日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年10月30日月曜日

◆2017明治安田生命J1リーグ 第31節(オフィシャル)


明治安田J1 第31節

健斗がプロ初ゴール、そして金崎が決勝弾!鹿島、アウェイで札幌を撃破!

鹿島が北の大地で力強く再出発を遂げた。アウェイ3連戦の最終章、札幌ドームで行われたJ1第31節。北海道コンサドーレ札幌と激突すると、三竿健斗のプロ初ゴールで先制に成功する。セットプレーから同点に追い付かれたが、70分に金崎が気迫の決勝ゴール。2-1と競り勝ち、リーグ戦2試合ぶりの白星で勝ち点を67に伸ばした。

8日前、そして4日前。鹿島は敵地で底知れぬ悔しさと向き合った。21日のJ1第30節、横浜FMを相手に2-3。そして25日の天皇杯準々決勝、神戸との対戦はPK戦での敗北。後半アディショナルタイムに同点ゴールを許し、この上ない屈辱を味わうこととなった。2試合続けて不可解な判定に見舞われたことは事実だ。だが、そのような外的要因を乗り越えることができなかった己の不甲斐なさの方が、より強く胸に刻まれた。残されたタイトルはリーグ戦のみ。遠藤が「悔しさしかない」と言葉少なに心中を明かしたように、誰もが痛恨の思いを抱えながら神戸を後にした。胸に宿るのはJ1連覇への闘志。不退転の決意とともに、残り4試合に臨む。

神戸から鹿嶋へ帰還した選手たちは、試合翌日からトレーニングに打ち込んだ。リカバリー中心のメニューでコンディション調整に努め、出場機会に飢えた面々は己の能力を証明すべく、ひたむきにボールを追う。昌子は言い切った。「どんな外的要因があろうと4試合、しっかりと勝って終わる」と。残された360分、自らの手で動かせるのは12ポイント。勝ち点差や残り試合数を云々される時期だが、そんなことは関係ない。大岩監督は「勝ち続けることが最も大事」と語った。やるしかない。勝ち続けるしかない。

9日間でのアウェイ3連戦、最終章。前日練習を終えた指揮官は「悔しさを次のタイトルに向けていく作業は他のクラブよりも多く経験している。しっかりと気持ちを切り替えて、次へ向かっていく強さを出したい」と決意を語った。クラブの歴史に輝く19個の星、その裏には幾多もの悔しさが刻まれている。今季もすでに3度も屈辱を味わった。だからこそ、全ての思いをぶつけなければならない。20個目の星を掴み取るために、アントラーズファミリー全員で歩みを進めなければならない。





中3日で臨む一戦、指揮官は先発メンバー7名を入れ替えた。GKに曽ケ端を復帰させ、センターバックの一角には植田が帰還。右サイドバックには故郷での一戦に臨む西、ボランチは三竿健斗とレオ シルバのコンビが指名された。2列目にはレアンドロ、前線には金崎が復帰。リーグ二桁得点の2人が先発メンバーに名を連ね、再出発を期すチームをけん引する。その他、最終ラインの左半分には昌子と山本、攻撃陣には遠藤と土居が起用された。そしてベンチには、GKのクォン スンテ、伊東、ブエノ、中村、復帰を果たした安部、小笠原、鈴木が名を連ねている。



6日前に初雪を観測した札幌に、数多くのアントラーズレッドが足を運んだ。5年ぶりの札幌遠征、見据えるものは勝利のみ。ドームのビジタースタンドを埋め尽くした背番号12が、その情熱をピッチへ降り注いでいく。今季3度も味わった痛みを共有しているからこそ、次なる星を掴み取った瞬間の歓喜を心の底から渇望しているからこそ、発せられた第一声は焼き焦げるほどの熱量に満ちていた。「我らの誇りよ」と歌い、思いをピッチへ届ける背番号12。その姿を目に焼き付けた選手たちは身体に熱を注ぎ込み、来たるべきキックオフへと照準を合わせていった。

試合前には場内が暗転する演出が行われた。赤いライトに照らされたドーム、暗幕に包まれたビジタースタンド。出港への意志を叫んだ背番号12は、ビッグフラッグとタオルマフラーを誇らしげに掲げた。そして16時4分、戦いの火蓋が切って落とされた。



鹿島は開始4分、レオが獲得したFKを遠藤が狙う。ペナルティーエリア手前、絶好の位置から放たれた一撃はしかし、壁に阻まれてしまった。以後は拮抗した展開となり、シンプルなロングボールとクロスを多用してゴールを目指す札幌に押し込まれる時間もあったが、しっかりと集中力を保って応戦。カバーリングの意識を徹底し、仮に競り勝てなくともセカンドボールへの対応を怠らない守備を見せ、ピンチの芽を摘んでいった。7分にスライディングでのパスカットでチームを救った遠藤は試合前、「やるべきことをやらないと」と強調。献身を体現した背番号25が、6試合ぶりに立ったリーグ戦のピッチで意地を見せた。





