のようにボールを握られる時間が長くなったとき、もっと自分たちからアクションすることで守備をしたり、自分たちが支配するやり方で相手を押し込むことができるはず。そういうサッカーをJリーグでも数多くやれるように準備したい。

Q. 具体的なセビージャの強さとは? 自分たちのサッカーはどの程度できたと感じているか?

A. 正直に言うと、手ごたえはあまりない。自分たちが前線から奪いに行くサッカーはやらせてもらえなかった。セビージャは世界最高峰のリーグであれだけの成績を残している。非常に高いレベルを体感した。選手たちも同様に感じていると思う。試合後「自分たちがあのレベルにならなくてはいけない。チームとして選手として成長していこう」と選手たちに伝えた。昨年レアル・マドリードと試合をして決定的な差を感じたが、その差が縮まるどころか広がっているように感じた。今の自分たちの意識では縮まらない。もっと厳しくサッカーに取り組み、高い意識を持って日々の練習に取り組んでいきたい。

Q. 途中交代の鈴木選手、安部選手が印象的なパフォーマンスを見せたが、2人の評価は?

A. 2人とも非常に気持ちの入ったすばらしいパフォーマンスだったと感じている。いつも言うことだが、それをやり続けることが重要。彼らが今日得た自信のようなものを成長の糧にしてやり続けることが大切。


セビージャFC:エドゥアルド ベリッソ
前半はいいリズムで試合を運ぶことができた。ボールを支配して、チャンスを作り出すことができた。しかし、後半はやや深さが足りなかったと思う。前半のリズムをキープすることができず、一方、アントラーズはチャンスを見つけて得点を決めた。とてもインテンシティの高いゲームだった。プレシーズンということもあり、選手たちに疲れも見られた。今後もトレーニングを続けていきたい。


選手コメント

[試合後]

【鈴木 優磨】
後半はある程度、自分たちから仕掛けることができた。でもこのままじゃ、まだまだダメ。自分たちからアクションを起こせるようになりたい。今日は2得点を取れて良かったけど、相手はシーズン前だし、勝って慢心するわけにはいかない。謙虚に受け止めていきたい。

【安部 裕葵】
自分の長所であるドリブルと運動量を見せることができてよかった。(得点シーンは)冷静にプレーできて、横も見えていた。ああいうプレーは得意。自然と身体が動いた。このレベルが相手でもできたのは自信になった。外から見ていても、プレーしていても楽しかった。すごく勉強になったし、充実した日になった。

【昌子 源】
前半を無失点に抑えればいけると思っていた。交代で入った優磨と裕葵がよくやってくれた。どんどん若い選手が出てくれば、チームも強くなる。試合ごとに選手が活躍して良くなっていくのは、今のアントラーズの良いところ。これを続けていきたい。

【曽ケ端 準】
欲を言えば、自分たちが試合を支配して勝てれば良かったけど、難しい中でもチャンスを窺いながら我慢強くプレーできて良かった。暑い中での試合が続くし、リーグ戦でも今日のような展開もあり得るので良いシミュレーションになった。

【ブエノ】
自信をもってピッチに立ったし、100%を出そうと考えていた。無失点に抑えることができて嬉しい。

【植田 直通】
コンディションを整えている段階だったと思うけど、そういう相手であっても負けるわけにはいかなかった。勝てたことは良かった。あまり相手の情報がない中で、プレーをしながら相手の出方を考えていた。

【遠藤 康】
自分が出たら、チーム全体を押し上げられるようにしたいと考えていた。こういう相手で、親善試合であったとしても、自分たちは勝たないといけない。これだけボールを回せるチームと試合をする機会はなかなかないので、楽しかった。

http://www.so-net.ne.jp/antlers/games/52142



Ads by Google

日刊鹿島

過去の記事