なかなか決定機を作るには至らない鹿島だが、14分には土居の粘りからショートカウンターを発動。レアンドロが右サイドへ展開し、ペナルティーエリア右側から遠藤がスルーパスを通すと、金崎が右足で狙う。惜しくもオフサイドとなったが、鮮やかな連係と流動的な攻撃でゴールへと迫ってみせた。





25分が過ぎてからは敵陣でのボールポゼッション率を高め、両サイドバックの西と山本も高い位置を取って攻撃参加。26分にはレアンドロが強烈なミドルシュートでゴールを脅かし、29分には相手の最終ラインからボールを奪った土居がスピードを上げてペナルティーエリア手前まで持ち込む。遠藤からのラストパスを受けたレアンドロがエリア左側から狙ったが、惜しくもブロックされてしまった。こぼれ球へのプッシュもゴールには結び付かず、決定機を逃した。











以後も敵陣でのプレー時間を増やしていった鹿島は33分、遠藤が得意の位置から左足を一閃。ペナルティーエリア右手前からの一撃は枠をわずかに超えた。41分には健斗が狙い済ましたミドルシュートを枠へ飛ばしたが、相手GKの好守に阻まれてしまった。0-0。前半はスコアレスで終了した。



ハーフタイム、指揮官は選手たちに「焦れずに攻撃すること。サイドを起点に幅と深さを使って攻めていこう」と指示を授けた。すると開始早々の47分、この日最初の歓喜が訪れる。敵陣深くまで攻撃参加した山本が健斗からのフィードに反応し、ペナルティーエリア左外からヘディングで折り返すと、ゴール正面の密集で混戦に。金崎が4人ものマークにかこまれながらも強引に突破を図ると、攻撃の起点となった健斗がこぼれ球に反応し、右足を振り抜いた。決意に満ちた、地を這う一撃がゴールネットを揺らす。1-0。試合を重ねるたびに進化を続ける若きボランチが、プロフットボーラーとして初めてスコアを刻んでみせた。雄叫びを上げる背番号20を、祝福の輪が囲んだ。







待望の先制ゴールを奪った鹿島は、さらなる得点を目指して攻勢をかけていった。55分には遠藤のパスを受けた西がペナルティーエリア右側から強烈な一撃を枠へ飛ばし、57分にも金崎の折り返しから土居が決定機を迎えたが、右足ダイレクトで狙ったシュートは相手GKに阻まれてしまう。相手の守備を崩し切りながら、ゴールネットを揺らせない場面が続いた。





すると、落とし穴が待っていた。60分、札幌のCKからこぼれ球に反応した兵藤にペナルティーエリア外からループ気味のシュートを決められ、1-1の同点に。勢いに乗ったホームチームは、ボルテージを高めたサポーターとともに攻撃を仕掛けてきた。だが、鹿島は動じなかった。両サイドに開いてパスを引き出し、幾度となくプレスバックを繰り返して守備の起点になり続けた金崎が、勝利への気迫を全身で表現してみせる。背番号33が示してみせた闘志が、鹿島に勇気を与えた。

そして、勝利を決めるスコアもエースの右足によってもたらされた。70分、ペナルティーエリア左手前から山本がスルーパスを出すと、金崎が絶妙なタイミングで抜け出す。背番号33はゴールだけを見ていた。右足アウトサイドでの巧みなシュートは、好守を連発していた相手GKを制し、ファーサイドへ。ゴールネットが揺れる。北の大地まで駆け付けたビジタースタンドが沸騰する。ついに勝ち越しに成功した。























リードを得た鹿島は、4日前の反省を最後まで生かし、執念のボールキープで時計の針を進めていく。そして、歓喜のホイッスルが鳴り響いた。2-1。再出発を期す重要なアウェイゲームで、鹿島が意地の勝利を掴み取った。次戦は1週間後、J1第32節・浦和戦だ。ACL決勝との兼ね合いで他16クラブに先駆けて行われる一戦で、しっかりと勝ち点3を掴まなければならない。サポーターズシートとイースト・ウエストゾーン以外はすでに完売となったホームゲーム。聖地・カシマスタジアムで勝利を収めるために、チームは一丸となって準備を進めていく。リーグ戦は残り3試合。最高の景色が待っていると信じて、アントラーズファミリー全員で突き進むだけだ。





【この試合のトピックス】
・31試合目で22勝目を挙げ、現行の34試合制におけるクラブ記録に並んだ。前回は2007年で、22勝6分6敗だった。
・勝ち点が67となり、34試合制におけるクラブ史上2番目の記録となった。歴代最多は2007年の72ポイント。
・J1での札幌戦は今季2戦2勝。2001年の2nd第1節以来9試合負けなしで、アウェイでは2001年の1st第7節から4試合負けなしとなった。通算戦績は10勝1分1敗。
・三竿健斗がプロ入り初ゴールを決めた。
・金崎が9月16日の第26節新潟戦以来、リーグ戦5試合ぶり(うち1試合は出場停止)のゴールを決め、今季の得点数を12に伸ばした。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・前がかりになった時のリスクマネージメントを忘れないこと。
・全体のセカンドボールの反応も良いので、後半も続けよう。
・じれずに攻撃すること。サイドを起点に幅と深さを使って攻めていこう。

北海道コンサドーレ札幌:四方田 修平
・やっていることは悪くない。前半と同じ強い気持ちを貫いてやり続けること。
・守備は粘り強く。攻めているときのリスクマネージメントをしっかり。
・ここから集中して、立ち上がりは強く入ろう。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
ゲームコントロールをすることができた90分だったと評価している。札幌が前半からタイトでアグレッシブな試合をしてきて、少し受け身になってしまった部分はあったが、流れを引き戻すことができた。

Q.チームとして結果が出ていない中での試合だったが、どのように立て直したのか?

A.この2試合に限って言えば、敗戦はしたとはいえ、内容は良いものだった。それは選手にも伝えた。試合の中で状況を読むこと、やるべきことを都度、意思統一をすること。それをチーム全体でやったことが今日の試合で生きたと思う。

Q.選手を送り出す時にどのような言葉をかけたのか?相手がタイトに来て苦しんだ中で、どのようなことをして流れを引き戻したのか?

A.試合に入ってみないと相手のアグレッシブさを感じることはできない。状況を読むことを徹底しようと毎試合伝えている。この2試合を通じて、気持ちが入っていないわけではないが、プレー強度を高めていこうと話した。攻撃ではボールホルダーに積極的に絡んで追い越していったり、守備ではしっかりと前線から制限をかけてアグレッシブにやろうと、そういう形で原点に戻ろうと伝えた。

Q.残り3試合になったが、どのような戦い方をしたいか?

A.ここまで来たら、やり続けてきたことを続けていくだけ。それを選手たちに伝えたい。

北海道コンサドーレ札幌:四方田 修平
前半はコンパクトに守って、ボールを奪ってチャンスにつなげるプレーや、クロスからフィニッシュにつなげるプレーは中盤まで数多く出せた。終盤は押し込まれる場面も続いたが、ある程度はやりたいことができた。後半の入りで失点してしまったことに関しては、注意していた中でのことだったので反省している。ただ、そこから落ちずに盛り返せて同点にできたことは成長だと思う。勢いに乗って逆転につなげたかったが、金崎選手と土居選手に再三、裏に走られていた部分が効いたと思う。DFラインを責めることはできない。アントラーズの2トップの「繰り返す強さ」を感じたい。何とか追い付こうという気持ちで戦ったが、それを削がれるようにボールキープをされてしまって、試合巧者という形で試合をまとめられてしまった。日曜日の夕方にこれだけのサポーターが集まってくれて恩返ししたかったが、感謝している。J1残留という形で恩返しできるように切り替えて頑張りたい。


選手コメント

[試合後]

【三竿 健斗】
夢生くんが粘ってくれて、ペナルティーエリアの中だったので打てば入ると思っていた。何も考えずに反応した。「入っちゃった」という感じ。すごく嬉しかった。ベンチのみんなと喜ぼうと決めていたし、剛さんも喜んでくれた。良かったです。

【昌子 源】
ロングボール主体の攻撃をしてくることは想定していた。ジェイ選手と都倉選手は強力だけど、ナオがしっかりと戦ってくれて助かった。健斗もよく競り合ってくれた。大きな意味を持つ勝利だと思う。

【遠藤 康】
あのような形で失点をしてしまって、それでもしっかりと勝ち切れたことは大きい。ピッチの中で良い話し合いや声の掛け合いをすることができていたと思う。

【西 大伍】
相手はホームで自信を持って戦ってくるので、簡単な試合ではないと思っていた。そこまで良い試合だったとは思わないけど、この時期は最後に勝っているかどうかが大事。相手のボランチや中盤を疲れさせる試合運びができた。

【山本 脩斗】
(アシストの場面は)良いタイミングで夢生が前にいるとわかったので、パスを出した。バランスを見て両サイドを使いながら攻撃できたと思う。勝ち切れて良かった。

【鈴木 優磨】
ボールをキープする役割であることはわかっていた。神戸戦の負けを生かすことが大事だった。残り3試合、全てに勝てるように準備をしていきたい。

2017明治安田生命J1リーグ 第31節

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